クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|フリッツ・ライナー(Fritz Reiner)|ウェーバー:舞踏への招待

ウェーバー:舞踏への招待

ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1957年4月15日&16日録音



Weber:舞踏への招待


原曲はピアノ曲です

以前に、原曲のピアノ曲を紹介したときにこんな事を書いていました。

「舞踏への招待と言うとオーケストラ曲じゃなかったの?とお思いになるかもしれません。今日ではそちらの方が有名ですから。

しかし、原曲はこちらの方、つまりピアノ曲だったのです。そして、今ではそちらの方が有名になってしまっているオーケストラ番はベルリオーズによる編曲版です。自分が編曲したものならいざ知らず、他人が勝手に編曲した方のバージョンが有名になると言うのではウェーバーも苦笑いしているかもしれません。」

うーん、これは全くの勘違いでした。
ベルリオーズはウェーバーのことを大変尊敬していたらしいのです。そして、その尊敬の念があったがゆえに、ベルリオーズの尽力で「魔弾の射手」がパリで上演されることになりました。
ところが、当時のパリではオペラにバレエを入れるのが習慣となっていたのですが、「魔弾の射手」にはそのような気の利いたバレエのシーンは存在しません。そこで、ベルリオーズは尊敬すべきウェーバーのオペラがパリで受け入れられるようにと、「魔弾の射手」をオーケストラ用に編曲したというのです。
ですから、「他人が勝手に編曲した」というのは、私の早とちりでした。

原曲にないバレエの場面をそんな形で挿入することにベルリオーズ自身も抵抗があったようですが、出来上がった作品はまるで最初から管弦楽曲だったかのような見事さです。


華やかな大人の舞踏会

この録音は、かのシュヴァルツコップが無人島に持って行きたい一枚として選んだことで、すっかり有名になりました。
ただし、ネット上を探し回っても、この「選んだ」という情報は二次情報(伝聞)ばかりで一次情報は見つけ出せませんでした。ドイツの音楽雑誌のインタビューに答えたものというところまでは分かったのですが、肝心のインタビューの全文は確認できませんでした。
考えてみれば、全体の文脈から切り離されて一つのフレーズだけが一人歩きをし、それが何の検証もなしにネット上で次から次へと広められていくというのは少々「危ない」感じがします。
はたして彼女は、真摯に考えた末にこの一枚を押したのか、それともあまりにも愚かな質問ゆえに洒落として答えたのか、そんなことすらも分かりませんでした。
ですから、自分では満足に聞きもしないで、この一言だけを頼りに「ライナーのウィンナーワルツって凄いんだぞ!!」なんて吹聴している人がいるとすれば愚の極みです。

とはいえ、この録音を実際に耳にしてみれば悪い演奏でないことはすぐに分かります。ただし、無人島に持って行きたい一枚としてこれを選びたいとは思いませんが・・・。

このシュヴァルツコップが選んだアルバムは、「ウィンナ・ワルツ名演集」としてリリースされたもので、以下の曲が収録されています。

1: ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「朝刊」Op.279
2: ヨハン・シュトラウス2世:皇帝円舞曲Op.437
3: ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」
4: ウェーバー:「舞踏への勧誘」(ベルリオーズ編)
5: ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」Op.164
6: リヒャルト・シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」ワルツ(ライナー編)

聴いてすぐに分かるのは、例のウィーン訛りが全くないことです。
こういうウィンナーワルツを聞かされると、あの崩れたリズムによるウィーン風の演奏がまるで場末の娼婦のように聞こえます。もっとも、そういう崩れた雰囲気も時にはいいのですが、無人島に一人取り残されてあんな演奏を聴かされたら生きていく気力が消え失せます。
それと比べれば、ライナーの演奏は豪華な衣装に身をつつんだ紳士淑女による華やかな舞踏会を想起させてくれます。これだったら、いつかこの島を抜け出して復活してやるという気迫が生まれそうです。

そから、ふと思い出したのは同じハンガリー出身のセルも同じようなテイストのウィンナーワルツを残していたことです。当然のことながらウィーン訛りなどはどこを探しても見つからず、三拍子は三拍子として正確に振っています。
しかし、悔しいことに、ライナー&シカゴの方が明らかに大人の余裕みたいなものが感じ取れます。あのセルの棒になるウィンナーワルツは端正であっても夢見るような豪華さにはかけます。
たとえてみれば、どこか士官学校の舞踏会みたいな風情が漂います。

