クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

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バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119

(P)ゲザ・アンダ:フェレンツ・フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 1959年9月録音

突然の死から既に30年以上の時間が経過し、少しずつ人々の記憶から忘れ去られつつあるアンダですが、こういう録音を聞き直してみると、彼がいかに傑出したピアニストであったかを再確認させられます。
もちろん、フリッチャイの指揮も素晴らしく、二人はこの録音のあとに今後の活動についてあれこれ話し合ったそうです。もちろん、そのような計画はフリッチャイの死によって実現することはなかったのですが、もしも、白血病という病魔がフリッチャイをこの世から奪い取らなければ、どれほどの音楽を残してくれたことかとつくづく残念に思われます。


ブラームス:交響曲第2番

フルトヴェングラー指揮 ウィーンフィル 1945年1月28日ライブ録音

これは「名演」と言うよりは「歴史の証言者」のような録音です。
それにしても凄まじいブラームです。
はじめて聞いたときは仰け反ってしまうとともに、わたしに「歴史的録音」の価値を教えてくれた演奏でもありました。
フルトヴェングラーはこの時スイスへの亡命を決意しており、この演奏会の終了後に嘘の電文をベルリンに送って密かにスイスへと亡命します。戦時下という極限状態の中で生み出されたこれら一連の録音こそは、世紀をこえて永遠に受け継がれていく芸術であることだけは確かです。


レスピーギ:ローマの松

トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1953年3月17日録音

トスカニーニによるローマの松ですが、言うまでもなく「アッピア街道の松」の圧倒的な迫力にその魅力が集約されていることは当然です。しかし、それ以上に聞き落としてほしくないのは弱音部おける緊張感に満ちた凄味です。
音量は小さくなっても緊張感は全く途切れることなく、逆にその静けさの背後から「凄味」のようなモノさえ浮かび上がってきます。


ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1957年2月22日〜23日録

エロイカという作品の魅力は、整理されきっていないが故の「巨大」さがあることです。その整理されきっていない部分を整理されないままに放り出して巨大さを演出したのがフルトヴェングラーだとすれば、整理されきっていない部分を徹底的に整理して、鋼鉄の肉体をもった英雄像を構築して見せたのがセルのエロイカでした。この両者を聞けば、とても同じ作品とは思えないほどです。


チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

カンテッリ指揮 NBC交響楽団1953年2月21日録音

度肝を抜かれるというのはこういうことを言うのでしょう。
底光りのする鋼鉄の響きが一糸乱れぬ鬼のアンサンブルで驀進していきます。かと思えば、チャイコフスキーらしい叙情性にあふれた場面では実によく歌います。最初に第4番の演奏を聞いたときに思わずムラヴィンスキーの顔が浮かんだのですが、5番・6番と聞き進むうちに、なるほどこれは間違いなく、ムラヴィンスキー&レニングラードフィルの不滅の演奏に迫るものだと確信しました。なるほど、この演奏ならばトスカニーニが激賞したというのもうなずけます。


シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 Op.43

渡辺暁雄指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 1962年録音(杉並公会堂)

1962年に録音された「世界最初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集」です。
さらに、日本国内で録音されたクラシック音楽が世界的なメジャーレーベル(Epic Records)からリリースされたのもおそらく初めてだろうと言われています。
渡邉暁雄の名前は日本におけるシベリウス受容の歴史と深く結びついています。その業績は朝比奈とブルックナーの関係と較べればいささか過小評価されている感じがするのですが、60年代の初めにこれだけの録音を行い、それが世界市場に向けてリリースされたのは「偉業」と言わざるを得ません。


モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622

(Cl)マーセラス セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1961年10月21日録音

独奏楽器は実に行儀よく「オケの一パート」と化しています。そして、そんな無茶なことが実現できたのは、ソリストがオケのメンバーだったからです。
では、この演奏はつまらないのか?と問われれば答えは明らかに「ノー」です。
あまりにも手垢にまみれた表現で恐縮するのですが、モーツァルトという男の中に内包された「透明な悲しみ」が見事なまで表現されています。そして、その「透明な悲しみ」と言うものは、ほんの少しでも「色」がでてしまうとあっという間に消え去ってしまうほどに脆いものです。
おそらく、それはセルという狂気にとりつかれた男の強靱なコントロール下で、全ての奏者(ソリストも含む)が極度の緊張感を持ってその要求に応えきったことによって実現されたものでした。


