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ウィリアム・スタインバーグ(William Steinberg) |ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27
ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27
スタインバーグ指揮 ピッツバーグ交響楽団 1954年1月25日録音
Rachmaninov:交響曲第2番 ホ短調 作品27 「第1楽章」
Rachmaninov:交響曲第2番 ホ短調 作品27 「第2楽章」
Rachmaninov:交響曲第2番 ホ短調 作品27 「第3楽章」
Rachmaninov:交響曲第2番 ホ短調 作品27 「第4楽章」
メロディーメーカーとしての真骨頂
ラフマニノフが交響曲の第1番で手痛い失敗を喫した事は以前に取り上げました。そして、その失敗の痛手から立ち直ってピアノ協奏曲の第2番を書き上げて大成功を収めた話も取り上げました。
この交響曲の第2番は、その挫折と復活の後に書かれた作品です。
ピアノ協奏曲での成功は、ラフマニノフの人生を大きく転換させました。帝国歌劇場の指揮者として大きな成功を収めることができたのも、この協奏曲の大成功があったためです。しかし、ラフマニノフは指揮者としての成功を収めても、自分自身は「作曲家」であるという自負を持っていて、やがて活動の本拠地をロシアからドイツのドレスデンに移します。そして、その地で本格的に取り組んだ作品がこの交響曲の第2番でした。
聞けば分かるように、この作品は1番の革新的な作風は影を潜め、ピアノ協奏曲で成功を収めた路線上で書かれています。そして、初演はラフマニノフ自身の指揮で行われて、予想したとおりの大成功を収めます。
しかし、初演の大成功とは裏腹に、演奏時間の長さや冗長さが嫌われて、その後はマイナー曲の仲間入りをしてしまいます。ラフマニノフ自身もそのような弱点を承知していたようで、たびたび改訂を加えています。ですから、この作品はたまにコンサートで取り上げられる事があっても、初演時のスコアではなくて大幅にカットが施された短縮盤が用いられるのが一般的でした。
そのような事情に大きな変化が起きたのは、プレヴィンによる功績です。彼が1973年に初演時の姿を完全に再現する形で録音をしてから、少しずつこの作品の真価が再認識され、その後は短縮盤による演奏は姿を消していきました。
確かに、20世紀の初頭では、この作品は「長すぎ」て、「冗長」に過ぎたかもしれませんが、その後のマーラーブームを経た耳からすれば決して長すぎもしませんし、その冗長な部分こそが愛すべきところだと思えるようになっていました。
さらに、この作品の受容史で大きな転換点になったのは、テレビドラマの中でこの作品の第3楽章が使われたことです。これがきっかけで多くの女性がレコードショップにこの作品を買い求めに行ったそうです。もちろん、未だにマイナー作品だったので、よほど大きなショップでもなければ在庫があるはずもなく、中には「第2番」と言うことで「ピアノ協奏曲の間違いでしょう」と言うことで、全く違うCDを売ってしまったお店もあったらしいです。
しかし、そのブームも去ってみれば、やはり未だにこの作品はマイナー作品の域を出ないことは事実です。
とは言え、この第3楽章こそは、メロディーメーカーとしてのラフマニノフの真骨頂が現れていることは間違いありません。
ほとんど別物
私にとってのラフマニノフの交響曲と言えば、プレヴィンによる全集盤がスタンダードです。さらに言えば、それ以外で手持ちのCDと言えば数えるほどしかありませんから、プレヴィンによる演奏が刷り込まれてしまっています。
その刷り込み効果から見ると、このスタインバーグによる演奏はあっという間に終わってしまうという感じで、何かの間違いではないか?と思ったほどです。
しかし、調べてみて分かったのは、プレヴィン以前は、このように大幅にカットした短縮版で演奏するのが普通だったようなのです。
確かに、マーラーにしても同じですが、こういう作品は「冗長」な部分を整理するのではなくて、「冗長」な部分は「冗長」なものとして愛さなければいけないのです。ある人に言わせれば、「デブ専」でなければ、本当の良さは理解できないというのです。
ですから、その肥満体型を見て、「よーし、これは徹底的にダイエットしてやるぞ!」などと言うスタンスで臨むと、この愛すべきおデブちゃんの魅力が消えてしまうと言うのです。
実に納得のいく話です。
その意味で言えば、これは徹底的にダイエットを施した演奏です。おまけに、短縮版という荒技まで繰り出していますから、今では常識となっている「全曲版」と比べれば、ほとんど別物と思った方がいいのかもしれません。
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