クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



Home|名録音を聞く

名録音を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名録音を聴く~今週の一枚(一覧表示)



バルトーク:弦楽四重奏曲第6番 Sz.114

ジュリアード弦楽四重奏団 1963年5月10日&14日録音

この録音の最大の魅力は、まさに4人のプレーヤーが目の前で演奏しているかのようなリアリティのある音場空間が実現していることです。そして、その空間は実際の弦楽四重奏団の演奏を実際に聞いたことがある人ならば「なるほどこれは実演と同じだ」と思わせる様な自然さに溢れているのです。
そこにはオーディオ的に人を驚かすような派手さはないのですが、まさにこのような自然な形で音場が表現されることこそが難しいのです。


バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119

(P)ジュリアス・カッチェン イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団 1965年11月9日~10日録音

最初の一音が出た時点で、演奏がどうのこうのという前にその録音のクオリティの高さに圧倒されるのです。そして、この録音の最大の魅力は、録音という行為が演奏の美質を聞き手に伝えるために最大限の奉仕をしていることにも気づかれるのです。
そのクオリティの高さというのは、オーディオ的にどうだ凄いだろう!と言うようなあざとさは無縁であり、何よりも精緻さの中に素晴らしい透明感を導き入れた点にこの演奏と録音の主張があるからです。
それは結果として、オケとピアノが織りなすピュアな世界を聞かせてくれる事につながり、この世の中にこんなにもこんなにも無垢で美しい世界があったんだと驚かされるのです。


バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年11月9日~11日録音

この録音には見落とすことの出来ない歴史的な意味合いがあります。それは、戦後一貫してカラヤンの録音を担当してきたウォルター・レッグとの関係が、この録音をもって終わりを告げたという事です。
ところが、左右だけでなく前後上下に音場がひろがり、その三次元空間の中にキッチリと楽器群が定位する生々しさは、「いったいどうしたんだ!」と言いたくなるほどの見事さなのです。
とりわけ、その空間上にかっちりと定位する打楽器の生々しさも特筆ものす。
おそらく、レッグはこの録音には深く関わらなかったのかもしれません。その結果がこれだとすると、まさに「部長留守仕事はかどりみな元気」だったのでしょう。


ベートーベン:チェロソナタ第5番 ニ長調 Op.102-2

(Cello)ロストロポーヴィッチ (P)リヒテル 1963年3月録音

所詮は楽器2台で展開される音楽ですし、さらに言えばその音楽はひたすら内へ内へと沈潜していくのですから、広大なサウンド・ステージも要求されなければダイナミック・レンジの広さも要求されません。
さらに言えば、楽器の分離と言うこともチェロとピアノの2台なのですから殆ど問題になることはないはずです。

つまりは、オーディオ的に美味しい部分などはほぼ皆無の音源なのです。
そうなると、聞き手としては何を求めたいのかと言えば、まさに眼前でリヒテルとロストロポーヴィッチが演奏しているかのような疑似体験を実現することです。
編成の大きな管弦楽や合唱を伴った音楽と、編成の小さな器楽曲や歌曲、室内楽曲ではオーディオ的に要求するポイントが異なるのです。
そう考えれば、こういうオーディオ的に要求される要素の少ない音源というものは、どこまで実演さながらのレベルで再生できるのかにチャレンジしてみるにはピッタリの音源なのかも知れません。


ブラームス:ラプソディ「冬のハルツの旅」(アルト・ラプソディ)作品53

ブルーノ・ワルター指揮 (Ms)ミルドレッド・ミラー コロンビア交響楽団 オクシデンタル・カレッジ・コンサート合唱団 1961年1月11日録音

「アルト・ラプソディ」の管弦楽伴奏は小編成ですから、それを再生するためには規模の大きな大型システムは必ずしも必要ではありません。
そして、その管弦楽伴奏を従えてメゾ・ソプラノが歌い出してくるのですが、その声がどのように再生されるのかも大きなチェックポイントでしょう。
そして、最後に男声合唱が加わってきます。
オーケストラとメゾ・ソプラノの独唱、そこへ男声合唱が加わってきても一切の混濁なしにサウンド・ステージが広がっていく様は見事としか言いようがありません。


ボロディン:交響曲第2番 ロ短調

アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1954年10月録音

「Decca」最初の商業用ステレオ録音はリムスキー・コルサコフの交響曲第2番「アンタール」で、演奏はエルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団でした。そこでは明瞭に分離した楽器が「ステージ上のここに定位していますよ」といういささかあざとい感じがする録音でした。しかし、その数ヶ月後に録音されたこのボロディンの交響曲ではそう言う音場空間の表現はきわめて自然ですし、個々の楽器の響きも混濁はしない透明感を保持しながら自然なボディ感を失ってはいません。つまりは、最初の録音では「ステレオ」という新しい技術で可能なことをあれこれ試してみて、その中で大切にすべきこと見事につかみ取ってそれを実現したのがこの録音なのです。


