AmazonでCDをさがすAmazonでアタウルフォ・アルヘンタ(Ataulfo Argenta)のCDをさがす
Home|
アタウルフォ・アルヘンタ(Ataulfo Argenta)|リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
アタウルフォ・アルヘンタ指揮 ロンドン交響楽団 1957年1月録音
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34 [1.Alborada. Vivo E Strepitoso]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34 [2.Variazioni. Andante Con Moto]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34 [3.Alborada. Vivo E Strepitoso]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34 [4.Scena E Canto Gitano. Allegretto]
Rimsky-Korsakov:Capriccio Espagnol, Op.34 [5.Fandango Asturiano]
古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つ
もともとはヴァイオリンのコンチェルト風の音楽として着想された作品ですが、最終的にはヴァイオリン独奏をふんだんに盛り込んだ輝かしいオーケストラ曲として完成されました。構成上は5楽章からなるんですが、連続して演奏されるために単一の管弦楽曲のように聞こえます。ただ、それぞれの楽章はホセ・インセンガなる人の手になるスペイン民謡集から主題が借用されていて(手を加えることもなく、そっくりそのまま!!)、その主題をコルサコフが自由に展開して仕上げる形をとっていますので、5楽章というのはそれなりに意味を持っていると言えます。
- 第1楽章:アルポラーダ(朝のセレナード)::スペインの輝かしい朝を思わせる派手な音楽です。
- 第2楽章:変奏曲(夕べの踊り)::第1楽章とは対照的な夕べの穏やかな雰囲気がただよう音楽です。
- 第3楽章:アルボラーダ::第1楽章と同じ主題ですが、半音高い変ロ長調で演奏され、オーケストレーションも変えられています。(ヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっている・・・等)
- 第4楽章:ジプシーの歌::小太鼓の連打にヴァイオリンの技巧的な独奏とジプシー情緒満点の音楽です。
- 第5楽章:ファンダンゴ::カスタネットやタンブリンの打楽器のリズムに乗って情熱的な踊りが展開されます。フィナーレはまさに血管ブチ切れの迫力です。
おそらく、古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つでしょう。この曲の初演に当たって、練習中の楽団員からたびたび拍手がわき起こってなかなか練習が進まなかったというエピソードも残っているほどです。
チャイコフスキーもこの作品を取り上げて「作曲者自身が現代一流の音楽家であると自認して良いほどの素晴らしい管弦楽法を見せる」と絶賛しています。
こういう作品を前にすると「精神性云々・・・」という言葉は虚しく聞こえるほどです。クラシック音楽を聞く楽しみの一つがこういう作品にもあることをマニアックなクラシック音楽ファンも確認する必要があるでしょう。
思いっきりスペインの側にふれた演奏
アタウルフォ・アルヘンタの名前も聞くことは少なくなってきたのですが、未だに一部では根強い支持者がいるようです。それは、若くして不幸な死を迎えたアルヘンタへの思いがあるからでもあり、さらに言えば、彼の最後の年となった1957年から58年にかけての演奏と録音が素晴らしかったからです。
とりわけ、「Espana!(エスパーニャ)」と題されたアルバムには以下の4曲が収録されていて、その思いっきりスペインの側に振り切れた演奏は今も名盤として名高い一枚となっています。
- グラナドス:アンダルーサ(スペイン舞曲第5番)
- シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
- モシュコフスキ:スペイン舞曲第I巻 Op.12
- リムスキー・コルサコフ:スペイン奇想曲, Op.34
このうちグラナドスだけがスペイン人なのですが、それ以外は全て外国人によるスペイン風の音楽が選ばれています。さらに言えば、グラナドスもまたカタルーニャ地方の出身ですから、スペインの中では独自の文化持った地域にルーツを持っています。
ですから、それらの作品はあくまでも「スペイン風」であって、その作品の根っこにはそれぞれの母国の血のようなものが流れています。
確認するまでもないかもしれませんが、シャブリエはフランス、モシュコフスキはポーランド、そしてリムスキー・コルサコフは言うまでもなくロシアです。
この中でも、リムスキー・コルサコフのスペイン奇想曲は「スペイン」と名前はついていても根深くロシアの憂愁みたいなものがつきまとう作品です。しかし、アルヘンタはそう言うものは全て投げ捨てて、明るく弾むようなスペインの音楽として聞き手に提示してくれています。それはもう、爽快という一言に尽きます。
しかしながら、この少し前までは、アルヘンタはこういう人ではありませんでした。
切っ掛けは、1956年に結核のために長く指揮活動を中断しなければいけなかったことです。もともと病弱だったと伝えられているアルヘンタですから、それは彼に大きな衝撃と同時に、自分の音楽をもう一度見つめ直す機会を与えたのかもしれません。
それだけに、1958年1月に、車のエンジンを切らずに眠り込んでしまい、一酸化炭素中毒で急逝したのは実に惜しまれる話です。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
4642 Rating: 5.5/10 (50 votes cast)
よせられたコメント
2021-06-22:joshua
- 自家用車の暖房をかけっぱなしにしている間に換気を怠り一酸化炭素中毒で死去。同乗者は助かった、アルヘンタ45才。頓死が無ければ、もっと面白い演奏を残してくれたと思いますよ。イエペスのギターでアランフェスの伴奏を付けていたこの人。チャイ4を残しています。ぜひ聞きたいですね。シューベルトのグレートが独特だったし。
【最近の更新(10件)】
[2024-04-18]
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)
[2024-04-16]
フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)
[2024-04-14]
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」, Op.62(Beethoven:Coriolan, Op.62)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)
[2024-04-12]
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156/134b(Mozart:String Quartet No. 3 in G Major, K. 156)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-04-10]
ハイドン:弦楽四重奏曲第1番 変ロ長調「狩」,Op. 1, No. 1, Hob.III:1(Haydn:String Quartet No.1 in B-Flat Major, Op. 1, No.1, Hob.3:1, "La chasse" )
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June 5, 1938)
[2024-04-08]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18)
(P)ジェルジ・シャーンドル:アルトゥール・ロジンスキ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年1月2日録音(Gyorgy Sandor:(Con)Artur Rodzinski New York Philharmonic Recorded on January 2, 1946)
[2024-04-06]
シベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」(Sibelius:Pohjola's Daughter - Symphonic Fantasy Op.49)
カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年6月7日~8日録音(Karel Ancerl:The Czech Philharmonic Orchestra Recorded on June 7-8, 1962)
[2024-04-04]
ベートーヴェン:ロマンス 第2番 ヘ長調, Op.50(Beethoven:Romance for Violin and Orchestra No.2 in F major, Op.50)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ジャン・モレル指揮 コロンビア交響楽団 1952年4月23日録音(Zino Francescatti:(Con)Jean Morel Columbia Symphony Orchestra Recorded on April 23, 1952)
[2024-04-02]
バルトーク:弦楽四重奏曲第6番, Sz.114(Bartok:String Quartet No.6, Sz.114)
ヴェーグ弦楽四重奏団:1954年7月録音(Quatuor Vegh:Recorded on July, 1954)
[2024-03-31]
ベートーヴェン:ロマンス 第1番 ト長調, Op.40(Beethoven:Romance for Violin and Orchestra No.1 in G major, Op.40)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ジャン・モレル指揮 コロンビア交響楽団 1952年4月23日録音(Zino Francescatti:(Con)Jean Morel Columbia Symphony Orchestra Recorded on April 23, 1952)