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リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124

(P)エリック・ハイドシェック:ピエール・デルヴォー指揮 コンセール・コロンヌ 1961年11月5日&25日録音



Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124 [1.Allegro maestoso - Tempo giusto]

Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124 [2.Quasi adagio - Allegretto vivace - Allegro animato]

Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124 [3.Allegro vivace]

Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124 [4.Allgro marziale animato]


循環形式によるソナタ形式を初めて完全に実現させた作品

「ピアノのパガニーニ」を目指したリストなので、ピアノの独奏曲は数多く残していますが、協奏曲となると完成した形で残されているのはわずか2曲です。これを少ないと見るか、それともこんなものと見るかは難しいところですが、作品の認知度という点で言えばかなり落ちることは事実です。
例えば、ショパンやブラームスもピアノ協奏曲は2曲しか残していませんが認知度は抜群です。
シューマンは1曲しか残しませんでしたが、認知度ではリストの協奏曲を少し上回る雰囲気です。

しかし、実際に聞いてみると、これがなかなかに面白い音楽なのです。

たとえば、ハンスリックが「トライアングル協奏曲」と冷笑した第3楽章は、そう言われても仕方がないほどにトライアングルの響きが突出しているのですが、音響的な面白さは確かにあります。
また、バルトークが「循環形式によるソナタ形式を初めて完全に実現させた作品」と評価したように、決してピアノの名人芸ををひけらかすだけの音楽でもありません。
そう言われてみれば、冒頭の音型があちこちに姿を現すような雰囲気があるので、ある種のまとまりの良さを感じさせますし、4つの楽章が切れ目無しに演奏されるので、ピアノ独奏を伴った交響詩のようにも聞こえます。

そして、最終楽章の怒濤のクライマックスは、やはり「ピアノのパガニーニ」を目指したリストの真骨頂です。
聞いて面白いと言うことでは、決して同時代のロマン派のコンチェルト較べても劣っているわけではありません。


  1. 第1楽章:Allegro maestoso

  2. 第2楽章:Quasi Adagio

  3. 第3楽章:Allegretto vivace. Allegro animato

  4. 第4楽章:Allegro marziale animato




今も印象に残るハイドシェックのピアノの響き

ハイドシェックという名前には強い印象が残っています。それは、一度だけ彼のピアノを生で聞いたことがあり、その時の素晴らしい「響き」にすっかり感心させられたからです。
ピアノというのは基本的に打楽器なのですから、どれほどソフトなタッチで鍵盤を押しても、基本的にはハンマーが弦を叩くことには違いはないわけで、どうしても「打楽器」的な響きがしてしまうものです。しかし、その時に聞いたハイドシェックのピアノからは、そう言う「打楽器」的な雰囲気は全く感じなくて、その柔らかくてふわりとした響きはピアノという楽器から紡ぎ出されているとは信じがたいものでした。

そして、人間というものは不思議なもので、その時にハイドシェックが演奏した作品などは全く忘れてしまっているのですが、その「響き」の記憶だけは鮮明に残っているのです。そして、その「響き」を手掛かりにその時の演奏会の何気ないディテールなどもふいに思い出したりするのです。こういうあたりは、人間もどこか「動物」的な本能みたいなものを持ち合わせているのかもしれません。
何故ならば、これ以外にも「演奏」のことなどはほとんど記憶にに残っていないのに、その中の韻書的だった「響き」だけが強く記憶に残っている事がよくあるからです。例えば、遠い昔にウィーンの国立歌劇場で聞いた「くるみ割り人形」でのトランペットのこの上もなく柔らかい響きや、小澤の指揮で聞いたブラームスの1番の第2楽章での弦楽器の響き等々です。

まあ、こちらの方はまだ作品名を覚えているだけましなのでしょうが、ハイドシェックの場合は最も強く記憶に残る「響き」でありながら、その時に彼が演奏した作品名すら覚えていないのです。(^^;
ただし、その演奏会が大阪フィルの定期演奏会であったことは覚えているので、今回ハイドシェックの録音を紹介するので、いい機会だと言うことでその記憶の正体を探ってみました。そうすると、ハイドシェックが大フィルと共演したのは一度だけだったようなので、すぐにその演奏会を特定することが出来ました。

それは、秋山和慶指揮による1985年1月25日のフェスティバルホールでの定期演奏会だったようです。そして、その時にハイドシェックが演奏したのは2曲で、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」とフランクの「交響的変奏曲」だったようです。
これに気づいて「なるほど!」と得心しました。
おそらく、私が感心したのはラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」のほうだろうと想像されます。不思議なことですが、ピアノを普通に両手を使って演奏する作品と、左手だけ演奏することを前提とした作品とではピアノの響きは全く異なるようなのです。おそらく、クラシック音楽などと言うものを聞き始めた頃の私は、その左手だけから紡ぎ出される独特な響きに魅了されたのでしょう。

しかし、こうして若い頃の録音を聞いていくと、確かに響きの美しいピアノではあるのですが、あの日あの場所で私が魅了された響きとはやはり異なります。しかし、異なりながらも、そのどこかにかすかな「残り香」のように、あの日の印象を思い出させてくれるような場面があることも事実です。

ハイドシェックという人はピアニストとしては実に恵まれた環境で育ちました。
彼はフランスでも有名なシャンパン醸造元(CHARLES HEIDSIECK)の御曹司として生まれ、両親はともに音楽家(父はマチュアのチェロ奏者、母はピアニスト)という環境で育ちました。そして、ハイドシェックの才能に気づいた両親は息子をコルトーに師事させ、その関係はコルトーが亡くなる1962年まで続くのです。

ハイドシェックは「ピアノを練習しなければ」との思いでピアノに向かうのではなく、自分はいつも花の蜜に引き寄せられる蜂のようにピアノに惹きつけられ、ピアノを演奏することこそが人生における最大の喜びだったと語っていました
おそらく、彼は生活のためにピアノで成功し、そしてピアノを演奏し続ける必要はなかったのではないでしょうか。
ですから、その演奏スタイルはどこまでも自分の喜びのために行うものだったようです。

このショパンのコンチェルトの驚くほどの直線的な造形と明晰なピアノの響きは面白いほどにコルトーとは真逆です。これと較べると、ほぼ同じ時期に録音されたリストのコンチェルトの方がはるかに叙情的です。
普通ならば、それは逆の雰囲気になるのでしょうが、そんな事は一切気にしないで、自分の信じることを好きなようにのびのび演奏している姿が伝わってきます。

ハイドシェックと言えば一般的には「宇和島ライブ」が思い起こされる人が多いのかもしれません。しかし、その録音を「さながら鬼神が乗り移ったような凄絶さ」などと言う決まり文句で絶賛するとある評論家の一文に接するたびに、自分の中では逆にハイドシェックは遠ざかっていきました。しかし、そう言うつまらぬ呪縛から自由になって、もう一度ハイドシェックの音楽を若い頃から順番に、そして入らぬ雑念は捨てて辿ってみるべきなのかもしれません。

それにしても、このショパンやリストのコンチェルトの録音を師であるコルトーはこのようなハイドシェックの演奏をどんな思いで聞いていたのでしょうか。
そういえば、ホロヴィッツは数少ない弟子たちに対して「オレのようにはなるな」と言っていました。
おそらく、コルトーもまた孫のような弟子の演奏をニコニコとしながら聞いていたことでしょう。

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