クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



Home|名演奏を聞く

名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名演奏を聴く~今週の一枚(一覧表示)



メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1967年5月25日録音

セルが目指した理想のオーケストラとしてのクリーブランド管が完成したこの時期には、まさにセルはこの楽器を自由自在に操っています。基本的には早めのテンポで精緻な合奏を実現しているのですが、それはひたすら機械的に縦のラインを揃えているだけでなく、時々フッとテンポをゆるがしたりする事によってこの作品が本質的に持っている「翳り」のようなものも見事に表現しています。


ベートーベン:交響曲第5番 ハ短調 , Op.67 「運命」

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1959年5月4日録音

このフリッツ・ライナーとシカゴ響による演奏に関しては何も付け加える必要はないでしょう。
細かい楽譜の話などはここでは必要はありません。私がベートーベンという男から受け取りたいメッセージが力強く伝わってくる演奏です。ただ黙して聞くのみです。


ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88

ヴァーツラフ・ターリヒ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1951年10月28日~31日録音

不思議なことに、こういうターリッヒのように熱く民族への賛歌を歌い上げるような演奏はそれほど多くはないのです。それは、彼のあとを継いでチェコ・フィルを率いたクーベリックやアンチェルにしても同様です。そして、その背景に様々な政治的要因が重なって、おそらくはそこまで屈託もなく民族の誇りを歌い上げることには躊躇いを感じてしまったのでしょう。


シェーンベルク:ワルシャワの生き残り Op.46

ハンス・スワロフスキー指揮 ウィーン交響楽団 (語り)ハンス・ヤーライ、アカデミー室内合唱団 1952年10月28日&30日録音

短いながらも大規模な管弦楽と男声合唱を伴う「ワルシャワの生き残り」の演奏は大きな困難を伴うと思われるのですが、スワロフスキーはその優れた指揮テクニックで見事にその大規模編成を統率しています。
また、12音技法という論理によって構築されている音楽を、精緻な楽曲分析によってホロコーストの非条理さや、ユダヤの呻きのような感情へと見事に変換している事に強い共感を覚えます。


バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番より「シャコンヌ」

(Vn)ヴァーシャ・プシホダ 1949年録音

ここでのプシホダの「シャコンヌ」は、バッハの「シャコンヌ」を演奏したと言うよりは、ブゾーニがピアノ用に編曲したものをもう一度ヴァイオリンで演奏したような雰囲気になっていて、まるでロマン派小品のようなホモフォニックな響きが前面に出ています。
ところが、プシホダらしい「妖艶」な響きでそんな風に演奏されてしまうと、聞き手にとってはそれはそれで実に面白いので困ってしまうです。
これを名演というには躊躇いがあるのですが、面白いと言うことでは最右翼です。


モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K364

ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 (Vn)ラファエル・ドルイアン (Va)エイブラハム・スカーニック 1963年12月28日録音

私にとってこの作品はモーツァルトの中でも特別なポジションを占めていました。
何故ならば、モーツァルトといえども、青春というものがもつ悲しみをこれほどまでに甘く、そして痛切に描ききった作品はないからです。

そして、そう言う痛いまでの切なさがこのセルとクリーブランド管による演奏から伝わってくるのです。おそらくこの作品の第2楽章ほどに、セルの透明感あふれるロマン性が刻み込まれた演奏はないでしょう。


モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

(Cl)ベニー・グッドマン:ボストン・シンフォニー四重奏団 1956年7月12日録音

これほどまでにクラリネットと弦楽四重奏が親密に解け合っている演奏は他には思い当たりません。普通ならば、もう少しクラリネットが前面に出てくるものですが、ここではその両者が見事なまでに渾然一体となった音楽を聞かせてくれます。
おそらく、「ボストン・シンフォニー四重奏団」というのは、ボストン響の弦楽セクションの首席あたりで構成されているのでしょうが、おそらく彼らとグッドマンは実に楽しい夏休みをともに過ごしたのでしょう。そう言う幸せで愉快な雰囲気が聞き手にまでしっかりと伝わってくる演奏です。


マーラー:交響曲第9番 ニ長調

レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1965年12月16日録音

弟子であったワルターやクレンペラーが結局は成し遂げられなかったマーラーの再評価、マーラールネッサンスをこのアメリカの若者は実現したのです。そして、これに続く時代はこの録音を一つの基準として様々なマーラー像が探られていったのです。
もちろん、バーンスタイン自身もこの地点にとどまることなく、再度、新しいマーラー像を問うことになるのですが、それでも、このニューヨーク時代のマーラー演奏の価値は失われることはありません。


