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ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43

(P)レオン・フライシャー:ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1956年10月26日録音



Rachmaninov:Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43


Andante cantabileだけはとても有名です

この作品は「パガニーニの主題による狂詩曲」となっていますが、実質的には疑いもなくピアノコンチェルトです。
パガニーニのヴァイオリン曲『24の奇想曲』第24番「主題と変奏」の「主題」をネタにして、ラフマニノフらしいロマンティックな世界を繰り広げています。
とりわけ有名なのが、第18変奏のAndante cantabileです。
きっと、「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて言われても全然ピントこない人でも、この部分を聞けばピンと来るはずです。テレビのコマーシャルやドラマのBGM、さらにはフィギアスケートの音楽などに、それこそ擦り切れるほどに使い回されています。

ただ、第18変奏なんて言われても、この作品はかなり自由に変奏されていますし、おまけにかんじんの主題が最初に出てこないという変速技を使っていますので、きっとよほど訓練された人でないとどこが18番目の変奏かは聞き当てられないはずです。
でも、大丈夫です。
あのメロディが出てくれば、誰でも思い当たります。

「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて知らないよと言う人も、「あのメロディ」が出てくるまで辛抱強く聞き続けてください。


キラキラとクリスタルガラスのように輝くラマニノフ

セルにとってラフマニノフというのは非常に珍しいプログラムだと思われます。
私の知る限りでは、おそらくこれ一枚だけです。

だいたいこういう場合というのはレーベル側からの断りきれない依頼という場合が多くて、演奏者サイドからしてみれば気が乗らないと言うことがよくあるものです。

しかし、そうであっても演奏の主導権は全てセルが握っていて、隅から隅までセルの意志を行き届かせた演奏になっています。
ソリストに敬意を表して演奏家の項目としてはピアニストのフライシャーの項目に分類はしましたが、基本的にはこれはセルの演奏です。

そして、それなりに解像度の高いシステムで聞いていればすぐに分かると思うのですが、最初から最後までセルのものと思われるうなり声が混ざり込んでいます。
そこから、少なくとも二つのことがうかがえます。
一つは、十分すぎるほどにセルの気合いが入っていたことです。
そしてもう一つは、それでも何度もテイクを繰り返す気は全くなかったと言うことです。

このうなり声を聞く限りでは、これはほぼ一発録りに近いものだと思われます。そして、編集段階でもそれほど手を加えていないようです。
しかし、そのおかげでキラキラと輝くクリスタルガラスのようなこの演奏の美質を損なうことことなく収録することが出来ています。

56年録音であるにもかかわらずモノラルだというのは、Columbia傘下のEpicにしてみればやむを得ない事情だったのかも知れませんが、それでもその時代のモノラル録音のクオリティの高さには驚かされます。

そして、実際のコンサート会場で鳴り響いている音というのは、もしかしたら優れもののステレオ録音よりはこちらの方が近しいのかも知れないという気もします。
何故ならば、実際のコンサート会寿で鳴り響いている音というものは、優れもののステレオ録音のように広大なサウンドステージの中で各楽器がキッチリと定位することはないからです。

その様な録音クオリティのおかげもあって、ここではセル&クリーブランド管という希有のコンビが生み出すクリスタルガラスのような響きが見事にとらえられています。
そこでは、ラフマニノフの濃厚なロマンティシズムを最小の構成単位にばらした上で、それをもう一度精緻に組み立てていく様子が手に取るように分からせてくれます。そこには一点の曖昧さもなく、「ロマンティック」という感情の設計図を見せつけられるような演奏になっています。

ですから、この作品にラフマニノフならではの濃厚なロマンティシズムを期待する人にとってはあまりにも低体温にすぎるかも知れません。
しかし、あの有名な「Andante cantabile」のメロディを導き出す間の取り方や音量コントロールは絶妙ですし、そのメロディラインの描き方こそはまさに硬質のクリスタルガラスの輝きそのものです。

そして、そう言うセルの意向に添って己の役割を果たしきっているフライシャーもまたお疲れ様でしたとねぎらいの言葉をかけてあげたくなるのです。

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