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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

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ハイドン:交響曲第104番ニ長調「ロンドン」

オットー・クレンペラー指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1964年10月録音

時代様式を考えれば、これは「勘違い」以外の何ものでもないのかもしれません。しかし、ハイドンが、自らが書いた交響曲をクレンペラーという頑固爺の手によってまるでベートーベンのように再現されるのを聞けば、大いに気をよくして感謝の意を表したのではないかと想像するのです。
まあ、感謝はしなくても、少なくともニヤリとして腹をたてたりはしなかったはずです。


ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調

(P)サンソン・フランソワ:アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団 1959年7月録音

この作品に「ファンタジーやポエジー」を求め、「濃密な情念」に浸りたい人にとっては、このフランソワの演奏は素敵なものとして受け入れることができるのでしょう。しかし、私のように、スイスの精密時計みたいな精巧な折り目正しさをラヴェルに求めたいものにとっては、いささか相性が悪い演奏と感じるかもしれません。


モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調, k466

クララ・ハスキル(P) マルケヴィッチ指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団 1960年11月14&18日録音

淡々としたピアノの響きから何とも言えないモーツァルトの悲しみが浮かび上がってきます。
大きな叫び声はありませんが、何気ないちょっとした身振りの中から悲しみが匂い立ちます。そして、そんな何気ない振る舞いの中から、時々ぞっとするような怖さみたいなものに出会うこともあったりします。

せめてあと5年の時間を神がハスキルに与えてくれたならば、私たちはどれほど多くの恵みを手に入れることができたことでしょう。


スメタナ:「我が祖国」

カレル・アンチェル指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1963年1月7,10,13&14日録音

深い感情と緊張感を失わぬピアニシモの美しさは言うまでもなく、どれほどのフォルテシモでも一切の乱れや混濁を見せない強さにも驚かされます。そのレベルに到達するために積み上げたトレーニングは厳しいものだった想像されますが、その厳しさにオケのメンバーが耐えられたのは、それが音楽のために絶対に必要だというアンチェルの求めの真摯さを共有できたからでしょう。


R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35

レオポルド・ストコフスキー指揮 ロンドン交響楽団 (vn)エリック・グリュエンバーグ 1964年9月22日録音

ここにあるのはストコフスキーという男の目に映った千夜一夜物語です。それ故にか(^^;、そこに登場するお姫様は見事なまでにグラマラスな妖艶な美女です。
そして、そのお姫様の語る世界は「総天然色(古い!}の波瀾万丈物語」です。

そして、最後に登場するヴァイオリン・ソロが、まるで無事に「千一夜」の物語を語り終えた後に訪れる夜明けの光景のように感動的なのです。


モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

バリリ弦楽四重奏団 (2nd Va)Wilhelm Huebner 1953年録音

この録音は流れからみるとウェストミンスターレーベルのカタログの欠落をうめていく仕事のようであり、バリリたちにとってははそれほど楽しいものとは思えないのですが、それでも決してクオリティが落ちないのがバリリという人間の偉いところです。しかし、あらためて聞き直してみれば、クオリティが落ちないどころか、これほどまでにこの作品に溢れている「モーツァルトならではのファンタジー」を見事に描き出した演奏は他には思い当たりません。
本当に、バリリって偉い人でした。


ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38

(Vc)ヤーノシュ・シュタルケル (P)ジェルジ・シェベック 1964年6月録音(?)

この作品はピアニストに対して伴奏者としての技量ではなくソリストとしての技量を求めます。しかし、ソリストであれば、何もチェリストとつきあわなくても自分をアピールできる作品はいくらでもあります。つまりは、ソリストとしての技量を持つピアニストであれば、こういう作品はチェロと合わせなければいけない分だけ面倒くさい作品なのです。それ故に、素晴らしいチェリストピアニストがこのように出会うというのは稀なことであり、それ故に幸せなことだったのです。


ホロヴィッツ/カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ 1965年5月9日録音

レコードというのは、その言葉通り歴史的な瞬間を「記録」するという役割があります。ですから、この録音はその様な歴史的証言者としての意義は途轍もなく大きいのです。
しかしながら、忘れてはいけないのはそう言う歴史的価値だけでなく、この「ヒストリック・コンサート」はホロヴィッツによる第一級の音楽が聴ける演奏であることも見逃してはいけないのです。