ホワイトハウス・コンサート

(Vc)パブロ カザルス, (P)ミエチスラフ ホルショフスキー, (Vn)アレクサンダー シュナイダー 1961年11月13日録音

この時カザルスは既に85歳でした。
チェリストとしてのピークはとっくに過ぎ去っている事は誰の耳にも分かる事であり、それ故にこれを「3人の巨匠が感動的な演奏を繰り広げる、まさに全人類必聴の名盤」などという歯の浮いたような宣伝文句に同意する気は全くありません。
しかし、20世紀という、戦争の世紀を揺らぐことのない信念を持って生き抜いた男の剛直な思いが貫かれていることは誰の耳にも届くはずです。
レコードというものが、その言葉の本来の意味として持っている「歴史の記録」としてみれば、これは一つの歴史的証人とも言える貴重なドキュメントだと言えます。


リヒャルト・シュトラウス:最期の4つの歌

(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ ジョージ・セル指揮 ベルリン放送交響楽団 1965年9月1日~3日録音

年を重ねるにつれて、セルの棒が描き出す「夕映えの中で」の世界への共感がますます深くなってきます。
そのオーケストラ伴奏にのってシュヴァルツコップが幽かに、そして消え入るように「おお、広々とした、静かな平和よ!夕映えの中にこんなにも深くつつまれて」と歌うとき、クラシック音楽などというものを聞くことの幸せの全てがつまっているような気がします。


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23

(P)スヴャトスラフ・リヒテル:ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウィーン交響楽団 1962年9月24日~26日録音録音

リヒテルのピアノは繊細さと雄大さを兼ね備えた素晴らしいものです。
そして、カラヤンもそう言うリヒテルのピアノに主導権を奪われてなるかとばかりに豪快にオケをドライブしていきます。
「イニシアティブの取り合い」「結論の奪い合い」というところが実にスリリングであることは間違いありません。


ブルックナー:交響曲第8番ハ短調

クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘンフィル 1963年1月録音

今となっては毀誉褒貶も多く、欠点も多い演奏であることは否定できません。
しかし、それでもこの演奏が持つ強大さと作品が持つ巨大さがこれほどまでに見事に融合した演奏は他には存在しないことも事実です。
そして、その事が、録音の悪さや訳の分からない版を選択していることなどの欠点が「取るに足らない瑕疵」に思えてしまうほどの価値を持っているのです。


ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調

カール・シューリヒト指揮 ウィーンフィル 1961年11月録音

ここに刻印されたシューリヒトの個性はかなり強烈です。
表面的には素っ気なさすぎて枯れすぎた音楽に思えるかもしれません。しかし、この作品に内包された「怖さ」がこれほどまでに聞き手に迫ってくる演奏は他に思い当たりません。
とにかく、聞いていると、心臓にグサリと刺さってくるような「怖い」場面があちこちに存在するのです。


ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

(Cello)ピエール・フルニエ:ジョージ・セル指揮 ベルリンフィル 1961年6月1~3日録音

セルとフルニエの演奏は繰り返し聞かれることを宿命づけられた「レコード」というものをの本質と宿命を考え合わせれば、おそらくは最上のパフォーマンスの一つでしょう。
初めて聞いたときにはその強い個性に魅了されても、繰り返し聞くと、その個性が「灰汁」となってしまう演奏は意外と多いものです。この録音は、そう言う類の演奏とは最も隔たったところにある演奏です。


メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 作品56 「スコットランド」

クレンペラー指揮 フィルハーモニア管 1960年1月22,25,27&28日録音

誰が何と言おうと、私は断言します。数あるクレンペラーの録音の中で、このメンデルスゾーンの「スコットランド」こそが最上のものです。敢えて、「最上のものの一つ」ではなくて、「最上のもの」と言い切ります。
もちろん、異論は山ほどあるでしょうが、私にとってはもっとも愛すべきレコードの一枚です。


ショパン:ワルツ集(第1番~14番)

(P)ディヌ・リパッティ:1950年7月録音

これは疑いもなく20世紀におけるショパン演奏の一つの頂点をなすものだといえます。そして、若くしてこの世を去ったリパッティというピアニストの実力を改めて私たちに認識させてくれる演奏です。
リパッティはこの一連のワルツを順番に演奏するのではなく、彼なりの配列で、まさに全体で一つの作品であるかのように再構成をして私たちに提示してくれています。
ショパンのワルツの最大の特徴である叙情性がこれほどまでに見事に表現された演奏はそうあるものではありません。


