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ムソソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル編曲)

トスカニーニ指揮:NBC交響楽団 1953年1月26日録音



Mussorgsky:展覧会の絵(ラヴェル編曲)


今までの西洋音楽にはない構成

組曲「展覧会の絵」は作曲者が35歳の作品。親友の画家で建築家のヴィクトール・ガルトマン(1834〜1873)の遺作展が開かれた際に、そのあまりにも早すぎる死を悼んで作曲されたと言われています。
彼は西洋的な音楽語法を模倣するのではなく、むしろそれを拒絶し、ロシア的な精神を音楽の中に取り入れようとしました。
この「展覧会の絵」もガルトマンの絵にインスピレーションを得た10曲の作品の間にプロムナードと呼ばれる間奏曲風の短い曲を挟んで進行するといった、今までの西洋音楽にはない構成となっています。
よく言われることですが、聞き手はまるで展覧会の会場をゆっくりと歩みながら一枚一枚の絵を鑑賞しているような雰囲気が味わえます。

作品の構成は以下のようになっています。

「プロムナード」
1:「グノームス」
2:「古い城」
「プロムナード」
3:「チュイルリー公園」
4:「ヴィドロ」
「プロムナード」
5:「殻をつけたままのヒヨコのバレエ」
6:「ザムエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」
「プロムナード」
7:「リモージュの市場」
8:「カタコムベ(ローマ人の墓地)」
9:「ニワトリの足に立つ小屋(ババヤーガ)」
10:「雄大な門(首都キエフにある)


やや堅いかな・・・?

全く同じコンビによる1938年の録音をアップしたときにこんな事を書いています。
「彼の音楽の一番素晴らしいのは、音楽を音響の構築物として築き上げる手腕の見事さです。(キエフの大門の何という見事さ!!)そして、さらに素晴らしいのは、そう言う壮麗な構築物の中に、強靱でしなやかな歌が満ちあふれていることです。」

録音の問題も考えればトスカニーニの「展覧会の絵」としてはこの53年盤を取るのが一般的なのでしょうが、残念ながらこの演奏には「強靱でしなやかな歌」がいささか欠けているようです。
確かにトスカニーニの集中力は素晴らしくて、一つ一つの絵を克明・緻密に描き出していきます。キエフの大門における壮麗な盛り上がりもなかなかに見事なものです。
しかし、その克明な彫琢が「歌の欠如」と感じられることも否定できません。

トスカニーニという人は80歳を超えても「衰え」というのがほとんど感じられない人でした。ほとんどの指揮者がその様な老年になると、運動機能の衰えからテンポが落ちて緩みが出てくるのが一般的なのに、その様な意味での「衰え」はトスカニーニには全く無縁でした。
しかし、その時の体調によるのでしょうが、全体の構成はガッシリとくみ上げていくのに、その構築物がまるで鋼鉄でできあがったような「硬直性」を示すことが多くなっていきました。歌うことを何よりも大切にしてきたトスカニーニが、その最晩年において時にこのような硬直性を示すようになった事は実に不思議なことですが、それがいわゆる「老い」というものなでしょう。

ただし、録音のクオリティも考え合わせれば、やはり代表盤としてはこちらを取るのが一般的だとは思います。

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