クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|ハスキル(Clara_Haskil)|スカルラッティ:ソナタ集

スカルラッティ:ソナタ集

クララ・ハスキル 1950年10月録音



Scarlatti:ソナタ K2

Scarlatti:ソナタ K6

Scarlatti:ソナタ K35

Scarlatti:ソナタ K87

Scarlatti:ソナタ K132

Scarlatti:ソナタ K193

Scarlatti:ソナタ K247

Scarlatti:ソナタ K332

Scarlatti:ソナタ K386

Scarlatti:ソナタ K515

Scarlatti:ソナタ K519


近代的鍵盤楽器奏法の父

スカルラッティはほとんど独力で新しい鍵盤技法を作り出したと言われ、「近代的鍵盤楽器奏法の父」と呼ばれています。
彼はナポリで生まれた生粋のイタリア人であり、1715年には教皇庁のサン・ピエトロ大聖堂にあるジュリア礼拝堂の楽長と言うローマ・カトリックの音楽家としては最高の地位に上りつめています。ところが、1719年に突然その職を辞して活躍の場をイベリア半島に移します。

辞任の理由は今日に至るも謎に包まれていますが、1719年の終わり頃にはポルトガルのジョアン5世に仕えるためにリスボンに赴いて、ポルトガル王家の宮廷楽長として活躍しています。そして、彼がチェンバロを教えていた王女マリア・バルバラが1729年にスペイン王子フェルナンド(後のフェルナンド6世)のもとに嫁ぐと、スカルラッティもそれに随伴してマドリードに赴き、1757年に彼自身が亡くなるまで王家のチェンバロ教師としてスペインで生涯を終えています。

つまり、スカルラッティという人はイタリアで活躍した前半生と、ポルトガルやスペインというイベリア半島で活躍した後半生とに二分割されるのです。作品的に見ると、イタリアとポルトガル時代は宮廷楽長として教会音楽やオペラ、室内カンタータが創作の中心でしたが、後半生のマドリッド時代はチェンバロ音楽が中心となっています。そして、スカルラッティにとって真に素晴らしい業績がこの後半生のチェンバロによるソナタ作品にあったことは今さら言うまでもないことです。

ラルフ・カークパトリックによって555曲に整理された彼のソナタ作品は、今日的感覚のソナタ作品とは全く異なります。一部の例外はありますが、そのほとんどが単一楽章の二部構成という極めてシンプルな形式です。しかし、楽想は驚くほどの多様さを持っていて、イベリア半島ならではのアラブの音楽やスペイン・ポルトガル特有の民族色の濃いリズムや旋律があちこちにこだましています。
また、演奏技法の点でも、両手の交差やアルペッジョ、さらにはチェンバロを打楽器的に扱ってみたり、今までにないような大きな音程の跳躍を用いるなど様々なテクニックを駆使してます。 スカルラッティ自身が「これらの作品のうちに深刻な動機でなく、技術的な工夫をこそ見て欲しい」と記しているように、その事は結果として鍵盤楽器の演奏に必要な近代的な技法が全て網羅されていると言っても過言ではありません。

同時代を生きたJ.S.バッハの平均律などとは全く性格を異にした作品群ではありますが、これはこれで、バッハと比肩できるほどのバロック鍵盤音楽の傑作だといえます。


風の匂い

私はスカルラッティのソナタを聴くときは、ほとんどスコット・ロスの全集に手が伸びます。
それは、スカルラッティの555曲のソナタを全曲録音したのがロスしかいないという事情もありますが、それよりも彼の演奏を聞いて伝わってくる「風の匂い」がとても好ましく思えるからです。ちょっと俗な言い方になりますが、ロスの演奏を聞いて伝わってくるのは地中海の太陽と乾いた風の匂いです。そして、その雰囲気はスカルラッティのソナタにとても相応しく思えます。

さて、ハスキルですが、こちらの風の匂いはすこぶる湿っぽいです。
ロスの演奏が地中海の光と風を満喫するリゾートだとするなら、ハスキルの方は湖畔のキャンプ場という雰囲気です。ロスの演奏がしみこんだ私の耳にはかなり違和感を感じる演奏でしたが、でも聞いているうちに「こういうスカルラッティもありかな?」と思ってきます。まあ、その辺がハスキルの凄さと言うことでしょうか。(^^;

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



5 Rating: 5.6/10 (271 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-02-15]

シベリウス:交響曲第4番 イ短調 Op.63(Sibelius:Symphony No.4 in A minor, Op.63)
アルトゥール・ロジンスキ指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年3月5日録音(Artur Rodzinski:New York Philharmonic Recorded on March 5, 1946)

[2025-02-11]

ラヴェル:ツィガーヌ(Ravel:Tzigane)
(Vn)ジネット・ヌヴー (P)ジャン・ヌヴー 1946年録音(Ginette Neveu:(P)Jean Neveu Recorded on 1946)

[2025-02-09]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」 変ロ長調, Op.106(Beethoven: Piano Sonata No.29 In B Flat, Op.106 "Hammerklavier")
(P)エリック・ハイドシェック:1957年9月23日,25日&27日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n September 23,25&27, 1957)

[2025-02-07]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 K.575(プロシャ王第1番)(Mozart:String Quartet No.21 in D major, K.575 "Prussian No.1")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2025-02-05]

ハイドン:弦楽四重奏曲第49番 ニ長調「蛙」, Op.50, No.6, Hob.3:49(Haydn:String Quartet No.49 in D major "Frog", Op.50, No.6, Hob.3:49)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1937年11月15日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on November 15, 1937)

[2025-02-03]

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(Debussy:Prelude a l'apres-midi d'un faune)
グイド・カンテッリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年6月録音(Guido Cantelli:The Philharmonia Orchestra Recorded on June, 1954)

[2025-02-01]

ショパン:ノクターン Op.9(Chopin:Nocturnes for piano, Op.9)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)

[2025-01-29]

ダンディ:フランス山人の歌による交響曲, Op.25(D'Indy:Symphony on a French Mountain Air, Op.25)
シャルル・ミュンシュ指揮 (P)ロベール・カサドシュ ニューヨーク・フィルハーモニック 1948年12月20日録音(Charles Munch:(P)Robert Casadesus New York Philharmonic Recorded on Dcember 20, 1948)

[2025-01-26]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 ヘ短調, Op.57(Beethoven: Piano Sonata No.23 In F Minor, Op.57 "Appassionata")
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月4日~5日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 3-4, 1960)

[2025-01-24]

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第20番 ニ長調 K499(ホフマイスター四重奏曲)(Mozart:String Quartet No.20 in D major, K.499 "Hoffmeister")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)