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ユング君は全集マニアではありませんが、とりあえず数がまとまったモノは「全集」という形でまとめておいた方がユーザーの方にとっては便利がいいだろうと言うことでこういうコーナーを立ちあげました。
- 世界最初のシューベルトの弦楽四重奏曲全集です。ウィーンフィルにはコンサートマスターを中心に各パートの首席がカルテットを結成する習慣があるのですが、このコンツェルトハウス四重奏団はその様なエリート集団ではなくて、そういう首席奏者の後ろで演奏しているメンバーたちで結成されたものです。
そのためか、この四重奏団の演奏には芸術的に突き詰めたある種の緊張感ではなくて、どこか親密で寛いだ雰囲気がただようのが実に素敵です。
- 超スローテンポになる前の、極めて真っ当でスタンダードな演奏をしていた頃のクレンペラーを代表する演奏です。
- 演奏の特徴はお聞きいただければ分かるように、昨今のハイテクカルテットとは対極にあるものです。ひと言で言えば鄙びた演奏ですが、その鄙びた素朴さの中にえもいわれぬロマンと気品が漂ってくるのが魅力なのでしょう。
- リリーの演奏はモーツァルトの書いた音符を正確にバランスよく響かせることに意を注ぐのではなくて、モーツァルトが音符を使って書いた「心のドラマ」を再現しようと言うものです。ですから、モーツァルトがこの音楽にこめた深い感情がリリーの演奏からはヒシヒシと伝わってきます。
- このコンビによるソナタと言えばモーツァルトがまず第一に思いかびますが、ベートーベンにおいても優れた業績を残しました。ハスキルのピアノはやや控えめで、グリュミュオーの豊かで溌剌としたヴァイオリンを引き立てているように聞こえます。
- 録音に関しては、モノラル最後の時期ですから、実に立派なものです。こういうヴァイオリン一挺の録音だと、ステレオでないと言うことはほとんどハンデになっていないように思えます。
- 伸びやかで自然体のベートーベンです。堅くなったり、重くなったり、ましてや力ずくで押し切るようなところが微塵もありません。とにかく耳にしたときの心地よさは他に例を見ません。
- なんという流麗なバッハでしょう。横への流れを至るところでぶつ切りにして、この上もなく厳しく、ゴツゴツしたバッハを造形したシゲティとは180度対極にあるバッハ演奏です。
- いつまでもシゲティでもないだろうと思います。しかし、この演奏は二つの大戦を経験した20世紀と言う時代の「声」であったことも事実であり、その事には 深い敬意を感じざるを得ません。おそらく、シゲティにとってバッハとはこのように厳しい音楽としてしか「歌う」事が出来なかったのであり、その「厳しさ」 と向き合うことは決して「苦行」ではないはずです。
- とにかく、フルニエのチェロはいつも伸びやかでよく歌います。そんなフルニエがこれまたよく歌うシュナーベルと組んだこの録音は、名曲喫茶ご用達の暗さよりは、よく歌う伸びやかさが前面に出ています。
- 幻の名盤と呼ばれ、中古市場で6枚セットのLP全集が100万円!!で取引されていた録音も、パブリックドメインになったおかげで広く世間に流通するようになりました。パブリックドメイン万歳です。
おかげで神秘のベールもはがれて、実態に見合った評価が定着することでしょう。
もちろん、悪くない演奏です。
- エールリンクに次ぐ世界で2番目のシベリウスの交響曲全集です。しかし、録音をジョン・カルショーとのコンビでデッカの黄金時代を築いたケネス・ウィルキンスンが担当と言うことで、モノラル録音ながら実に聞きやすい音質に仕上がっているのが大きなメリットです。
快速テンポと豪快なダイナミズムを基調とした男性的なシベリウスを描き出した演奏です。
- 世界最初のベートーベンの交響曲全集です。今では省みられることも少ない録音ですが、ベートーベンの演奏史を考える上では原点とも言うべき歴史的価値を持っています。
- カラヤン最初の交響曲全集ですが、この全集がもっとも正統的でスタンダードなベートーベン像を描き出しています。
- ジュリアード弦楽四重奏団は、「ベート−ベン以降最大の業績」と呼ばれるこの作品の全曲録音を3度も行っていますが、これはその一番最初のものです。後年の研ぎ澄まされた演奏もいいのですが、こういう「人肌のぬくもり」を残した演奏もまた魅力的です。
- 淡々とした演奏の中に繊細で微妙な感情が交錯していく様が手に取るように浮かび上がって来る、明晰きわまりないベートーベンです。