ブラームス:ホルン三重奏変 ホ長調 Op.40

(Vn)アドルフ・ブッシュ:(P)ルドルフ・ゼルキン (Hr)オーブリー・ブレイン 1933年11月13日録音

アドルフ・ブッシュとルドルフ・ゼルキンという黄金のコンビに、あの不世出のホルン奏者のデニス・ブレインの父親であったオーブリー・ブレインが参加するのですから、それだけでも貴重な録音です。それに、ロマンティストとしてのブラームスの姿が古典派の枠の中で見事に解け合っている演奏はそうあるものではありません。


ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1953年2月2日録音

トスカニーニにとって「新世界より」は若い時代から積極的に取り上げていた作品でもあり、NBC交響楽団ともコンサートでも何回も取り上げている(識者によると5回とか・・・)得意レパートリーだったからです。
この録音には土の香りは全く存在しません。その意味ではセルなどに代表されるコスモポリタンな演奏なのですが、その徹底ぶりはセル以上です。そして、何よりも一番の違いは、オケの響きがセルは陶磁器だとすればこれはまさに鋼鉄だと言うことです。
非情な近代社会としての「新世界より」の便りは聞きたくないという人にとってはお気に召さないかもしれませんが、この時代のオケのアンサンブルとしては奇蹟に近いといえます。


ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

イシュトヴァン・ケルテス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1960年録音

この録音については、今さら何も付けくわえる必要はないでしょう。
基本的には、非常にシンフォニックなスタイルで仕上げているのですが、鳴らすところは結構荒々しく鳴らし切っているのです。特に、ティンパニなどは「叩きまくっている」という感じですね。また、テンポに関しても結構大きく動かしているようなのですが、オケが豪快に鳴っているのでナヨッとした雰囲気は全くありません。
一言で言えば、はち切れんばかりの覇気が詰まった演奏だと言えるのでしょうか。


ブルックナー:交響曲第8番ハ短調

カール・シューリヒト指揮 ウィーンフィル 1963年12月9~12日録音

多くの巨匠が君臨した50年代から60年代の初め頃までは、どの指揮者もこのシューリヒトとのような、いや、このシューリヒト以上に強い個性というか主張というか、そう言う一筋縄ではないかない灰汁みたいなものをみんな持っていました。そして、人々はそう言う巨匠の「灰汁」を愛し、そう言う「灰汁」を楽しむために演奏会に足を運んだのです。
おそらく、このシューリヒトの演奏をブルックナー本人が聴けば「誰の音楽なんだ??!」と訝しく思うかもしれません。でも、そう言う音楽がクラシック音楽の表通りを堂々と闊歩していた時代の象徴とも言えるのがこの演奏でしょう。


モーツァルト:ピアノソナタ第8番 イ短調 K 310

(P)ディヌ・リパッティ:1950年録音

安っぽい叙情などは寄せ付けないストイックな演奏スタイルの中からこの上もなく澄み切ったロマンが香りだします。モーツァルトの孤独な魂を、これほどまでに澄み切った水晶のような響きで歌い上げた演奏は二度とあらわれないでしょう。


ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21

(P)サンソン・フランソワ パウル・クレツキ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1958年6月23日~4日録音

フランソワの魅力は作品と向き合って感情が揺らいだり、爆発したりすれば、そのテクニックも含めてその感情にあおられて揺らいでしまいます。しかし、その揺らぎは作品の形をゆがめてしまう一歩手前のところで踏みとどまります。そして、それがフランソワならではの豊かなファンタジーの世界を紡ぎ出しています。そんなフランソワの真骨頂が発揮されているのがこのショパンのコンチェルトです。


R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35

レオポルド・ストコフスキー指揮 ロンドン交響楽団 (vn)エリック・グリュエンバーグ 1964年9月22日録音

これを名演と言えばお叱りをうけるかもしれません。スコアは勝手に改変していてまさに「ストコ節」全開の演奏です。
それ故に、ここにあるのはストコフスキーという男の目に映った千夜一夜物語であり、お姫様は見事なまでにグラマラスな妖艶な美女です。
指揮者によっては、「こんな辛気くさい話を続けてたら王様に殺されちゃうんじゃない!」と言いたくなるようなお姫様もいるのですが、このお姫様のお話は見事としか言いようがありません。


ビゼー:交響曲 ハ長調

トーマス・ビーチャム指揮:フランス国立放送管弦楽団 1959年10月&11月録音

ビーチャムが実にゆったりと呼吸しながら音楽を作り出していることが手に取るように分かります。さらに、フランス国立放送管弦楽団のホルンもオーボエもその響きはこの上もなく生々しく、ビーチャムが作り出すゆったりとした世界は聞くものの心をその芯からゆったりさせてくれます。
ビーチャムはこの翌年には指揮者を引退し、61年にはこの世を去るのですが、そのような老人の手になる音楽とは信じがたいほどの若さと潤いを感じさせてくれる演奏です。