バッハ:ゴルドベルグ変奏曲, BWV 988

(P)グレン・グールド:1955年録音

バッハ演奏の歴史はグールド以前とグールド以後に別れるという人もいます。
グールドのデビュー盤となったこの録音が発売されたときは多くの人に衝撃を与えました。しかし、多様なバッハへのアプローチを経験した今日の私たちは、残念ながらこの録音を初めて聴いた人々の衝撃を想像することはかなり困難となっています。それだけに、時にはこれを採りだして聞き直してみることには大きな意味があるのです。


シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D.810「死と乙女」

ブッシュ弦楽四重奏団:1936年録音

第1楽章から悲しみにあふれた演奏であり、とりわけ第2楽章では、未だかつて聞いたことがないほどの痛切な悲しみに彩られていて、完全な金縛り状態になってしまいます。
それにしても、これはなんという演奏でしょう。なんの気負いもてらいもなく、淡々と歌い上げているだけなのに言いようのない深い悲しみと絶望感が聞き手に迫ってきます。
冬蜂の死にどころなく歩きけり
唐突に村上鬼城のそんな句が頭に浮かんでくるような演奏でした。


ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op. 115

(Cl)レオポルド・ウラッハ :ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1952年録音

ウラッハは戦後間もない1950年代に、ウェストミンスターレーベルでモーツァルトとブラームスのクラリネット作品を全て録音してくれました。そして、その全ての演奏が半世紀以上経過した今日でもその存在価値を失っていないと言うのは、考えてみればすごい話です。
いや、存在価値を失っていないどころか、未だにこれをもってベスト盤と主張する人も少なくありません。
ウラッハの演奏の特徴は洗練されたテクニックや響きとは縁遠いものであり、そういうものとは対極にある典雅で暖かみのある鄙びた響きが特徴です。


フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調

(Vn)ジャック・ティボー (P)アルフレッド・コルトー 1929年5月28日録音

あまりこういう言い方は好きではないのですが、これをこえるようなフランクのヴァイオリンソナタは思い浮かびません。
この演奏の特徴は何と言ってもステキなポルタメント奏法にあります。今では「時代遅れ」のレッテルを貼られてこんな弾き方をする人は絶滅に瀕しているようです。確かに、下手がやると「下品」そのものになってしまうポルタメント奏法ですが、ティボーの手に掛かると何と上品で粋に聞こえることでしょう。
なお、録音は1929年という事で、「超絶的」に古いのですが、SP盤による録音がいかにすぐれたものだったのかを再認識させてくれるだけの素晴らしさを持っています。
必聴の一枚です!!


チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年4月19日録音

ライナーとハイフェッツというのは、端から見ていてもその目指すべきベクトルが同じように見えますから、かなり相性がよかったのではないかと思ってしまいます。しかし、調べてみると、この両者による協奏曲の録音は、今回紹介したブラースとチャイコフスキーの2曲だけなのです。不思議な話です。
演奏の方を聞いてみると、これは明らかにハイフェッツ主導です。好き勝手弾いているとは言いませんが、ハイフェッツのやりたいように弾かせておいて、それにライナーが実に素敵に伴奏をつけているという風情です。
いつもの聞き慣れた「チャイコン」とはずいぶん違う音が聞こえてくるような気がします。
でも、素晴らしい!!





[2019-11-22]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ロ長調 WoO.39(第8番)
ボザール・トリオ 1964年録音

[2019-11-21]

シベリウス:交響詩「タピオラ」 Op. 112
ロベルト・カヤヌス指揮 ロンドン交響楽団 1932年6月29日&30日録音

[2019-11-20]

グリーグ:ノルウェー舞曲 Op.35
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年1月3日~5日録音

[2019-11-19]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第4番ト長調 , K.41
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1966年9月10日~19日録音

[2019-11-18]

グリーグ:ペール・ギュント組曲 第2番 Op.55
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1950年12月30日録音

[2019-11-17]

シューベルト:交響曲第8(9)番 ハ長調 「ザ・グレート」 D.944
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月16日~17日録音録音

[2019-11-16]

グリーグ:ペール・ギュント組曲 第1番 Op.46
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1950年12月30日録音

[2019-11-15]

ベートーベン:ヴァイオリンソナタ第10番 ト長調 Op.96
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ (P)ロベール・カサドシュ 1958年5月12日~17日録音

[2019-11-14]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1964年1月26日録音

[2019-11-12]

ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
パレナン弦楽四重奏団:1950年代初頭録音