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名演奏を聴く~今週の一枚(最新の20件)

名演奏を聴く~今週の一枚(一覧表示)



ホロヴィッツ/カーネギー・ホール ザ・ヒストリック・コンサート

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ 1965年5月9日録音

正直言って今さら何もつけくわえる必要のない録音です。
このコンサートの実施が決まると大変な熱狂が巻き起こり、演奏会のチケット発売前夜には、冷たい雨と強い風の中であったにもかかわらず、1000人を超えるファンが徹夜でカーネギー・ホールを取り囲みました。
それを聴いたホロヴィッツの夫人(トスカニーニの娘ですね)は自ら温かい珈琲を配って回ったという話は有名ですし、その夫人は並んでいる人から「もう12時間待っているんです」と言われたのに対し、「私は12年待ったのよ」と切り返したというのも有名なエピソードです。


チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」

マルケヴィッチ指揮 ロンドン交響楽団 1962年1月9~12日録音

マルケヴィッチの方法論はどの作品においても徹底されていて、まさに作曲家としての目をもって作品を徹底的に分析し、その構造を誰の耳のも分かるように提示します。そして、その様な音楽の作り方は、ドラマ性に満ちたフルトヴェングラー流の音楽の作り方や、カラヤンの流線型の美学のような「分かりやすさ」とは無縁のところに存在します。
ただし、だからといって、私はマルケヴィッチをフルトヴェングラーやカラヤンの上に置こうとは思いません。
ただ、気をつけたいのは、マルケヴィッチの音楽に対して、その様な分かりやすさが希薄だという理由で「駄目出し」をしてしまうことに注意しないといけないと思うのです。


モーツァルト:ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488

(P)マリア・ユーディナ:アレクサンドル・ガウク指揮 モスクワ放送交響楽団 1943年録音

彼女の音楽で本当に素晴らしいのは緩徐楽章における深い祈りです。それは、スターリンを感動させたイ長調コンチェルトの中間楽章でも明らかです。
おそらく、彼女が手紙にしたためた言葉は一編の嫌みもない真実の言葉だったのでしょう。スターリンが「国民や国に対して大きな罪を犯している」というのも真実でしょうし、そう言うスターリンに対して「神が許してくれるよう、昼も夜も神に祈りを捧げてまいる所存です。」というのも真実なのでしょう。
この中間楽章には、その様なユーディナの偽りのない祈りが聞き取れます。


バルトーク:管弦楽のための協奏曲, Sz.116

カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1963年3月録音

アンチェルによる「管弦楽のための協奏曲」は、何よりもチェコ・フィルとのコンビで作りだされる響きにこそ魅力があります。そして、その響きでもって、実に親しみやすく音楽を運んでいきます。
「管弦楽のための協奏曲」はバルトーク作品の中ではもっとも「聞きやすい」作品に分類されるとは思うのですが、それでも古典派やロマン派の音楽に慣れ親しんできた人にとってはやはり取っつきにくい音楽であることは否定できません。その意味では、バルトークのような20世紀らしい作品に初めて挑戦しようとする人にとってはお薦めの録音だと言えそうです。


ベートーベン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」 嬰ハ短調 Op.27-2

(P)ウラディミール・ホロヴィッツ:1946年11月21&26日録音

ホロヴィッツの感情の発露と、それを説得力をもって聞き手に届ける「指のサーカス」の力は、ベートーベンの「論理」さえねじ伏せてしまうかのような力を持ってしまったようです。。
歌うべきところは徹底的に歌わせ、驀進するベートーベンはまさにホロヴィッツ以外では為し得ないような狂気すら感じるほどのパワーを見せつけました。
そう言えば、私の知人がこの「月光」の第3楽章を「月見て狂ったのか」といったことがあるのですが、その言葉がピッタリあてはまるのがこのホロヴィッツの演奏でしょう。


ベートーベン:ピアノ協奏曲第4番 ト長調, 作品58

(P)ヴィルヘルム・バックハウス:クレメンス・クラウス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1951年5月31日録音

ベートーベンの積み上げた論理を作曲家になりかわって誠実に、そして確信を持って再現しきっている録音であって、さらに言えば、バックハウスならではのピアノの響きの美しさも印象的です。
また、クレメンス・クラウスとウィーン・フィルとの相性の良さも聞き物です。決して、軽くはないのですが、かといってベートーベンだからと言うことで重々しくなることもありません。そして、そう言うクレメンスとバックハウスの二人がお互いの特徴を引き立てあっているように聞こえます


モーツァルト:ピアノソナタ第13番 変ロ長調, K.333/315c

(P)ジュリアス・カッチェン 1954年9月27日~29日録音

ピアニストにとっては、ラフマニノフやプロコフィエフのように10本の指で大量の音符を処理する事が要求されることも大変ですが、このように全ての音符を同じ音色、音量で粒立ち良くつなげていくというのも、また異なった難しさがあるという話を聞いたことがあります。その「難しいこと」をカッチェンは見事にやり遂げています。


