クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでギーゼキングのCDをさがす
Home|ギーゼキング|ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

P:ギーゼキング メンゲルベルグ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1940年10月31日録音



Rachmaninov:ピアノ協奏曲第2番「第1楽章」

Rachmaninov:ピアノ協奏曲第2番「第2楽章」

Rachmaninov:ピアノ協奏曲第2番「第3楽章」


芸人ラフマニノフ

第3楽章で流れてくる不滅のメロディは映画「逢い引き」で使われたことによって万人に知られるようになり、そのために、現在のピアニストたちにとってなくてはならない飯の種となっています。
まあ、ラフマニノフ自身にとっても第1交響曲の歴史的大失敗によって陥ったどん底状態からすくい上げてくれたという意味で大きな意味を持っている作品です。(この第1交響曲の大失敗に関してはこちらでふれていますのでお暇なときにでもご覧下さい。)

さて、このあまりにも有名なコンチェルトに関してはすでに語り尽くされていますから、今さらそれにつけ加えるようなことは何もないのですが、一点だけつけ加えておきたいと思います。
それは、大失敗をこうむった第1交響曲と、その失敗から彼を立ち直らせたこのピアノコンチェルトとの比較です。

このピアノコンチェルトは重々しいピアノの和音で始められ、それに続いて弦楽器がユニゾンで主題を奏し始めます。おそらくつかみとしては最高なのではないでしょうか。ラフマニノフ自身はこの第1主題は第1主題としての性格に欠けていてただの導入部になっていると自戒していたそうですが、なかなかどうして、彼の数ある作品の中ではまとまりの良さではトップクラスであるように思います。

また、ラフマニノフはシンコペーションが大好きで、和声的にもずいぶん凝った進行を多用する音楽家でした。
第1交響曲ではその様な「本能」をなんの躊躇いもなくさらけ出していたのですが、ここでは随分と控えめに、常に聞き手を意識しての使用に留めているように聞こえます。
第2楽章の冒頭でもハ短調で始められた音楽が突然にホ長調に転調されるのですが、不思議な浮遊感を生み出す範囲で留められています。その後に続くピアノの導入部でもシンコペで三連音の分散和音が使われているのですが、えぐみはほとんど感じられません。
つまり、ここでは常に聞き手が意識されて作曲がなされているのです。
聞き手などは眼中になく自分のやりたいことをやりたいようにするのが「芸術家」だとすれば、常に聞き手を意識してうけないと話は始まらないと言うスタンスをとるのが「芸人」だと言っていいでしょう。そして、疑いもなく彼はここで「芸術家」から「芸人」に転向したのです。ただし、誤解のないように申し添えておきますが、芸人は決して芸術家に劣るものではありません。むしろ、自称「芸術家」ほど始末に悪い存在であることは戦後のクラシック音楽界を席巻した「前衛音楽」という愚かな営みを瞥見すれば誰でも理解できることです。
本当の芸術家というのはまずもってすぐれた「芸人」でなければなりません。
その意味では、ラフマニノフ自身はここで大きな転換点を迎えたと言えるのではないでしょうか。

ラフマニノフは音楽院でピアノの試験を抜群の成績で通過したそうですが、それでも周囲の人は彼がピアニストではなくて作曲家として大成するであろうと見ていたそうです。つまりは、彼は芸人ではなくて芸術家を目指していたからでしょう。ですから、この転換は大きな意味を持っていたと言えるでしょうし、20世紀を代表する偉大なコンサートピアニストとしてのラフマニノフの原点もここにこそあったのではないでしょうか。

そして、歴史は偉大な芸人の中からごく限られた人々を真の芸術家として選び出していきます。
問題は、この偉大な芸人ラフマニノフが、その後芸術家として選び出されていくのか?ということです。
これに関しては私は確たる回答を持ち得ていませんし、おそらく歴史も未だ審判の最中なのです。あなたは、いかが思われるでしょうか?


晩年のギーゼキングとは別人のよう!!

リクエストコーナーで教えていただいてはじめて知った演奏ですが、聞いてみてびっくりしました。ギーゼキングといえば最晩年のモーツァルトのソナタ全集のイメージが強いものですから、それと同一人物による演奏とはにわかに信じがたいほどの奔放な演奏です。
また、それを支えるメンゲルベルグの棒もさえています。何ともいえず重厚でコッテリとした音楽で、ギーゼキングの「熱い」ピアノをさらに熱くあおり立てています。

ただ、硬質で透明感のある冴えた音色は晩年のギーゼキングと共通するものがあります。録音に関して言えばオケにはつぶれ気味なのですが、ピアノはけっこうクリアにとらえられているのでそのことははっきりと感じ取れます。解釈というかスタイルというか、そういうものは年につれて大きくかわることがあっても、ピアノの音色という基本に関わるようなことは余り変化しないものなんだと妙なところで感心させられました。

晩年の素っ気ないほどに枯れた演奏しか知らない人には、ギーゼキングのもう一つの顔を知る上で貴重な録音だといえます。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連コンテンツ

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



415 Rating: 7.4/10 (299 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2022-01-18]

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
ウィリアム・スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1958年3月18日録音

[2022-01-17]

グラナドス:詩的なワルツ集(序奏と7曲)
(P)アリシア・デ・ラローチャ:1967年初出

[2022-01-16]

ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調, Op.37
(P)アルフレッド・ブレンデル ハインツ・ワルベルク指揮 ウィーン交響楽団 1961年録音

[2022-01-15]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調「ラズモフスキー3番」Op.59-3
パガニーニ四重奏団 1947年録音

[2022-01-14]

ドビュッシー:夜想曲より「雲」「祭」
シャルル・ミュンシュ指揮:ボストン交響楽団 1962年3月13日録音

[2022-01-13]

ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調, Op.36
クレメンス・クラウス指揮:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1929年9~10月録音

[2022-01-12]

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」より「秋」
(Vn)ラインホルト・バルヒェット:フリードリヒ・ティーレガント指揮 南西ドイツ室内管弦楽団 1961年録音

[2022-01-11]

フォーレ:歌劇「ペネロープ」前奏曲
エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 1961年2月録音

[2022-01-10]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第8番 ホ短調「ラズモフスキー2番」Op.59-2
パガニーニ四重奏団 1947年録音

[2022-01-09]

グラズノフ:バレエ組曲「ライモンダ」 op.57
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1958年9月録音