モーツァルト:セレナード第13番 ト長調 K.525 「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:(コントラバス)ヨーゼフ・ヘルマン 1954年録音

これを名演奏と言うには躊躇いを持つ人もいると思います。しかし、この四重奏団のリーダーであるカンパーのことを「彼はムジカー(音楽家)だったが、同時にムジカント(楽士)でもあった」と評していました。もちろん、この「ムジカント」という言葉は否定的な意味合いで使われたのではなくて、演奏する方も聞く方も楽しい気分にさせてくれる芸人魂の持ち主であったことを肯定的に表現したものでした。残念なのは、みんな賢くなって、こういう楽士がいなくなったことです。


モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第28番 ホ短調 K.304

(P)クララ・ハスキル (Vn)アルテュール・グリュミオー 1958年10月16~17日録音

一つの世界を築き上げた老人(ハスキル63歳)が、才能あふれる若者(グリュミオー37最))を引き立てようとした演奏は、実にしみじみとココロ穏やかにさせてくれて、これまた耳福であります。
弱肉強食を是とし、その中で他人を出し抜いてでも前に出ることを賛美してきた社会が醜くも崩壊する様を見せつけられた後では、こういう音楽はまさに(あまり使いたくない言葉ですが・・・)、一つの「救い」であるのかもしれません。


ベートーベン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131

ブダペスト弦楽四重奏団:1961年録音

このブダペスト弦楽四重奏団によるベートーベン演奏も弦楽四重奏の演奏史における一つの結節点であったことは疑いようもない事実です。この演奏の登場によって、ファースト・ヴァイオリンが主導的な役割を果たすようなスタイルは過去の遺物となりました。その意味で、弦楽四重奏の演奏の歴史はこのブダペストの演奏に全て流れ込み、そして、ここを水源地として新たな演奏の歴史が流れ出していったと言えます。


ショーソン:詩曲 作品25

(Vn)ジネット・ヌヴー:イサイ・ドヴローウェン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1946年録音

冒頭の短いオーケストラの序奏に続いて独奏ヴァイオリンがピアニッシモで入ってきます。そして、オーケストラが沈黙する中を、そのヴァイオリンが単音で一本の旋律線を描き出していき、それが次第に音量を増していって一つの頂点に達したところで再びオーケストラが伴奏をはじめます。これは、ヴァイオリンのソリストとしては極限状態といえるほどの怖さでしょう。しかし、ヌヴーはその怖さの中を、これまた極限とも言えるほどの緊張感を維持してその一本のラインを描いていきます。そこに私は、開くはずのない壁に血を流しながら爪を立てているような姿を感じ取ってしまいます。





[2020-09-27]

バッハ:教会カンタータ 「われは神の御胸の思いに」 BWV92
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Org)Hannes Kastner (A)Soloists from Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)Hans Hauptmann 1950年1月29日録音

[2020-09-26]

ガーシュイン:ピアノ協奏曲
(P)ジュリアス・カッチェン マントヴァーニ楽団 1955年5月5日&7日録音

[2020-09-25]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第5番 イ長調 OP.18-5
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音

[2020-09-24]

スメタナ:「我が祖国(2)~ボヘミアの森と草原より・ターボル・ブラニーク」
ヴァーツラフ・ターリヒ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1954年6月10日~12日&21日, 7月2日~3日録音

[2020-09-23]

スメタナ:「我が祖国(1)~高い城・モルダウ・シャールカ」
ヴァーツラフ・ターリヒ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1954年6月10日~12日&21日, 7月2日~3日録音

[2020-09-22]

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 作品61
(Vn)ナタン・ミルシテイン:アナトール・フィストゥラーリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1963年4月1日&3日~4日録音

[2020-09-21]

バッハ:無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012
(Cello)アントニオ・ヤニグロ:1950年10月~11月録音

[2020-09-20]

バッハ:教会カンタータ 「主なる神は日なり、盾なり」 BWV79
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (Org)Ekkehard Tietze (Harpsichord)Karl Richter (S)Soloists from Thomanerchor Leipzig (A)Soloists from Thomanerchor Leipzig (T)Hans-Joachim Rotzsch (Bass)Hans Hauptmann 1950年録音

[2020-09-19]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)イヴリー・ギトリス:ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン交響楽団 1954年録音

[2020-09-18]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 OP.18-4
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音