ワーグナー:ジークフリート牧歌

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 1962年11月録音

こういう晩年のクナパーツブッシュの音楽を昼寝をしているような音楽だと思う人がいても全く怪しみません。当たり前のことですが、今だったらあり得ないというか、許されないような演奏であって、「あなた、楽譜が読めるんですか?」と突っ込みが入っても不思議ではないでしょう。
ただし、そう言ういい加減さを嬉しく思える人も少ないことも事実なのです。たとえ、年寄りの懐古趣味と言われても・・・。


ヴェーベルン:夏風の中で

ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1963年2月17日録音

一般的にはウェーベルンの作品とはもっとも相性が悪いように思われるオーマンディ&フィラデルフィア管との組み合わせが、この完璧なまでに後期ロマン派の音楽になっている「牧歌 風の中で」ではドンピシャリと言えるほどの相性の良さなのです。
その豊麗な響きはこの作品の魅力を十分に引き出しています。


ヤナーチェク:シンフォニエッタ

カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1961年1月9日~11日録音

冒頭の金管群の晴れ々しいファンファーレは実につやのある音色で、金管の別働隊は左右両翼に分散して配置されステレオの掛け合いが見事に表現しようとしているようです。第3楽章はチェコフィルが誇る弦楽器群の力の見せ場と言えるでしょう。そして、最大の聞きどころはフィナーレの一糸乱れぬアンサンブルで繰り広げられる音の饗宴でしょう。ブラスの響き分厚く、そこに極上の弦が絡みあって極上のサウンドを響かせています。もちろん、セルの冷徹なる「狂気」をはらんだ演奏も悪くはないのですが、それとは全く別の地平線上でこれほどの音の世界を形作れるのだと心底感心させられました。


ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53

(Vn)ヨハンナ・マルツィ:フェレンツ・フリッチャイ指揮 RIAS交響楽団 1953年6月3日~5日録音

ドヴォルザークの協奏曲はチェロの協奏曲とくらべれば演奏機会はぐっと下がるのですが、音楽的には遜色ないほどの旋律美を持っていて、さらには民族的な色彩にも不足はない作品です。
おそらく、個人的にはこの作品のほぼベスト言える演奏ではないかと思うのですが、何故かほとんど話題に上がることはありません。それは、若くして実質的に演奏家としての第一線から退いてしまい、その後は近況もほとんど伝わらず、1979年にスイスで亡くなったときはいまだ59歳であり、その死去も随分たってから世に知られるようになるほどの「忘却」ぶりだったからでしょう。


フランク:チェロ・ソナタ イ長調(ヴァイオリン・ソナタからの編曲)

(Cello)レナード・ローズ:(P)レオニード・ハンブロ 1952年6月11日&18日録音

これはチェロという楽器の響きが好きな人にとってはたまらない録音でしょう。ロマン派屈指の名作とも言うべきフランクのヴァイオリン・ソナタをそのままチェロに置き換えて演奏したものです。ほぼ、そっくりそのままヴァイオリンをチェロに置き換えたようなのですが、小回りのききにくいチェロで演奏するとなるとかなり大変ではないかと思われます。
しかしながら、この演奏にはそのようなもたつきは一切感じられません。さすがは、50年代に「完全無欠のテクニックに恵まれている」と評されたレナード・ローズだけのことはあります。


コレッリ:合奏協奏曲 作品6 第8番 ト短調 (クリスマス協奏曲)

ソチエタ・コレルリ合奏団 1952年録音

かつて、イ・ムジチの四季を「アルプスの南側の演奏」、ミュンヒンガーの「四季」を「アルプスの北側の演奏」と呼んだのですが、何もアルプスを越えなくてもイタリアのど真ん中にザッハリヒカイトなバロック音楽が存在したのです。
ここには、聞き手に媚びる甘さは何処を探しても存在しません。あるのは、スコアだけを頼りに、作品が持つ本質に真摯に迫ろうとする気迫だけです。
しかし、残念なことに、この厳しさは多くの聞き手から好意を持って受け入れられることはなかったようです。そのために、「ソチエタ・コレルリ合奏団」は10年あまりの活動で解散してしまったのは実に残念なことでした。


ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

ルネ・レイホヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1961年1月~4月録音

レイホヴィッツはエロイカといえどもその巨大さに拘るのではなく、いくつもの声部が美しく絡み合い、その絡み合いの中から生まれる和声の響きの美しさを追求しています。そして、嬉しいのは、そう言うレイホヴィッツの意図を汲んだかのごとき透明度の高い録音で演奏がすくい取られていることです。
この録音を60年代初頭という時期においてみれば、その革命的なまでの新しさは明らかです。


サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 Op.78「オルガン付き」

ポール・パレー指揮 (Org)マルセル・デュプレ デトロイト交響楽団 1957年10月12日録音

パレーにとっての「オルガン付き」は名刺代わりみたいな作品です。独襖系のシンフォニーではあれほど強めのアタックと快足テンポで攻撃的に攻めたのに対して、フランス系の音楽では実にゆったりと美しく音楽をならしています。
それから、録音の素晴らしさも特筆ものです。1957年10月とクレジットされていますから、まさにステレオ録音の黎明です。にもかかわらず、この切れば血が出そうなほどの生々しさは今もってこれを凌ぐのは難しいでしょう。


ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.61[カデンツァ:ヨアヒム]

(Vn)ヨーゼフ・シゲテ:ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1947年4月5日録音

ベートーベンの音楽というものは、演奏家に対して常に本気で全力を投入することを要求します。しかし、それは技術的に全力で臨まなければ演奏が困難なほどに難しいというわけではなく、演奏家がベートーベンという巨大な存在と向き合い、その存在の意味を常に問い続けなければいけないという意味での全力です。
それ故に、高いスキルを持って余裕綽々で弾きこなしたとしても、聞き手にとっては虚しさしか残らないのです。
そう言う意味では、このシゲティの演奏こそは、ベートーベンという存在に限りなく近づこうと身を削るようにチャレンジした演奏だと言い切れます。


ベートーベン:ホルン・ソナタ ヘ長調 作品17

(Hr)デニス・ブレイン:(P)デニス・マシューズ 1944年2月22日録音

この録音はもしかしたら、ヒストリカル音源を楽しめるかどうかのリトマス試験紙かもしれません。SP原盤時代の録音ですからパチパチノイズは満載ですが、そのノイズの向こう側に驚くほど明瞭にホルンとピアノの響きがとらえられています。
ここで、どうしてもパチパチノイズが気になって音楽が楽しめないという人は、無理をせずにヒストリカルの世界とは縁を切った方がいいでしょう。
しかし、最初は気になっても、聞き進めていくうちにホルンとピアノの響きに魅了されテイクという人は、どんどんとこのディープな世界に足に踏み込んでいっても、人生における貴重な時間の無駄遣いとはならないでしょう。


バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽, Sz.106

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1958年12月28日~29日録音

機能というものは表現すべき音楽があってこそ意味を持つのであり、音楽が枯渇していく中で機能だけが一人歩きすればそれはひたすら虚しいだけなのです。
それは逆から見れば表現すべき音楽があって、そこに高い機能が奉仕するときにどれほど凄いことが実現できるかの見本がここにはあると言うことです。


ファリャ:スペインの庭の夜

(P)クララ・ハスキル:イーゴリ・マルケヴィッチ指揮 コンセール・ラムルー管弦楽団 1960年10月録音

ハスキルとファリャというのは、全く想像もつかない組み合わせなのですが、この作品に漂う何ともいえないけだるいスペインの夜の雰囲気が見事に表現されています。
ただし、そのけだるさは曖昧な響きとして表現されるのではなくて、この上もなくクリアな響きを通して実現されています。


ハイドン:交響曲第44番 ホ短調「悲しみ」, Hob.I:44

シモン・ゴールドベルク指揮:オランダ室内管弦楽団 1958年9月22日~23日録音

このゴールドベルクのハイドンはクレンペラーなどの演奏とは対極にあるような演奏であり、まるでそれはモーツァルトの初期シンフォニーを聴いているような思いになってしまうのです。
とはいえ、そんな聞き方は何処か違うだろうという声が聞こえてきそうなのですが、聞き手にとっては実に楽しく、心安らかに聞けるハイドンになっていることだけは認めていただけるのではないでしょうか。





[2022-12-05]

R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」, Op.30
カール・シューリヒト指揮:シュトゥットガルト放送交響楽団 1953年12月4日録音

[2022-12-04]

テレマン:ターフェルムジーク 第2集 四重奏曲 ニ短調(2つのフルート、リコーダー、チェロと通奏低音のための)
フランス・ブリュッヘン指揮 アムステルダム合奏団 (Vn)ヤープ・シュレーダー、ジャック・フルトマン、マリー・レオンハルト (Harpsichord)グスタフ・レオンハルトt 1965年1月録音

[2022-12-03]

マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 ウィーン交響楽団 1953年録音

[2022-12-02]

J.S.バッハ:アリア(管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068より)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1946年4月8日録音

[2022-12-01]

ボロディン:交響曲第2番 ロ短調
ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1941年12月7日録音

[2022-11-30]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 , K.449
(P)モニク・アース:フェルディナント・ライトナー指揮 ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1957年録音

[2022-11-29]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第1番 ハ長調, BWV1066
ヘルマン・シェルヘン指揮 イングリッシュ・バロック管弦楽団 1954年9月録音

[2022-11-28]

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調, op.47
(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ:サー・トーマス・ビーチャム指揮 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1935年11月26日録音

[2022-11-27]

テレマン:ターフェルムジーク 第2集 序曲 (管弦楽組曲) ニ長調(オーボエ、トランペット及び弦楽合奏と通奏低音)
フランス・ブリュッヘン指揮 アムステルダム合奏団 (Harpsichord)グスタフ・レオンハルトt (Oboe)アド・マーター (Trumpet)モーリス・アンドレ 1965年1月録音

[2022-11-26]

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調, K.551「ジュピター」
クレメンス・クラウス指揮:ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団 1952年3月13日録音