マーラー:交響曲第9番

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1964年1月10,11,14&18日録音

どこを探しても「どうだ!凄い録音だろう!」と聞き手にアピールするようなところがほとんど見あたりません。あるのはひたすら自然な「音場表現」であり、その「音場」の中で然るべき実在感を持ってそれぞれの楽器が立ちあらわれてくるだけなのです。
そして、その極上の自然さがそのままバルビローリの演奏の素晴らしさを再現するために貢献しています。
しかし、考えてみれば、音楽ソフトというものは音楽の素晴らしさを伝える事が目的なのですから、これこそがもっとも理想的な「録音」の姿かも知れないのです。


シャルル=マリー・ヴィドール:オルガン交響曲より第6番「Allegro」&第2番「Salve Regina」

(Org)マルセル・デュプレ 1957年10月録音

最弱音から最強音までのダイナミックレンジの広さ、地を這うような低音の響き、そして教会全体に広がる広大な音響空間などが見事にとらえられていて、Mercury録音の傑作の一つです。
オーケストラでもそうですが、オルガンの低音もまた風のような軽さを持っています。
決して、ドスン・バスンというような、分かりやすい「迫力満点」の低音などとは一線を画する低音です。あのドスン・バスンという音はここで述べている低音と較べればもっと上の領域、中低音とも言うべき帯域の話です。そして、オーディオにとって再現するのが途轍もなく困難なのが、この真の「低音」なのです。


ベルク:3つの管弦楽曲 Op.6

ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1962年7月14&22日録音

この録音はコザートが35ミリフィルムを使って行った最後の録音となりました。結果のためにはコストを惜しまない彼女の姿勢が買収先のフィリップスでは歓迎されなかったからです。
この作品は無調でも大規模編成の音楽が作れることを証明したものなのですが、それ故に録音的には大変な難物でした。何故ならば、すべての楽器が対等な立場で鳴り響くことを要求するからです。
しかし、その難題をコザートは見事に解決しています。また、ドラティによる共感に満ちた演奏が、ともすれば取っつきにくい無調の音楽に熱さを与えています。


R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1960年2月8日録音

ライナーはこの作品をコンサートでは一度しか取り上げていなくて、その1回というのも、この録音をする前の定期演奏会だったと言うことですから、それはスタジオ録音のために事前に演奏会で取り上げたと見るのが妥当でしょう。しかしながら、終楽章は全く編集なしのワンテイクで録音したという「神話」が残っています。
ピアニシモからフォルティシモにいたるすべての段階においてオケのバランスは完璧にコントロールされ、録音する側もそれに応えて、リアリティ溢れるピアニシモから爆発するフォルティシモまでを完璧にすくい上げています。


シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」

ジュリアード弦楽四重奏団:1959年2月5日、6日&3月27日録音

4つの楽器が完璧に対等な立場で鳴り響きながら、シューベルトがこの作品で追求したシンフォニックな響きもまた完璧に実現しています。
それを録音のマジックと言ってしまえばそれまでなのでしょうが、ホンの短い期間だったとはいえ、ジュリアード弦楽四重奏団がそのマジックが実現できるRCAの黄金時代に録音する機会があったと言うことは幸運だったと言うべきでしょう。


ベルリオーズ:幻想交響曲

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1954年11月14・15日録音

この録音の魅力は「断頭台への行進と処刑」、さらには「魔女の夜宴の大騒ぎ」ではなくて、なによりも第3楽章の「野の風景」にこそあらわれています。
とりわけ、二人の牧人がかわす牧歌の生々しさは特筆ものです。
ベルリオーズはこの場面をコールアングレと舞台裏のオーボエで演奏することを指定しているのですが、この二つの楽器の遠近感が実にナチュラルに再現されます。それ故に、ミンシュ&ボストン響の「幻想」としてはこの古い方の録音をとりたいのです。


ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団 1958年1月13日,15日,17日録音

ワルターの最晩年の録音であるコロンビア響とのステレオ録音は、録音と言うことに関してはあまり良い評判がありませんでした。その原因の大部分はLPにカッティングするときに低域をバッサリとカットするColumbiaの「悪癖」によるものだったようです。
その辺りの問題が改善された復刻盤で聞いてみると、ワルターの特長であるどっしりとした低域を土台として生み出されるオーケストラの響きが一切の混濁なしに収録されています。また、自然なサウンドステージが実現していることももう一つの特質として指摘することが出来ます。


モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ長調 K.218

(Vn)ヨハンナ・マルツィ オイゲン・ヨッフム指揮 バイエルン放送室内管弦楽団 1955年9月4日録音

管弦楽による前奏という露払いが終了してマルツィの独奏ヴァイオリンが入ってくると度肝を抜かれます。まさに日本刀の切れ味のごときヴァイオリンの響きが聞き手の耳を直撃します。
そして、その驚きの頂点が第1楽章の最後に置かれたカデンツァです。まさにカミソリのごとき切れ味であり、それは、モノラル録音としては驚くべきクオリティの高さによって、それは名刀の切れ味にまで格上げされているように聞こえるのです。


