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フルトヴェングラー(Wilhelm Furtwangler)|ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調, Op.68「田園」
ベートーベン:交響曲第6番 ヘ長調, Op.68「田園」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー:フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1952年11月24日~25日録音
Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral" [1.Allegro Ma Non Troppo (Apacibles Sentimientos Que Despierta La Contemplacion De Los Campos)]
Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral" [2.Andante Molto Moto (Escena Junto Al Arroyo)]
Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral" [3.Allegro (Animada Reunion De Campesinos) ]
Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral" [4.Allegro (La Tormenta, La Tempestad) ]
Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastoral" [5.Allegretto (Cancion Pastoril, Gratitud Y Reconocimiento Despues De La Tormenta)]
標題付きの交響曲

よく知られているように、この作品にはベートーベン自身による標題がつけられています。
第1楽章:「田園に到着したときの朗らかな感情の目覚め」
第2楽章:「小川のほとりの情景」
第3楽章:「農民の楽しい集い」
第4楽章:「雷雨、雨」
第5楽章:「牧人の歌、嵐のあとの喜ばしい感謝の感情」
また、第3楽章以降は切れ目なしに演奏されるのも今までない趣向です。
これらの特徴は、このあとのロマン派の時代に引き継がれ大きな影響を与えることになります。
しかし、世間にはベートーベンの音楽をこのような標題で理解するのが我慢できない人が多くて、「そのような標題にとらわれることなく純粋に絶対的な音楽として理解するべきだ!」と宣っています。
このような人は何の論証も抜きに標題音楽は絶対音楽に劣る存在と思っているらしくて、偉大にして神聖なるベートーベンの音楽がレベルの低い「標題音楽」として理解されることが我慢できないようです。ご苦労さんな事です。
しかし、そういう頭でっかちな聴き方をしない普通の聞き手なら、ベートーベンが与えた標題が音楽の雰囲気を実にうまく表現していることに気づくはずです。
前作の5番で人間の内面的世界の劇的な葛藤を描いたベートーベンは、自然という外的世界を描いても一流であったと言うことです。同時期に全く正反対と思えるような作品を創作したのがベートーベンの特長であることはよく知られていますが、ここでもその特徴が発揮されたと言うことでしょう。
またあまり知られていないことですが、残されたスケッチから最終楽章に合唱を導入しようとしたことが指摘されています。
もしそれが実現していたならば、第五の「運命」との対比はよりはっきりした物になったでしょうし、年末がくれば第九ばかり聞かされると言う「苦行(^^;」を味わうこともなかったでしょう。
ちょっと残念なことです。
フルトヴェングラーのスタジオ録音を見直すときが来たようです。
フルトヴェングラーの演奏に関しては大戦中のライブ録音を評価するのが一般的でした。
しかし、戦後になされたスタジオ録音を素晴らしい音質で蘇らせてリリースする動きが最近になって目立ってきました。
とりわけ、52年以降のスタジオ録音に関してはEMIが正式にテープ録音を採用しているために、最近の録音と比べてもそれほどの落差を感じることなく音楽を楽しめるはずのものでした。それなりにきちんと作り込めば、それなりの音質で音楽を再現できるポテンシャルはある録音だったのです。
ユング君がこのことに初めて気づかされたのは、イタリアEMIが独自にマスタリングをほどこしてリリースしたベートーベンの交響曲全集を聞いたときでした。それは、今までに何度も再発を繰り返してきた同じEMIの音源とは思えないほどの素晴らしいものでした。
さらに、その後「THE 50’S」なるマイナーレーベルから出されたシューベルトの8番「ザ・グレイト」(50年スタジオ録音)を聞いたときは、開いた口がふさがりませんでした。いったいどういう種と仕掛けがあるのか分かりませんが、今まで何度も耳にしてきたEMIのものとは別物ののようなすぐれた音質でした。
最初は何か強力なノイズリダクションをかけているのかと思いましたが、聞き込んでみるとそう言う形跡は全くありません。おそらくは、よほど質の良い初期LP盤からの板おこしをしたのでしょう。
こうなると、テープ録音を正式に採用する以前の録音でさえも、やる気さえあればかなりの音質で蘇らせることも可能だと言うことが分かります。
そして、そう言う努力をEMIが全くやってこなかったのではないかという疑惑も浮かび上がってきます。
著作権という錦の御旗の上にあぐらをかいた殿様商売のゆえでしょうが、その錦の御旗が効力を失うことによって(隣接著作権の失効)、逆にフルトヴェングラーの芸術の本質が浮かび上がってくるようなすぐれたCDが市場に出回るようになったとするなら、何という皮肉、何というパラドックスでしょうか!!
つまり、EMIの様な粗雑な音質でスタジオ録音をリリースしていたのでは、音質の面でも大戦中のライブ録音に対してそれほどの優位を主張できず、その結果として、きちんとまとまったスタジオ録音よりは異様な緊張感に満ちた大戦中のライブ録音に軍配があがるのは当然のことだったのです。
しかし、うれしいことに、多くのマイナーレーベルからリリースされる最近のCDは、大戦中のライブ録音などとはハッキリと一線を画すほどに素晴らしい音質です。そうなると、細部の細部まで彫拓の限りを尽くしたスタジオ録音は、フルトヴェングラーというこの希代の天才がそれぞれの作品と作曲家をいかに理解していたかをハッキリと私たちに教えてくれるものとなっています。
とりわけ、52年の11月の下旬から12月の初旬にかけて集中的に録音されたベートーベンの交響曲は注目に値します。
52年11月24,25日:交響曲第6番「田園」
52年11月26,27日:交響曲第3番「エロイカ」
52年11月24,27,28日:交響曲第1番
52年12月1,2日:交響曲第4番
これだけ集中的に録音したのですから、それなりの準備と思い入れを持って取り組んだはずです。一般的にはそれほど評価の高くないスタジオ録音ですが、すぐれたCDで聞き直してみると全く別物のように聞こえるはずです。
それ故に、フルトヴェングラーのベートーベンは既に何種類もアップしてはいるのですが、2004年を迎えて新たにパブリックドメインの仲間入りをはたしたこれらの音源をアップせざるをえないユング君なのです。(残念ながら1番に関しては初出が55年ですので、隣接著作権は失効していません。それ以外はすべて初出が53年です。)
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