この両者の違いはオケの響きの違いによるものでしょう。
クリーブランドの響きはシカゴと比べればかなり細身でデッドです。もちろん、RCAがリビング・ステレオシリーズの一枚として力を傾注した録音と、エピックという二流レーベルで問題の多い録音としてリリースされたものを同列で比べるのは不公平なことは分かっています。
しかし、そういうことを割り引いたとしても、シカゴのふくよかで厚みある響きはクリーブランドには絶対求められないものです。
なるほど、だからセルはオケをさらに鍛えて筋肉の鎧をまとわせる事に力を注いだのでしょう。
ハンガリーに生まれ、その芸術的な根っこをウィーンに持つ二人の指揮者の微妙なライバル関係を垣間見たと言えば深読みに過ぎるでしょうか。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1296 Rating: 4.9/10 (277 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください。
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2016-03-02:emanon





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-09-28]

マヌエル・ポンセ:南の協奏曲(Manuel Ponce:Concierto del Sur)
(Gt)アンドレス・セゴビア:エンリケ・ホルダ指揮 シンフォニー・オブ・ジ・エア 1958年録音(Andres Segovia:(con)Enrique Jorda the Symphony of the Air Recorded in 1958)

[2026-09-26]

モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ」{エクスルターテ・ユビラーテ), K.165(Mozart:Exsultate, Jubilate, K.165/K.158A)
(S)エリーザベト・シュヴァルツコップ:ワルター・ジュスキント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1947年5月26日,28日録音(Elisabeth Schwarzkopf:(con)Walter Susskind Philharmonia Orchestra Recorded on May 26,28, 1947)

[2026-09-24]

マラン・マレー:組曲第4番 ニ長調(Marin Marais:Suite No. 4 In D Major)
アウグスト・ヴェンツィンガー:(Vdg)ハンネロレ・ミュラー (harpsichord)フリッツ・ノイマイヤー 1956年4月4日~5日録音(August Wenzinger:(Vdg)Hannelore Mulle (harpsichord)Fritz Neumeyer Recorded on April 4-5, 1956)

[2026-09-22]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068(J.S.Bach:Orchestral Suite No.3 in D major, BWV 1068)
クルト・レーデル指揮:(Fl)クルト・レーデル ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:(Fl)Kurt Redel The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)

[2026-09-20]

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調, Op.92(Beethoven:Symphony No.7 in A major, Op.92)
エーリッヒ・クライバー指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1950年5月録音(Erich Kleiber:Royal Concertgebouw Orchestrar Recorded on May, 1950)

[2026-09-18]

ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 作品55 「英雄」(Beethoven:Symphony No.3 in E flat major , Op.55 "Eroica")
エーリッヒ・クライバー指揮 ウィーン・フィルハーモニ管弦楽団 1955年4月録音(Erich Kleiber:Vienna Philharmonic Orchestra Recorded on April, 1955)

[2026-09-16]

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 「海の嵐」Op. 8, No. 5, RV 253(Vivald:Violin Concerto in E-Flat Major, Op. 8, No. 5, RV 253, "La tempesta di mare")
(Vn)フェリックス・アーヨ:イ・ムジチ合奏団 1961年9月20日~28日録音(Felix Ayo:Musici, I Recorded on September 20-28, 1961)

[2026-09-13]

アルビノーニ:ソナタ イ長調(Albinoni:Sonata In A Major, Op. 2, No. 3)
レナート・ファッサーノ指揮:ローマ合奏団 1958年発行(Renato Fasano:Virtuosi Di Roma Published in 1958)

[2026-09-11]

J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV1067(J.S.Bach:Orchestral Suite No.2 in B minor, BWV 1067)
クルト・レーデル指揮:(Fl)クルト・レーデル ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団 1962年2月録音(Kurt Redel:(Fl)Kurt Redel The Pro Arte Chamber Orchstra of Munich Recorded on February, 1962)

[2026-09-08]

サンティーノ・ガルシ:リュート曲集(Santino Garsi:Pieces For Lute)
(Lute)ヴァルター・ゲルヴィッヒ:1953年4月7日~8日録音(Walter Gerwig:Recorded on April 7-8, 1953)