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ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95(B.178)「新世界より」

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年11月9日録音



Dvorak:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」 「第1楽章」

Dvorak:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」 「第2楽章」

Dvorak:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」 「第3楽章」

Dvorak:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」 「第4楽章」


望郷の歌

ドヴォルザークが、ニューヨーク国民音楽院院長としてアメリカ滞在中に作曲した作品で、「新世界より」の副題がドヴォルザーク自身によって添えられています。

この作品はその副題が示すように、新世界、つまりアメリカから彼のふるさとであるボヘミアにあてて書かれた「望郷の歌」です。

この作品についてドヴォルザークは次のように語っています。
「もしアメリカを訪ねなかったとしたら、こうした作品は書けなかっただろう。」
「この曲はボヘミヤの郷愁を歌った音楽であると同時にアメリカの息吹に触れることによってのみ生まれた作品である」

その言葉に通りに、ボヘミヤ国民楽派としてのドヴォルザークとアメリカ的な語法が結びついて一体化したところにこの作品の一番の魅力があるといえます。
さらに、過去の2作がかなりロマン派的な傾向を強めていたのに対して、この9番は古典的できっちりとしたたたずまいを見せていることも、分かりやすさと親しみやすさを増しているようです。

初演は1883年、ドヴォルザークのアメリカでの第一作として広範な注目を集め、アントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルの演奏で空前の大成功を収めました。


なんと素晴らしいオケの響き!!

超有名作品だけに、過去の録音を振り返ってみると百花繚乱です。そんな中にあって、このライナーの録音はセル&クリーブランドの録音と肩を並べて一つの峰の頂点を形作っています。
もちろん、これを聞いて素っ気ないと思う人もいるでしょう。ケルテスやフリッチャイのようなニュアンスにあふれた風情はないし、チェリやテンシュテット(ただし、ライブの海賊盤の方)のようなグロテスクなまでの凄みもありません。もちろん、ターリッヒなどのチェコの指揮者がチェコのオケを振った新世界などからは最も遠い位置にある演奏です。

それだけに、好き嫌いは分かれるだろうなと思います。
ただ、セルに関しては「技術的な完璧さによって演奏が満たされているのですが、さらに、その完璧さの中からドヴォルザーク作品に共通する「満たされなかった哀しみ」のようなものが浮かび上がってきます。」と書いたことがあるのですが、どうもライナーの場合はそう言う「哀愁」のようなものも希薄なように思います。しかし、「技術的完璧さ」と言うか、ライナーの「交通整理の完璧さ」というか、そう言う部分での「凄さ」みたいなものは感心させられます。そして、録音のクオリティの高さが、そう言う外的な面における「オケを聞く楽しさ」みたいなものを引き立ててくれています。

クラシック音楽と言えば二言目には「精神性云々」みたいなことが言われるのですが、こういう「芸」を楽しむのもクラシック音楽を聞く楽しさの重要な側面であることも事実です。そして、50年代のこの時代にあって、オケをここまで鍛え上げたライナーの「芸」を素直に楽しみましょう。

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