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ベートーベン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」


ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1954年12月4日録音


音楽史における最大の奇跡

今日のコンサートプログラムにおいて「交響曲」というジャンルはそのもっとも重要なポジションを占めています。しかし、この音楽形式が誕生のはじめからそのような地位を占めていたわけではありません。
 浅学にして、その歴史を詳細につづる力はありませんが、ハイドンがその様式を確立し、モーツァルトがそれを受け継ぎ、ベートーベンが完成させたといって大きな間違いはないでしょう。

 特に重要なのが、この「エロイカ」と呼ばれるベートーベンの第3交響曲です。
 ハイリゲンシュタットの遺書とセットになって語られることが多い作品です。人生における危機的状況をくぐり抜けた一人の男が、そこで味わった人生の重みをすべて投げ込んだ音楽となっています。

 ハイドンからモーツァルト、そしてベートーベンの1,2番の交響曲を概観してみると、そこには着実な連続性をみることができます。たとえば、ベートーベンの第1交響曲を聞けば、それは疑いもなくモーツァルトのジュピターの後継者であることを誰もが納得できます。
 そして第2交響曲は1番をさらに発展させた立派な交響曲であることに異論はないでしょう。

 ところが、このエロイカが第2交響曲を継承させ発展させたものかと問われれば躊躇せざるを得ません。それほどまでに、この二つの間には大きな溝が横たわっています。

 エロイカにおいては、形式や様式というものは二次的な意味しか与えられていません。優先されているのは、そこで表現されるべき「人間的真実」であり、その目的のためにはいかなる表現方法も辞さないという確固たる姿勢が貫かれています。
 たとえば、第2楽章の中間部で鳴り響くトランペットの音は、当時の聴衆には何かの間違いとしか思えなかったようです。第1、第2というすばらしい「傑作」を書き上げたベートーベンが、どうして急にこんな「へんてこりんな音楽」を書いたのかと訝ったという話も伝わっています。

 それほどまでに、この作品は時代の常識を突き抜けていました。
 しかし、この飛躍によってこそ、交響曲がクラシック音楽における最も重要な音楽形式の一つとなりました。いや、それどことろか、クラシック音楽という芸術そのものを新しい時代へと飛躍させました。
 事物というものは着実な積み重ねと前進だけで壁を突破するのではなく、時にこのような劇的な飛躍によって新しい局面が切り開かれるものだという事を改めて確認させてくれます。

 その事を思えば、エロイカこそが交響曲というジャンルにおける最高の作品であり、それどころか、クラシック音楽という芸術分野における最高の作品であることをユング君は確信しています。それも、「One of the Best」ではなく、「The Best」であると確信しているユング君です。

ミスター・メトロノームなんて言わせない!!


ライナーのことを「あいつはメトロノームだ!!」と言ったのは誰だったのでしょうか?おかげで、ミスター・メトロノームという有り難くないニックネームを頂戴しているライナーですが、50年代にシカゴ響のシェフに就任して最初の黄金時代を築いたこともこれまた事実です。

トスカニーニ・ライナー・セルという系譜から思い浮かぶのは「鬼のように怖い」でしょうか・・・(^^;
そのおかげで・・・?、それぞれが手兵としたオーケストラはその徹底した訓練によって同時代の他のオケと比べれば隔絶した合奏能力を獲得しました。
しかし、オケの能力は90年代以降飛躍的に上昇したように感じます。
それは早期からの英才教育が一般化してオケのメンバーの技量が向上したことが一番の理由だと思うのですが、録音がアナログからデジタルに移行することによって細部の曖昧さがあからさまにさらけ出されるようになったことも大きな要因になったのではないかとユング君はにらんでいます。
ですから、そう言うハイテクオケが一般化した現在からこの50年代の録音を振り返ってみれば、その合奏精度という点では一歩も二歩も譲ると言わざるを得ません。ですから、彼らの演奏をそう言う面からのみとらえて評価するならば、それは一つの時代のランドマークとしての意味しか持たないことになります。
しかし、忘れてならないのは、彼らはその合奏能力を誇示することを目的としたのではないと言うことです。彼らにとって合奏能力の高さはあくまでも手段であって、目的としたものは、その能力を活用して実現を目指した「己の音楽」だったことは言うまでもないことです。
ここで聞くライナーの音楽の最大の特徴は一切の曖昧さを排除したこの上もなくクリアなベートーベン像の描出です。とりわけ、最終楽章の驀進するベートーベンをこれほどもクリアに描き出した演奏はそうあるものではありません。最後の頂点を目指して整然と組み立てられた論理を緻密に再現することを通して、驀進するベートーベンを描き出していく手際はこの上もなく見事です。
それは決して「それいけどんどん」の勢いだけの音楽に堕するのではなく(固有名詞はあげませんが、最近はこの辺を勘違いしている指揮者が少なくありません)、「高い知性と強固なコントロールによってベートーベンは驀進している」という事実を思い出させてくれる演奏です。

最後に、ついでながらですが、この時代のオケはどこも重心の低いずっしりとした響きで音楽をやっています。ピッチを上げて、一見すると華やかだけれども、どこか腰高で軽薄さを感じる昨今のオケの響きに不満を感じるのは私だけでしょうか。

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