- ブダペスト弦楽四重奏団は、戦前にほぼ全曲を、そして戦後にモノラルとステレオで2度全集を完成させています。その中でも50年代の初頭に完成されたこのモノラルによる全集は新即物主義によるベートーベン像を確立したという意味で録音史に残る金字塔です。
- バックハウス全盛期の録音です。今もって、後年のステレオ録音よりもこちらのモノラル録音の方を高く評価する人が多いようです。
- ゴールドベルグとバルサムによる全集はマニアの間では幻の名盤とされてきたものです。演奏家が己というものを前面に押し出すことなく、それでいながら作品の本質はしっかりとつかまえて過不足なく表現しているという点で実にすぐれた演奏だと評価できます。
- どんなに難しいところでも、何事でもないかのように淡々と、しかし正確に弾ききっています。ところによっては勢いが余って弾きとばしているように感じられるところもありますが、それでも凄いものです。
- エネスコはここではもはやバッハを演奏していません。彼は、バッハのスコアを借りて、己の人生を演奏しています。その様に複雑に屈折した構造の中でバッハの凄さを描き出したというのならば、その意味では異形の演奏といえるのかもしれません。
- ケンプの最も脂ののりきった時期の演奏を聴くことが出来ます。音質もモノラルとしては良好な部類に属しますから、少しでもよい音で聴きたいという人にはおすすめです。
- 二人の演奏家の全盛期とも言うべき時期になんという幸運な出会いがあったことでしょう。神に感謝あるのみです。
- EMIが全集としてリリースした以外の録音もこちらにまとめておきます。ただし、これらをまとめて「全集」とする意思はフルトヴェングラーには全くなかったことだけは確認しておきましょう。
- トスカニーニがその最晩年に手兵のNBC交響楽団を率いて完成させた全集です。確かにそれは80を超えた老人の手になるものであり、必ずしも最良のトスカニーニの姿が刻印されたものでないことも事実ですが、録音の質の問題を考えればその価値は大きいと言わざるを得ません。
- とても80才をこえた老人の手になる演奏とは信じがたいほどに、一点の緩みもない、そしてしなやかさとみずみずしさを失わないブラームスです。
あらためてトスカニーニの偉大さを教えられる録音です。
- ナチス侵攻前に行われたベートーベン・チクルス。
1・2・7・9番はこの時代のものとして音質は良好。4番は冒頭の音質が不安定、5・6・8番はややこもり気味。3番は一部のマニアのみ意味のあるような音質(^^;
- ハイドン最晩年のザロモン交響曲の録音としてはこれが世界最初のものです。世間一般にはあまり知られていなかったこれらの作品の紹介としては実に端正でスタンダードとしての役割を十分に果たした演奏だと言えます。
- ギーゼキングといえば即物主義の代表選手のように言われます。彼こそはモーツァルトをロマン主義的歪曲から救い出して、現在のモーツァルト演奏への道を切り開いた金字塔的存在としてこのソナタの全曲録音は長くスタンダードな位置にありました。
- 一部、原盤に起因すると思われるノイズはありますが音質的にはこの時代のものとしてが最上に属するものです。最晩年のワインガルトナーを知るには絶好の録音だといえます。
- 当然のことですが、これはフルトヴェングラー自身が全集としてまとめようとして録音したものではありません。あくまでも、結果としてまとまっただけのことですので誤解のないようにしてください。
- ベートーベンのヴァイオリンソナタから深い情念を宿した人間の声を聞き取ろうとする人にとっては、今もってかけがえのない演奏だと言えます。
- カザルスは50年代にゼルキンとのコンビでも録音を残しています。録音の問題もあるので、一般的にはそちらの方を推薦盤とする評論家が多いのですが、演奏だけを比べるなら文句なくこの30年代の録音の方が優れていると言う人が多いようです。
- シュナーベルによる歴史的な演奏です。音質は時代相応のものですが、ベートーベン演奏の原点の一つがここにあります。
- 「ベートーベンの発明者」・・・ホロヴィッツはシュナーベルのことをそう表現したそうです。昨今のハイテク演奏を聞き慣れた耳には物足りなさはあるかもしれませんが、現在のベートーベン演奏の源流がどこにあったかは確認しておいてもいいでしょう。
- 今風のハイテクチェリストたちの演奏を聞き慣れた耳には、まるで象のダンスを見るようなたどたどしさを感じるかもしれませんが、じっくりと耳を傾けてもらえば、いまもってこれを上回る録音はないことに気づかされます。