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セル(George Szell)|ブラームス:交響曲第3番
ブラームス:交響曲第3番
ジョージ・セル指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1951年録音
Brahms:交響曲第3番「第1楽章」
Brahms:交響曲第3番「第2楽章」
Brahms:交響曲第3番「第3楽章」
Brahms:交響曲第3番「第4楽章」
秋のシンフォニー
![](../Jacket_record/No_Image.jpg)
ユング君は長らくブラームスの音楽が苦手だったのですが、その中でもこの第3番のシンフォニーはとりわけ苦手でした。
理由は簡単で、最終楽章になると眠ってしまうのです(^^;
今でこそ曲の最後がピアニシモで消えるように終わるというのは珍しくはないですが、ブラームスの時代にあってはかなり勇気のいることだったのではないでしょうか。某有名指揮者が日本の聴衆のことを「最初と最後だけドカーンとぶちかませばブラボーがとんでくる」と言い放っていましたが、確かに最後で華々しく盛り上がると聞き手にとってはそれなりの満足感が得られることは事実です。
そういうあざとい演奏効果をねらうことが不可能なだけに、演奏する側にとっても難しい作品だといえます。
第1楽章の勇壮な音楽ゆえにか、「ブラームスの英雄交響曲」と言われたりもするのに、また、第3楽章の「男の哀愁」が滲み出すような音楽も素敵なのに、「どうして最終楽章がこうなのよ?」と、いつも疑問に思っていました。
そんなユング君がふと気がついたのが、これは「秋のシンフォニー」だという思いです。(あー、またユング君の文学的解釈が始まったとあきれている人もいるでしょうが、まあおつきあいください)
この作品、実に明るく、そして華々しく開始されます。しかし、その明るさや華々しさが音楽が進むにつれてどんどん暗くなっていきます。明から暗へ、そして内へ内へと音楽は沈潜していきます。
そういう意味で、これは春でもなく夏でもなく、また枯れ果てた冬でもなく、盛りを過ぎて滅びへと向かっていく秋の音楽だと気づかされます。
そして、最終楽章で消えゆくように奏されるのは第一楽章の第1主題です。もちろん夏の盛りの華やかさではなく、静かに回想するように全曲を締めくくります。
そう思うと、最後が華々しいフィナーレで終わったんではすべてがぶち壊しになることは容易に納得ができます。人生の苦さをいっぱいに詰め込んだシンフォニーです。
同じ作品を異なった演奏で聴く楽しみとは?
一気に3通りの録音をアップしてみました。
クラシック音楽を聴く楽しみの一つに同じ作品を異なった演奏で聞くことがあげられます。時には「どれが決定盤か?」みたいな非生産的で不毛な論議を巻き起こしたりもする「楽しみ」ですが(^^;、それでもいろいろな演奏家の様々なアプローチに接することは興味深いことです。
フルトヴェングラーが49年、セルとワルターは共に51年の演奏ですが、録音は十分に優秀です。
第一楽章の冒頭を聞くだけで三者の違いは一目瞭然です。そしてテンポの問題も含めてフルトヴェングラーという人の特異性がはっきりと分かっていただけると思います。
フルヴェンはここでもブラームスの交響曲をこの上もなく劇的なドラマとして聴かせてくれます。とりわけ両端楽章の素晴らしさは常に指摘されてきたことです。
セルもまたブラームスのシンフォニーの中ではこの3番をもっとも得意としていたようで、後年、クリーブランドと録音した全集の中でも一番出来がいいと言われるのがこの3番でした。ある意味ではフルヴェンのアプローチとは対極にある演奏です。ただ、完成度という点では後のスタジオ録音に劣るのが残念です。
そしてこういう言い方は図式的にすぎて危険なのですが、その両者の中間に位置するのがワルターの演奏だといえます。(しかし本質的にはセルの側にふれた演奏です。)
しかし、何というか、作品の持つ古典的な均衡は全く崩れていないのですが、セルの演奏にはない聞き易さがあります。
そして、これまたワルターの後年のコロンビア響との録音では聞くことのできない「熱とパワー」を感じることができます。ワルターのブラームスというとコロンビア響との録音が広く世間に流布しているのですが、本当に素晴らしいのはこのニューヨークフィルとの録音です。(モノラルですが・・・)
セル信奉者のユング君ですが、これに関してはワルターのCDに手が伸びてしまうことは正直に告白しなければなりません。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
201 Rating: 5.1/10 (203 votes cast)
よせられたコメント
2009-01-02:かなパパ
- 私もフルトヴェングラー、ワルター、セルの聞き比べをしてみました。
ユングさんは「これに関してはワルターのCDに手が伸びてしまう」と書いていますが、私はセルですね〜。
セルらしいすごく正確な演奏が、とても気に入っています。
私は低音が効いた和音が好きなので、セルのように正確な演奏で、ワルターのような低音が効いた演奏だと、たまらない感じがするのですが...(私だけでしょうか?)
2009-11-26:あんひろ
- この交響曲には私としてはくっきりとした弦楽器の動きや無理を感じさせない盛り上がりを求めます。そして第3楽章を歌わせ聴かせることです。
これまで様々な演奏をcdで聴いてきました。このセルの録音は今まで私が聴いてきた様々な演奏の中でで一、二を争うような素晴らしい演奏だと思います。
個人的に遅すぎるテンポだとこの曲は退屈してしまいます。セルはその点私としてはちょうどいいテンポです。若干速いのではとは思いますが、意味があり無理のないテンポだと思います。ここに挙げられているいくつかの演奏を聴きましたが、速すぎると意味が感じられません。伝わってくる内容も乏しくなります。セルにはそれがありません。十分に曲の持っている良さを聴く人に伝えていると思います。そして各楽器が曲の持つ情感をよく表現できています。
こだわりの第3楽章は若干速いかなあという気もしますが十分に歌っていると思います。
フルヴェンやカラヤンでこの曲を愛聴してきましたが、もちろんこれらは名演奏ですが、それらよりもこの曲に合った演奏だと思います。
2010-01-05:南 一郎
- ブラームスの第3番は、私には大事な音楽です。
英雄的と言われる音楽ですが、「激しく悶えても、解決を満たされない」「後期ロマン派音楽の息の長い響きに沈殿して癒されたい」の気持ちが私との絆になっています。
セルのこの演奏は、比較される「アルグロ・コンブリオ」そのままの演奏となっていて、存在感を感じるも、セルの録音の「持ち味」と私が考えている「弦の暖かさ」が音に感じないことも、究極に行った演奏に聞こえる要因ともなっていると考えます。
PCオーディオの再生に関して私は何の努力もしていませんが、管球アンプから石に変えた時以上に、音の硬さをPCオーデオやMP3の音に感じていて、耳や頭を疲れさせてしまうように聞こえてしまいます。スピーカーやアンプを介入することにより、音を変化させることが出来るのでしょうか。
2012-07-30:oTetsudai
- 長い間セルは食わず嫌いだった。今回初めてセルの演奏を耳にした。最初は各フレーズの隅々まで気配りのある魅力的な演奏だと感じたがどうもその表情がワンパターンなのが気にはじめると苦痛に感じ始めてしまった。優秀な指揮者ではあるが音楽的なイマジネーションを感じない。よく言えば音符どおりの演奏だがそうは言っても細かなフレーズは自分流を貫いているのが見え微妙な心境である。
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