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ヘンリー・パーセル:ヴィオールのための幻想曲集(Henry Purcell:Fantasies For Viols)

スコラ・カントゥルム・バジリエンシス・ヴィオール属合奏団:1954年4月29日~5月3日録音(Gambenconsortder Schola Cantorum Basiliensis:Recorded on April 29-May 3,1954)

Henry Purcell:Fantasies For Viols [1.Fantasia I A 3 In D Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [2.Fantasia II A 3 In F Major]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [3.Fantasia III A 3 In G Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [4.Fantasia IV A 4 In G Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [5.Fantasia V A 4 In B-Flat Major]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [6.Fantasia VI A 4 In F Major]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [7.Fantasia VII A 4 In C Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [8.Fantasia VIII A 4 In D Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [9.Fantasia IX A 4 In A Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [10.Fantasia X A 4 In E Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [11.Fantasia XI A 4 G Major]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [12.Fantasia XII A 4 In D Minor]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [13.Fantasia XIII A 45 in F Major "Upon One Note"]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [14.Fantasia XIV A 6 In G Minor "In Nomine"]

Henry Purcell:Fantasies For Viols [15.Fantasia XV A 7 In G Minor "In Nomine"]


こんなことを書いていましたね。

私には、ヘンデルやヴィヴァルディ、パーセルなどのバロック時代の、それもとりわけ彼らの器楽作品について一つずつ取り上げてその内容を詳しく紹介する能力はありません。しかしながら、そう言う作品を次々と聞いていると、そのどれもが人の耳には心地よく響くことだけは保障が出来ます。

とはいえ、ぼちぼちと一つずつ取り上げて紹介していく必要があるでしょう。まずは、手始めはパーセルです。

イギリスは長く音楽の「消費国」でした。
そんなイギリスの事を皮肉って「ヘンリー・パーセルの死から、エドワード・エルガーが登場するまでの約200年間、イギリスには世界的な大作曲家が現れなかった」と言われたものです。

つまりは、そういう言い方をされるほどに、パーセルというのはイギリスにおいて大きな存在だったのです。

ヘンリー・パーセル(Henry Purcell, 1659?1695)は、イギリス・バロック音楽を代表する最大の作曲家であり、「英国のオルフェウス(Orpheus Britannicus)」と称えられた天才でした。そして、36歳という短命でありながら、王室、教会、劇場のために多岐にわたる傑作を残し、後世のエルガーやブリテンに至るまでイギリス音楽史に計り知れない影響を与えた存在でした。

そんなパーセルが21歳の頃に集中して作曲したとされるのが「ヴィオールのための幻想曲集」でした。

当時のイギリスはチャールズ2世の王政復古に伴い、フランスやイタリアの新しい音楽スタイルであるヴァイオリン属の台頭、通奏低音を伴うソナタ形式などに流入していた時期でした。
これに対し、ヴィオールは多声ポリフォニーを追求する「古風な内省的音楽」でした。
パーセルはこの時代遅れになりつつあった伝統様式をあえて取り上げ、極めて密度の高い対位法作品群を生み出したのです。
それは、イギリス・ルネサンスから続く伝統的なコンソート音楽の歴史における一つの到達点であり、同時に「事実上の終止符」を打つ作品となりました。

この曲集は、3声から7声までの多彩な編成で構成されています。

  1. 3声の幻想曲全3曲
    声部数が少ない分、対位法の透明度が高く、洗練された掛け合いが際立つ。

  2. 4声の幻想曲全9曲
    曲集の中核。1680年の6月から8月にかけて集中的に書かれた。

  3. 5声の幻想曲1曲
    「一音のインノミナテ (Upon One Note)」として知られる奇想の傑作。

  4. その他のコンソート
    6声・7声のインノミナテ、イン・ノミネなどトマス・タリス以来の「In Nomine」主題を用いた伝統的ポリフォニー。



「一音のインノミナテ」とは聞きなれない用語です。AIさんに聞いてみると、こういうことだそうです。

5声の幻想曲では、第4声部(テナー)が曲を通じてずっと「C(ド)」の音を全音符で伸ばし続けるという厳密な制約が課されています。
その周りを他の4つの声部が縦横無尽に複雑なポリフォニーを展開し、全く飽きさせない色彩豊かな和声を生み出すという、パーセルの圧倒的な技法とユーモアが横溢した作品です。

