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ショパン:マズルカ Op.50


P:ルービンシュタイン 1938年録音


ポーランドの代表的な民族舞曲

マズルカはポロネーズとならんで、ショパンが終生愛し続けたポーランドの民族舞曲です。ただし、ポロネーズが一般的に規模が大きくて劇的な性格を備えているのに対して、マズルカの方は規模がとても小さくて、そのほとんどが簡素な三部形式をとっています。

また、よく知られていることですが、マズルカと言ってもその性格や特徴は地域によって大きな差異があり、専門家の受け売りですが、基本的には「マズレック」「クヤヴィアック」「「オベレック」と呼ばれる3種類があるそうです。
そして、ショパンはそれらの形式を自由に取り入れて、例えば、マズレック風のリズムにクヤヴィアック風のメロディを重ねるなどして、自分なりに再構築をすることによって彼独特のマズルカという形式を作り上げていきました。

その意味では、ショパンのマズルカはポーランドの民族舞曲を母胎としながらも、時間を追うにつれてより一般的な性格を持っていったと言えます。
言葉をかえれば、土の香りを失う変わりにより洗練されていったと言うことです。
その分岐点はおそらくは中期の傑作と言われる作品番号で言えば33番の4曲あたりにあることに異存を唱える人は少ないでしょう。マズルカが本来持っていた粗野で鄙びた風情は姿を消して、明るさと軽さが前面にでてきます。ですから、よく「マズルカには華やかな技巧の世界は無い。」と言われますが、晩年のマズルカは和声的にも構成的にもかなりの工夫が凝らされています。
もちろん、どちらをとるにしてもショパンの音楽が素晴らしいことは言うまでもありません。

亡国の慟哭


ショパンとルービンシュタインを比べてみると、両者に共通するのは亡国の悲しみです。祖国ポーランドが侵略され踏みにじられる姿を遠い異国の地から為すすべもなく見つめるしかできなかった境遇はあまりにも相似形です。そして、このルービンシュタインの演奏からはショパンその人の「亡国の慟哭」が聞こえてきます。

ユング君は、このルービンシュタインの演奏を聞いて、昨今の馬鹿ウマの若手ピアニストによるショパン演奏が何故につまらないのかをハッキリと認識することができました。彼らの演奏からは「ほろりと流す涙」は感じ取れても、ショパンの「慟哭」が聞こえてこないのです。そして、完璧なテクニックによって再現されたショパンの音楽は美しくはあっても、それだけではショパンの抜け殻でしかありません。

もちろんこんな聴き方には異議を唱える方もおられるでしょうし、その事をユング君は否定しません。音楽にそんな「重い」ものを求めるなどは真っ平御免で、楽しく華やかなエンターテイメントだけを求めれば充分という方もおられるでしょう。
音楽とのつきあいは人それぞれ、ある特定のスタンスを他者に押しつけることは迷惑以外の何者でもありません。

しかし、ここでのルービンシュタインの演奏を聞くことで、音楽とはおのが人生の全てを投入しうる対象であることを、ユング君はあらためて教えられました。
そして、これを聞けば、世間的には評価の高いルービンシュタイン自身による晩年のステレオ録音でさえ、ショパンの抜け殻にしかすぎないと言わざるを得ません

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