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ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調[遺作]作品66

(P)モイセイビッチ 1952年録音



ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調[遺作]作品66


ベートーヴェンの『月光』を拝借して創った

ショパンの若書きの作品の一つで、自分自身もこの作品がベートーベンの月光を下敷きにして作ったことを認めています。そのために、本人自身は公開することは考えていなかったそうですが、彼の死後友人のユリアン・フォンタナが手を加え、さらに『幻想即興曲』と名前までつけて出版しました。一説によるとショパンは「自分の死後この楽譜を灰にして欲しい」と頼んだそうですから、経緯はどうであれ灰にするどころか出版までしてくれたフォンタナには感謝しなければいけません。

この作品は古今のピアノ曲の中でも屈指の人気曲です。その人気のかなり部分を『幻想即興曲』というタイトルが担っていることは間違いありません。これが「幻想曲」だけでも「即興曲」だけでもインパクトが弱すぎます。この二つが合わせ技となって『幻想即興曲』となると、何だかいろんな事がイメージされて楽しくなってきます。
しかし、この曲は今ではフィギアスケートの人気曲として多くの人に受け入れられているようです。
演奏時間が4分半前後と言うことでフリー演技にピッタリですし、A - B - A'という形式も演技にメリハリをつける上で最適です。ガツーン!!と入って、中間部はたおやかに、そして最後は盛り上がってフィニッシュ!!と思うと、コーダで中間部が静かに再現されて終わります。
ショパンのピアノ曲の中では一番易しい部類に属しますし(でも、右手と左手でリズムが違う!!)、演奏効果も満点なので、おそらくはチャレンジされた方も多いと思います。「幻想即興曲 弾き方」というキーワードで検索すると本当にたくさんのページが表示されます。弾いて良し、聞いて良しですから、この曲の人気はこれからも不動でしょう。


パブリックドメインになって再び光が当たるようになりました。

ウクライナのオデッサで生まれて、わずか9歳でコンクールで優勝したという早熟の天才です。その後10歳からコンサート旅行に明け暮れて、亡くなるまでに南極大陸以外は全て足跡を標したと言われるほどの、ある意味、根っからの芸人とも言えるピアニストでした。
生まれは1890年ですからシュナーベルやコルトーよりは一世代後で、バックハウスやルービンシュタインなどとほぼ同じ世代だと言えます。そして、この後に続くのがホロヴィッツやアラウということでしょうか。
こうしてならべてみると、彼の存在は今ではすっかり色褪せて、一部の好事家しかその存在を知らないピアニストになっています。
確かに、その演奏スタイルは同世代のバックハウスなどと比べると明らかに古くささを感じさせます。どちらかと言えば、一世代前のある種の「いい加減さ」みたいなものがつきまといます。しかし、テクニック的にはシュナーベルやコルトーなどと比べるとしっかりしているのですが、あとの世代のホロヴィッツなどと比べられると苦しいです。
こうしてみると、この世代のピアニストは嫌でもホロヴィッツを意識しないとやっていけなかったことに気づかされます。つまり、何らかの形でホロヴィッツの出来の悪いコピーではない独自の自分のスタイルというものを生み出さないと潰されてしまった世代だったのです。
バックハウスやケンプは精神性を前面に出しましたし、ルービンシュタインは山にこもって修行をしなおし手、テクニックそのものを磨き直しています。
そんな中でモイセイヴィッチはどうだったのかと言えば、これが変わらないんですね。(^^;少なくとも私にはその様に聞こえます。もちろん、コンサートに出かけて演奏聞けばきっと感動はするのでしょう。しかし、まわりのきら星のごとき偉大なピアニストの中にまざると、その強い光でかき消されてしまう存在だったことも事実です。イギリスを拠点に活躍した人だったので、今でもイギリスでは根強い人気があるそうです。
そんな彼のパブリックドメインとなった音源がナクソスからまとまってリリースされるようになり、再び注目が集まるようになっています。悪くはない演奏ですが、「知られざる幻の巨匠」みたいな過分の期待は抱かない方がいいかと思います。
それにしてもこの録音、1952年のわりには音が悪いなー!!

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2012-08-03:uchi





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