シュトラウス:ウィンナーワルツ集(1960年録音)

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1960年4月25日~26日録音

この精緻なアンサンブルに支えられた艶やかなオーケストラの響きは、あのウィーンフィルでさえ到底及ぶものではありません。アンサンブルの精緻さではセル統治下のクリーブランド管弦楽団ならば肩を並べることは出来てもこの艶やかさには及ぶべくもありません。それは、昨今のハイテクオケについても同様です。
そして、もう一つ指摘しておきたいのは極上の響き見事にとらえきったRCA録音の素晴らしさです。おそらく、今もってこのレベルをこえるような録音はそれほど多くはないはずです。


モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 "Jupiter", K.551

アンドレ・ヴァンデルノート指揮 パリ音楽院管弦楽団 1957年録音

この時、ヴァンデルノートは30歳になったばかりです。
演奏の基本的なスタンスは、この時代を席巻していたザッハリヒカイトな音楽作りでしょう。一見すると早めのインテンポで、彼は指揮台で何もしていないように聞こえます。しかし、聞こえてくる音楽はこの上なくしなやかで生命観にあふれていて、そこにはザッハリヒカイトという言葉から連想される素っ気なさや硬直した雰囲気などは微塵も存在しません。
酒に溺れなければ素晴らしい指揮者になったと思うのですが、若き日の素晴らしい姿が記録として残っただけでも良しとすべきなのでしょう、


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調, Op.23

(P)エミール・ギレリス フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1955年10月29日録音

ここでのギレリスは、ライナーに向かって斬りつけるようなことはしていませんが、それでもライナーの音楽の中で、己の音楽を精一杯主張してそれは十分に成功をおさめています。
そして、そう言う録音がデビュー盤だったのですから、鉄のカーテンの向こうから姿を表したロシアンピアニズムの凄さに西側世界は強烈な衝撃を受けたことでしょう。
そう言う意味で、二重、三重に恐るべしギレリス!!・・・と言える録音なのです。


ヘンデル:水上の音楽(クリュザンダー版)

エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1958年7月1日~5日録音

今や、バロック時代の音楽を演奏しようと思うとややこしいテキストの問題に向き合う必要があり、精緻であってもどこか神経質な感じがする演奏が多いのは否定できません。もちろん、個人的にはああいう原理主義的な音楽は好きではないのですが、最近はそれなりに存在価値はあるのかな・・・くらいには心が丸くなっています。
しかし、そう言う演奏ばかり聞いていると、ヘンデルくらいはたまにはこういう大らかでのびのびした演奏で聞きたくなります。ベイヌムはコンセルトヘボウの響きを最大限に生かして、驚くほど透明感のある「水上の音楽」を実現しています。


ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op. 115

(Cl)レジナルド・ケル ファイン・アーツ弦楽四重奏団 1951年10月2日~5日録音

このブラームスのクインテットなどは音楽そのものがダークなので、ウィーン風のダーク・サウンドよりもこっちの方が絶対にいいよ、とは言いきれない部分はあります。
とは言え、クラリネットはダークばかりが魅力じゃないよと言うことを教えてくれるという意味では価値のある録音です。特に、定番のウラッハの録音に情緒過多を感じる人がいれば絶対にお薦めの一枚です。


シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120

グィード・カンテッリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1953年5月15日&21日録音

こういう演奏を聴くと、カンテッリにとっては自分を引き上げてくれたトスカニーニの影響は大きかったのかなと思ってしまいます。
「ベートーベンのエロイカといえどもそれはただのアレグロ・コン・ブリオにしかすぎない」と言ったトスカニーニの方法論を、それこそ真っ正直に、ある意味では原理主義的に信じて適用すれば、シューマンの4番もまたこのような姿を見せるのかもしれません。


ガーシュイン:ラプソディー・イン・ブルー

(P)ジュリアス・カッチェン マントヴァーニ楽団 1955年5月5日&7日録音

マントヴァーニと言えばヴァイオリンの響きを巧みに生かしたイージー・リスニングの第一人者というのが通り相場です。当然の事ながら、クラシック畑の人間からすれば「軽く」見られる存在であったことは否定できません。
カッチェンの方はいつものように冴えわたった響きでかなりキッチリと演奏しています。
しかし、それをサポートするマントヴァーニと彼のオーケストラは実に楽しそうに、そして粋に音楽を縁取っていきます。
こういう風にたっぷりとした響きで、入念に歌わせていくというスタイルはクラシック畑の指揮者には出来なくなってしまいました。


プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op.26

(P)サンソン・フランソワ:ヴィトルド・ロヴィツキ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1963年6月27日~29日録音

かなり遅めのテンポで、さらに一つ一つのフレーズに彼ならではの独特なニュアンスを付与しています。
つまりは、結果としてはプロコフィエフの楽譜を使ってフランソワの音楽を演奏しているように聞こえるのです。
そして、超絶技巧が必要なピアノ・パートにその様な主情性を付与していくというのはとんでもない技だと思うのですが、そのとんでもないことをやりきるテクニックををフランソワは持っていたのです。


パガニーニ:モーゼ幻想曲

(Vn)イダ・ヘンデル:(P)アルフレード・ホレチェク 1962年録音

たまにはこういう小品もいいでしょう。あのパガニーニがこのような叙情的なメロディを書いていたのかと驚かされたのですが、イダ・ヘンデルの妖艶さは見事なものです。そして、パガニーニの作品なんだからこのまま終わるはずはないだろうと期待していると、パガニーニも、そして演奏するイダ・ヘンデルもその期待に見事に答えてくれる締めくくりでこの作品を仕上げています。こういう演奏は最近はなかなか聞けなくなってしまいました。


モーツァルト:交響曲第38番 k.504 ニ長調 「プラハ」

カール・シューリヒト指揮 パリ・オペラ座管弦楽団 1963年6月録音

シューリヒトという人は基本は「理」の人だったのです。
ですから、複雑さの極みに成り立っている「プラハ」のような作品だと俄然やる気が出て、素晴らしい疾走感の中でその精緻な構造を見事に浮き彫りにしています。
さらに言えば、いつもなら少しは気になる響きの薄さがこういう作品だとそれほど気になりませんし、いささかがさつなところのあるオペラ座のアンサンブルも「怪我の功名」でその薄味を緩和するために役立っています。


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23

(P)シューラ・チェルカスキー レオポルト・ルートヴィヒ指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1951年録音

ここで聞くことのできるチャイコフスキーはまさに「美しきポエム」のような世界なのです。
それはピアノだけでも実現不可能ですし、オケだけでも実現不可能です。
こういう「ポエムの世界」を実現するためにはソリストと指揮者、そしてオーケストラのプレーヤーとの間で「こういうチャイコフスキーの世界を作ろう!」という認識が共有されていなければ絶対に実現できない世界です。


チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op.48

バルビローリ指揮 ロンドン交響楽団 1964年9月1日~2日録音

このチャイコフスキーの弦楽セレナードはバルビローリの本質がよくあらわれた演奏と録音になっています。残念なのは、オケがハレ管ではなくてロンドン交響楽団であることです。
つまりは「上手すぎる」ので、最後の最後で「馬鹿」になりきれていない感じがすることです。
もちろん、客観的に見ればその方がはるかに完成度が高いことは疑いはないのですから、それは聞き手の勝手な願望なのでしょう。





[2022-05-18]

ワーグナー:「リエンツィ」序曲
ハンス・スワロフスキー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1952年7月15日録音

[2022-05-17]

メンデルスゾーン:交響曲第1番 ハ短調, Op.11
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1967年6月録音

[2022-05-15]

ヴォーン・ウィリアムス:グリーンスリーヴスによる幻想曲
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1954年6月5日録音

[2022-05-13]

モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調, K.581
(Clarinet)ジャック・ランスロ:バルヒェット四重奏団 1959年2月録音

[2022-05-10]

J.S:バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第3番 ホ長調, BWV1016
(Vn)ラインホルト・バルヒェット:(Cembalo)ロベール・ヴェイロン=ラクロワ 1960年録音

[2022-05-08]

ヨハン・シュトラウス:喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
ハンス・スワロフスキー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1957年9月19日録音

[2022-05-06]

オッフェンバック:ジェロルスタン大公妃
ジャン・マルティノン:ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1951年録音

[2022-05-05]

メンデルスゾーン: 交響曲第2番 変ロ長調, Op.52 「讃歌」(2)
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 (S)ヘレン・ドーナト,ロートラウト・ハンスマン (T)ワルデマール・クメント ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 ニュー・フィルハーモニア合唱団 1967年6月録音

[2022-05-04]

メンデルスゾーン: 交響曲第2番 変ロ長調, Op.52 「讃歌」(1)~Sinfonia
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 (S)ヘレン・ドーナト,ロートラウト・ハンスマン (T)ワルデマール・クメント ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 ニュー・フィルハーモニア合唱団 1967年6月録音

[2022-05-03]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
(P)マリア・ユーディナ:1950年録音