ラヴェル:舞踏詩「ラ・ヴァルス」

ポール・パレー指揮 デトロイト交響楽団 1962年3月録音

この作品で本当に恐いのは最後の「滅び」ではなくて、そこに至る過程において不気味な影が差しはじめる部分です。その怖さをリアルに引き出すために必要なのは、それを実現しているラヴェルの高度な管弦楽法を一点の曇りもなしに描き出すことです。
そのためには、映像の世界で昨今言われる4Kとか8Kとか言われる超精細な世界と等価なモノを、音の世界においても実現しなければいけません。
そして、その凄いことを見事なまでに成し遂げているのがこの演奏と録音なのです。


プロコフィエフ:スキタイ組曲「アラとロリー」 op.20

アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1957年7月録音

確かに素晴らしい録音だろうと思うのですが、普通のシステムで音楽を聞いている普通の感覚の持ち主ならば、冒頭の音が飛び出した瞬間に思わずプリアンプのボリュームを絞るために腰を浮かずはずです。
そこで、「いや、もう一頑張り!」とこらえても、次にやってくる床を響かせるようなグランカッサの一撃を食らってはスピーカーを守るためにボリュームは下げざるを得ないでしょう。
はてさて、これが十全に再生できるシステムはどれほどあるでしょうか(^^;


ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー

アーサー・フィードラー 指揮 (P)アール・ワイルド ボストン・ポップス・オーケストラ 1959年5月13日録音

オーディオのハイエンド化と歩調をそろえて「音場表現」ということが強く意識されるようになったのですが、50年代の終わりごろにこのレベルに到達していたということは知っておいて損はないでしょう。
音響空間が左右だけでなく前後の奥行きも含めて見事に表現されています。
特に、オケの後の方から鳴らされる打楽器群の音色は実に生々しく、ワイルドのピアノもステージ前方に見事に浮かび上がります。


リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34

アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1959年6月録音

玩具箱をひっくり返したような楽しい音楽です。
そして、評価の高い「Living Presence」の録音の中でも、これこそはとびきりの優秀録音です。
おそらく、このレベルを凌駕するような録音は、その後半世紀以上の時間が経過したにもかかわらずほとんど存在しないのではないでしょうか。


バルトーク:2台のピアノと打楽器のためのソナタ, Sz.110

アンタル・ドラティ指揮 (P)Geza Frid ,Luctor Ponse ロンドン交響楽団 のメンバー 1960年6月6日録音

このソナタの録音を聞いて感じるのは「静けさ」ではないでしょうか。
もちろん音は鳴り響いているのですから「静か」なはずはないのですが、それでもこの録音から受ける印象は「静寂」です。至るところで打楽器が鳴り響き、ピアノもまた打楽器的に扱われる場面が多いのですから、それは考えてみれば不思議な話です。
それはきっと、コザートが音楽が鳴り響く場としての「静寂」を見事にすくい取っているからなのでしょう。
こんな書き方をするとまるで「禅問答」みたいだとお叱りを受けそうなのですが、これもまたもう一つの「優秀録音」の形と言えるでしょう。


R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1954年3月6日録音

「RCA」は1953年から実験的にステレオ録音を始めているのですが、商業ベースに乗る第1弾としてフリッツ・ライナーが率いるシカゴ交響楽団を選んだのは賢明でした。
このステレオ録音こそが録音史の大きな分岐点であり、新しい時代の始まりを告げるスタート地点なのです。
そして、このスタート地点から、私たちはどれだけ前に進むことができたのかを問えばいささか呆然とならざるを得ないのです。
この地点から60年を超える時間が経過していながら、未だにこのレベルをこえることのできない「最新録音」がゴロゴロ存在するのも悲しい事実なのです。





[2019-06-18]

ドヴォルザーク:序曲「オテロ」 Op.93
カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年2月録音

[2019-06-17]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調 Op.31-3
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年9月15日~18日録音

[2019-06-16]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)フリッツ・クライスラー:レオ・ブレッヒ指揮 ベルリン国立歌劇場管弦楽団 1926年12月10日録音

[2019-06-15]

シューマン:ピアノ協奏曲 Op.54
(P)ヴァン・クライバーン フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1960年4月16日録音

[2019-06-14]

モーツァルト(ブルメスター編):メヌエットNO.1
(Vn)エリカ・モリーニ (P)レオン・ポマーズ 1956年録音

[2019-06-13]

ベートーベン:交響曲第7番イ長調 作品92
ヘルマン・シェルヘン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1951年6月録音

[2019-06-12]

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ロリン・マゼール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1965年5月録音

[2019-06-11]

ベートーベン:弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 作品127
ブダペスト弦楽四重奏団 1942年2月26日録音

[2019-06-10]

ブラームス:ピアノ三重奏曲第2番ハ長調 作品87
(Vn)ヨーゼフ・シゲティ:(Cello)パブロ・カザルス (P)マイラ・ヘス 1952年6月16日録音

[2019-06-09]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」
(P)ヴァン・クライバーン フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1961年5月4日,12日録音