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メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 op.90

バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1958年1月13日録音

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major Op.90 "Italian" [1st movement]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major Op.90 "Italian" [2nd movement]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major Op.90 "Italian" [3rd movement]

Mendelssohn:Symphony No.4 in A major Op.90 "Italian" [4th movement]


弾むリズムとほの暗いメロディ

メンデルスゾーンが書いた交響曲の中で最も有名なのがこの「イタリア」でしょう。
この作品はその名の通り1830年から31年にかけてのイタリア旅行の最中にインスピレーションを得てイタリアの地で作曲されました。しかし、旅行中に完成することはなく、ロンドンのフィルハーモニア協会からの依頼を受けて1833年にようやく完成させています。
初演は同年の5月13日に自らの指揮で初演を行い大成功をおさめるのですが、メンデルスゾーン自身は不満を感じたようで、その後38年に大規模な改訂を行っています。ただ、その改訂もメンデルゾーン自身を満足させるものではなくて、結局彼は死ぬまでこの作品のスコアを手元に置いて改訂を続けました。そのため、現在では問題が残されたままの改訂版ではなくて、それなりに仕上がった33年版を用いることが一般的です。

作品の特徴は弾むようなリズムがもたらす躍動感と、短調のメロディが不思議な融合を見せている点にあります。
通常この作品は「イタリア」という名が示すように、明るい陽光を連想させる音楽をイメージするのですが、実態は第2楽章と最終楽章が短調で書かれていて、ほの暗い情感を醸し出しています。明るさ一辺倒のように見える第1楽章でも、中間部は短調で書かれています。
しかし、音楽は常に細かく揺れ動き、とりわけ最終楽章は「サルタレロ」と呼ばれるイタリア舞曲のリズムが全編を貫いていて、実に不思議な感覚を味わうことができます。


この地点からスタートを切った

スタインバーグとかラインスドルフとかをたくさん紹介しながら(それでもまだまだ不十分ですが)、バーンスタインの録音をほとんど取り上げていないことに今さながら気づきました。
特にステレオ録音に関して言えばガーシュインとマーラーしか取り上げていません。

1958年にアメリカ生まれの指揮者としては史上初めてニューヨークフィルの音楽監督に就任し、さらにはCBSレコードとの録音契約では「録音曲目の決定をほぼ彼に一任する」との待遇を受けたのですから、このコンビの録音は山のようにパブリックドメインとなっています。
それを今までほとんど取り上げていなかったのですから、これは大きな欠落と言わずして何が欠落の名に値するでしょうか。

ということで、「バーンスタイン一挙大放出」のとっかかりとして1958年に録音したメンデルスゾーンの「イタリア」を取り上げます。

聞いてすぐに分かるのは、飛ぶ鳥を落とす勢いだったこの時代のバーンスタインのあふれんばかりの覇気が聞き手の脳天を直撃することです。そして、「イタリア」という曲は、そう言う若き指揮者の勢いを誇示するにはもってこいの側面を持っています。
おそらく、バーンスタインもそう言うあたりのことも勘案してこの作品を選んだのでしょう。

しかし、残念ながら、私たちはすでにこの作品のあまりにも優れた録音を数多く持っています。パブリックドメインとなって、すでにこのサイトで紹介しているだけでも、トスカニーニ、カンテッリ、そしてクレンペラーと数多くの優れものが目白押しです。
そして、それ故に、この作品にあふれる弾むようなリズムがもたらす躍動感だけでは不十分なことを知らされています。
それに加えて、短調のメロディが醸し出すほの暗い世界も必要です。
そして何よりも、カンテッリの録音で聞かれるような、素晴らしい各パートの処理がもたらす惚れ惚れするほどの見通しの良さがここにはありません。結果として、カンテッリの演奏からは感じ取れる爽快感と澄み切った青空を思わせるような世界は展開しないのです。

しかし、これもまた一つの現実です。
20世紀を代表する偉大な指揮者だったバーンスタインもまた、この地点からスタートを切ったのです。

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