だそうです・・・。


心穏やかに安心して聞ける演奏

アウグスト・ヴェンツィンガー(August Wenzinger)は、20世紀における古楽復興運動の基盤を築いたスイスのチェロ奏者、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者であり、指揮者、音楽学者としても多くの仕事を成し遂げた人物です。
スイス・バーゼルに生まれ、バーゼル音楽院でパウル・グリュンマーにチェロを学びました。グリュンマーの影響もあってか、早くからヴィオラ・ダ・ガンバの研究に着手したようです。
もちろん、チェロ奏者としてもケルン音楽院で学び、さらにはベルリンでエマヌエル・フォイアマンにも師事もして腕を磨きました。

ですから、キャリアのスタートはブレーメン・フィルの首席チェロ奏者、1バーゼル管弦楽団の首席チェロ奏者を務めることからスタートしています。
しかし、一方で1930年代からフルート奏者のグスタフ・シェックらと古楽器アンサンブルを結成し、本格的な歴史的演奏に傾倒していきました。
そして、1933年、パウル・ザッハーらと共にバーゼルに古楽専門の教育・研究機関「バーゼル・スコラ・カントルム」を設立し古楽復興に重心を置くようになっていきました

ちなみに、パウル・ザッハーはスイスの有名製薬会社のオーナーであった未亡人と結婚することで巨万の富を手に入れた人物です。
そして、彼自身は経営者としての手腕も発揮して会社の業績回復にも貢献したらしいのですが、最大の功績は同時代の作曲家へのスポンサー役を果たしたことです。
彼は、バルトークだけでなくストラヴィンスキーやオネゲル、ヒンデミット、ヘンツェ、エリオット・カーターなどに作品を依頼し、その数は200を超えるとも言われています。
もしも、このザッハーの働きがなければ20世紀のクラシック音楽はその相貌を変えていたかも知れません。」

そして、彼は20世紀の音楽だけでなく、「バーゼル・スコラ・カントルム」を設立することで古楽の復興においても大きな貢献を為したわけです。

アウグスト・ヴェンツィンガーもまた1935年から「ヴィオラ・ダ・ガンバ教本」を刊行します。モダン・チェロの技法に依存しない、バロック期の一次資料に基づいた本来のガンバ奏法(弓の持ち方、指使い、装飾法)を教授した教本でした。
あた、オーケストラ・オペラにおけるピリオド演奏の先駆けとしても役割を果たしました。

ただし、私の耳が彼の演奏に拒否反応を起こさなという事は、その後のピリオド演奏の原理主義者たちからすれば物足りないものだったことは想像がつきます。
逆に言えば、「ピリオド演奏」という言葉が想起させる神経質なひいきと演奏とは全く持って無縁なので、心穏やかに安心して聞けたことだけは申し述べておきます。

なお、合奏団の主なメンバーは以下の4名です。

  1. アウグスト・ヴェンツィンガー(August Wenzinger):主宰・指導者、およびバス・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者

  2. ハンネローレ・ミュラー(Hannelore Muller):ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者

  3. ヨハネス・コッホ(Johannes Koch):ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者

  4. マリアンヌ・マイル(Marianu Majer):ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者



それ以外に重要な共演・追加メンバーには、以下の演奏家たちがいました。

5人~6人編成時の追加ヴィオール奏者
ヤン・クラフォール(Jan Crafoord):オルランド・ギボンズなどの「5声のファンタジア」を演奏・録音する際に、5人目のヴィオール(トレブル/テナー)奏者として最も頻繁に加わっていた重要なメンバーです。
ゲルトルート・クラフォール(Gertrud Crafoord)ヤンと同じく、初期のコンソートの編成拡大や、コンサートのプロジェクト等にヴィオール奏者として随時参加していました。
通奏低音(リュート・鍵盤楽器)やその他の共演者
ヴィオールだけの純粋な「コンソート」の枠を超え、スコラ・カントゥルムの公式アンサンブル(Konzertgruppe等)として録音を行う際、常に彼らと行動を共にしたコアメンバーです。
オトマール・ニヒトブルガー(Othmar Machtiger):ヴィオローネ(大型の低音ヴィオール)奏者
エドゥアルト・ミュラー(Eduard Muller):オルガン/チェンバロ奏者
オイゲン・M・ドムボワ(Eugen M. Dombois):リュート奏者

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