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ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy) |ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 作品36
ベートーベン:交響曲第2番 ニ長調 作品36
オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1962年10月17日録音 Beethoven:Symphony No 2 in D major, Op. 36 [1t:Adagio molto - Allegro con brio]
Beethoven:Symphony No 2 in D major, Op. 36 [2:Larghetto]
Beethoven:Symphony No 2 in D major, Op. 36 [3:Scherzo. Allegro - Trio]
Beethoven:Symphony No 2 in D major, Op. 36 [4:Allegro molto]
ベートーベンの緩徐楽章は美しい。
これは以外と知られていないことですが、そこにベートーベンの知られざる魅力の一つがあります。
確かにベートーベンが最もベートーベンらしいのは驀進するベートーベンです。
交響曲の5番やピアノソナタの熱情などがその典型でしょうか。
しかし、瞑想的で幻想性あふれる音楽もまたベートーベンを構成する重要な部分です。
思いつくままに数え上げても、ピアノコンチェルト3番の2楽章、交響曲9番の3楽章、ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス、ヴァイオリンソナタのスプリング、そしてピアノソナタ、ハンマークラヴィーアの第3楽章。
そう言う美しい緩徐楽章のなかでもとびきり美しい音楽が聞けるのが、交響曲第2番の第2楽章です。
ベートーベンの交響曲は音楽史上、不滅の作品と言われます。しかし、初期の1番・2番はどうしても影が薄いのが事実です。
それは3番「エロイカ」において音楽史上の奇跡と呼ばれるような一大飛躍をとげたからであり、それ以後の作品と比べれば確かに大きな落差は否めません。しかし、ハイドンからモーツァルトへと引き継がれてきた交響曲の系譜のなかにおいてみると両方とも実に立派な交響曲です。
交響曲の1番は疑いもなくジュピターの延長線上にありますし、この第2番の交響曲はその流れのなかでベートーベン独自の世界があらわれつつあります。
特に2番では第1楽章の冒頭に長い序奏を持つようになり、それが深い感情を表出するようになるのは後年のベートーベンの一つの特徴となっています。また、第3楽章はメヌエットからスケルツォへと変貌を遂げていますが、これもベートーベンの交響曲を特徴づけるものです。
そして何よりも第2楽章の緩徐楽章で聞ける美しいロマン性は一番では聞けなかったものです。
しかし、それでも3番とそれ以降の作品と併置されると影が薄くなってしまうのがこれらの作品の不幸です。第2楽章で聞けるこの美しい音楽が、影の薄さ故に多くの人の耳に触れないとすれば実に残念なことです。
後期の作品に聞ける深い瞑想性と比べれば甘さがあるのは否定できませんが、そう言う甘さも時に心地よく耳に響きます。
もっと聞かれてしかるべき作品だと思います。
心地よく、そして安心して音楽に浸ることができる演奏
エロイカの項でも強調したのですが、オーマンディのベートーベンは世間で言われるほどには悪くはありません。今回、吉田大明神にぼろくそに言われたエロイカに続いて2番と8番を聞いてみたのですが、実にオーソドックスに仕上がっていて見事なものです。
確かに、こういう演奏を取り上げて、無個性だという批判はあるでしょう。しかし、こういうゆったりとしたテンポと豊かな響きできちんとベートーベンの音楽を仕上げてくれていれば、心地よく、そして安心して音楽に浸ることができます。とりわけ、昨今のピリオド演奏のようにいたずらにテンポをあげたり妙にぎくしゃくとしたエッジを効かせたりして、それを「個性的」と自賛しているならば、こういう「無個性」な演奏の方がよほど優れものです。
聞けば分かることですが、2番の第2楽章なんかだと大トロの演奏になっていると思いきや、意外なほどにすっきりとした「歌」に仕上がっています。つまりは、オーマンディという人は世間で思われているほどに「外連味」のない演奏をする人なのです。楽譜に書かれてあることを、何も足さず何も引かず、あるがままに、ただしフィラデルフィアのゴージャスな響きでもって演奏した人でした。そして、「エロイカ」のような作品だと、そのスタイルに対していささか物足りなさを感じる人がいたとしても、こういう2番や8番のような脇役でればなんの不足もないでしょう。
とりわけ、2番の交響曲はハイドンの偉大な交響曲の系譜を引き継ぐ、大傑作であったことがよく分かる演奏です。8番もまた引き締まった演奏で。第3楽章のホルンのソロなどを聞くと、フィラデルフィア管の個々のプレーヤーの能力の高さを思い知らされます。
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