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チャイコフスキー:「くるみ割り人形」op.71a(ハイライト)

カレル・アンチェル指揮:ウィーン交響楽団 1958年4月録音



Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [1.Ouverture Miniature Danses Caracteristiques]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [2.March]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [3.Danse de la Fee Dragee]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [4.Danse Russe Trepak]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [5.Danse Arabe]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [5.Danse Chinoise]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [6.Dance des Mirlitons]

Tchaikovsky:The Nutcracker, Op.71(Excerpts) [7.]Valse de Fleurs]


クリスマスイブの一夜の物語

チャイコフスキーの三大バレー曲の中では最もまとまりがよく、また音楽的にも充実しているのがこの「くるみ割り人形」です。
物語はクリスマスイブにおける少女の一夜の夢です。全体の構成は以下の通りです。

第一幕

  1. 第一場:シュタールバウム家の玄関前

  2. 第ニ場:シュタールバウム家の居間

  3. 第三場:シュタールバウム家の居間

  4. 第四場:雪の国



第二幕


  1. 第一場:水の国

  2. 第二場:お菓子の国の都

  3. 第三場:シュタールバウム家の広間

  4. 第四場:シュタールバウム家の玄関前




ちなみに組曲は以下の通りの構成となっています。


  1. 小序曲

  2. 行進曲

  3. こんぺいとうの踊り

  4. トレパック:ロシアの踊り

  5. アラビアの踊り

  6. 中国の踊り

  7. あしぶえの踊り

  8. 花のワルツ




ただし、ホフマンによる原作「くるみ割り人形とネズミの王様」と比べると根本的な部分で相違があります。
原作では、人形の国からクララ(原作ではマリー)が帰ってくるところまでは同じですが、それを夢の話としては終わらせていません。
クララが話す人形の国について両親は全く信じようとしないのですが、やがて王子が彼女を迎えに来て人形の国へ旅立つというラストシーンになっています。

バレーの台本はマリウス・プティパによって書かれたものですが、彼はこの最後の場面をバッサリとカットして、人形の国シーンで物語を終わらせています。
ただし、それではいかにもおさまりが悪いので、その後ワイノーネンの振付によって改訂され、クララが夢から醒めた場面で終わらせることによってこの物語をクリスマスイブの一夜の物語として設定することが一般的になりました。


夢を夢として終わらせない原作と、そこの部分をわざとぼかした原作では大きな相違がありますし、ましてや、夢はしょせん夢だとして終わらせる改訂版とでは根本的に違った作品になっていると言わざるを得ません。
当然の事ながら、プティバもワイノーネフもホフマンの原作を知っていたでしょうから、なにゆえにその様な改訂を行ったのかは興味のあるところです。(最近は原作回帰の動きもあるようです。)


純粋器楽の音楽として再構築してみれば

手兵のチェコフィルではないのが少しばかり残念ですが、アンチェルにとっては馴染みの深いウィーン交響楽団ですし、オケの能力としてはこちらの方が上のような気がしますからまあ文句のないところでしょう。
そして、アンチェルがこういうチャイコフスキーの作品を演奏すれば「甘く」なることは想像も出来ないのですが、その想像はほぼ100%的中しています。

「白鳥の湖」ではやや遅めかなと思えるテンポで始まって、リズムもややエッジを立て気味にして、バレエ音楽の伴奏と言うことは一切忘れて純粋器楽の作品として再構築していることがはっきりと分かります。しかしながら、オーボエやヴァイオリン、チェロのソロなどはさすがはウィーン交響楽団のメンバーと感心させられるほどの美しさで、それがアンチェルが築き上げようとする引き締まった世界観の中に見事にはまりこんでいます。
バレエの伴奏音楽から遠ざかる方法はいろいろあるのでしょうが、これはオーマンディ&フィラデルフィア管とは全く異なった方向性によるチャレンジだと言えます。
ただし、最後の「終曲」を省いているのがいささか(かなり^^;)残念です。

  1. 情景〔第2幕〕

  2. ワルツ〔第1幕〕

  3. 四羽の白鳥の踊り〔第2幕〕

  4. 王子とオデットのグラン・アダージョ〔第2幕〕

  5. ハンガリーの踊り(チャールダーシュ)〔第3幕〕


しかしながら、これが「くるみ割り人形」になると、3曲の中ではもっとも音楽的に充実しているために、それほど無理をしなくてもよいという結果になっています。
アンチェルは第1幕の導入部の後に第2幕でのお菓子の精たちの踊りを続けて、最後はお約束通りに(^^;、「花のワルツ」で締めくくっています。このお菓子の精たちの踊りは実によくできていて、それぞれで十分単独の小品として成り立つだけのクオリティを持っていますから、アンチェルもまたそれらをあるがままに演奏しています。

もちろん、それはそれで立派な音楽になっているのですが、これに関してはオーマンディのような遊び心があった方が好ましく思えます。ただし、アンチェルに「遊び心」というのは少しばかり無理でしょうから、出来ればもっと締め上げてくれれば面白かったのにと言う若干の不満は残ります。贅沢な話でアンチェルには申し訳ないのですが。

  1. 小序曲

  2. 行進曲

  3. 金平糖の精の踊り

  4. ロシアの踊り(トレパック)

  5. アラビアの踊り

  6. 中国の踊り

  7. 葦笛の踊り

  8. 花のワルツ


それから、これも仕方のないことなのですが、花のワルツの後に「パ・ド・ドゥ」が来ないのはいつも残念に思います。

しかしながら、「眠れる森の美女」ではアンチェルの狙いが見事にツボにはまっています。もう、冒頭の導入部から凄まじい迫力でオーケストラは鳴りきっています。これが、実際のバレエ公演ならばオーケストラが踊りを圧倒してしまうので何とも不都合なのですが、音だけの録音ならば何の不都合もありません。
また、その響きを聞いているとウィーンにある唯一の常設のコンサート・オーケストラであるというウィーン交響楽団の矜恃のようなものも感じ取れます。

確かに、この長大なバレエを踊りなしの録音でき聞き通すというのは些かしんどい話です。
それに対して、このアンチェルの演奏はハイライト版と言うよりは、多楽章からな管弦楽曲として再構築してるように聞こえます。ある意味ではアンチェルの狙いが一番はっきりと分かるのがこの「眠れる森の美女」かもしれません。

  1. 序奏とリラの精

  2. アダージョ: パ・ダクシオン

  3. パ・ド・カラクテール:長靴をはいた猫と白い猫

  4. パノラマ

  5. ワルツ


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