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クレメンス・クラウス(Clemens Krauss) |R.シュトラウス:フランソワ・クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント, Op.86
R.シュトラウス:フランソワ・クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント, Op.86
クレメンス・クラウス指揮:バンベルク交響楽団 1954年4月録音
Richard Strauss:Divertimento aus Klavierstucke von Francois Couperin, Op.86 [1.La Visionnaire]
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この上もなく優美な音楽
リヒャルト・シュトラウスは1919年からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任します。これによって活動の拠点がベルリンからウィーンに移動することになるのですが、それがシュトラウスがあらためて古典派の音楽と向き合う切っ掛けとなります。
伝えられるところによると、歌劇場に付属している小ホールで浴びるように古典派の音楽に親しんだと伝えられています。そして、その事がそれまでの表現主義的な作風から新古典派的なものに変わっていく切っ掛けとなったようです。
そんな中で特にシュトラウスの興味をひいたのがフランスの古典音楽であり、とりわけクープランのクラブサン曲には強く惹きつけられ、彼の作品を徹底的に掘り下げたようです。
そして、そんな中で彼の中で浮かび上がってきたのは、クープランのクラブサン曲をもとにしたオーケストラ曲を書いてみようとの思いでした。
そうして生み出されたのが「クープランのクラヴサン曲による舞踏組曲」と「クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント」でした。
シュトラウスの当初の思惑は演奏会用のオーケストラ曲だったのですが、しだいにクープランの作品の舞踏曲的な性格に気づく様になり、最初に生み出されたのは「クープランのクラヴサン曲による舞踏組曲」でした。さらに言えば、歌劇場の音楽監督としてバレエ団のための音楽に仕上げる事が求められていたという「現実的な理由」もあったようです。
そうして仕上げられた作品は、クープランのクラブサン曲をそのままオーケストレーションするというような単純なものではなく、数曲のクラブサン曲を一つにまとめ、さらには必要な終結部分は新たに作曲をしたりして、全8曲からなる組曲に仕上げました。
クープランのクラヴサン曲による舞踏組曲
第1曲 入場と荘重な輪舞(パヴァーヌ)
第2曲 クーラント
第3曲 カリヨン
第4曲 サラバンド
第5曲 ガヴォット
第6曲 回転舞踏
第7曲 アルマンド
第8曲 行進曲
しかし、シュトラウスは当初の演奏会用のオーケストラ曲という着想も捨てきれなかったようで、1940年から1941年にかけて「クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント」を完成させています。
これは舞踏曲としての性格ではなく、演奏会用のオーケストラ組曲として仕上げられました。
クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント, Op.86
第1曲 幻影を見る人
第2曲 よりぬきのミュゼット-華奢なマドロン-優しいジャヌトン-セジル夫人-居酒屋のミュゼット
第3曲 ティク・トク・ショク-茶目
第4曲 嘆きのウグイス
第5曲 戦利品-鰻-若殿様たち-戦利品-おびえる紅ひわ
第6曲 手品-
第7曲 さまよう亡霊たち-
第8曲 がらくた-おどけ
こちらは「ディヴェルティメント」の名にふさわしいこの上もなく優美な音楽に仕上がっています。そして、何故に、戦後のクラシック音楽がこのような道を捨てて、誰も聞こうともしないような「前衛音楽」へと突き進んでいったのかと溜息が盛れてしまいます。
まるでウィーンのオーケストラのような響き
この録音を聞いて一番驚かされるのは、ある意味ではもっともドイツ的だと言われるバンベルク響がまるでウィーンのオーケストラのような響きで演奏していることです。人によれば、メタモルフォーゼンなどの演奏からは、第2次大戦でなくなった人々への痛切なる慟哭のようなものが聞き取れるというのですが、私にはそれよりもこの優美で美しい響きの方にこそまず耳がいってしまいます。
そして、それが「クープランのクラヴサン曲によるディヴェルティメント」のような、擬古典的な優美な音楽であればその美しさは一層作品の魅力を引き立てますし、デュカスの「魔法使いの弟子」なども、これをブラインド聞かされてウィーン・フィルの演奏だよと言われれば納得してしまう人もいるでしょう。
もちろん、それは「魔法使いの弟子」だけに限った話だけでなく他のリヒャルト・シュトラウスの作品にもあてはまります。少なくとも、私は「ウィーン・フィルの演奏だよ」と言われればきっと信じてしまうはずです。
と言うことは、ここで聞くことのできるオーケストラの響きというのはクラウスが最も強く求めるオケの響きだと言うことになります。そして、クラウスとウィーン・フィルとの相性の良さは常に指摘されるのですが、それは裏を返せばクラウスがウィーン・フィルの響きに乗っかっているのではなくて、クラウスが理想とする響きをもっとも的確に実現できるのがウィーン・フィルだったと言うことなのでしょう。
意外な話ですが、クラウスという人は結構しつこくリハーサルを行って、楽団員との関係は結構緊張関係になることが多かったようです。
それは、彼の中に理想とする響きが確固として存在していて、その理想にほど遠ければ絶対に許せないという気性だったのでしょう。
そう言えば、あのチェリビダッケも晩年はどのオーケストラを指揮しても同じような音色を紡ぎ出していました。そして、その背景には気の遠くなるようなリハーサルの積み重ねがあったことはよく知られています。
ある意味では全く異質と思われるこの二人の指揮者は意外なところで共通点があったのかもしれません。
ちなみに、バンベルク響と言うのは、もともとはチェコにあったドイツ系の人々によって創設されたオーケストラが母体になっています。それが、ドイツの敗戦でチェコ在住のドイツ系の人々が追放されることでオケは解散し、その団員たちがドイツの小都市バンベルグで新しく創設したのがバンベルクでした。
人口が10万人にも満たない小都市には不釣り合いなほど立派なオーケストラなのですが、その背景にはそう言う戦争の影響があったようです。そして、それ故に彼らのドイツ的な指向は非常に強いものとなったのでしょう。
それだけに、そう言うオケからこういう響きを生み出したクラウスというのは、やはりチェリビダッケのような並大抵の男ではなかったようです。
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よせられたコメント 2021-05-05:コタロー R.シュトラウスは、一歳年下のシベリウスとは対照的に、晩年に至るまで創作活動を続けました。しかも、晩年の作品である「メタモルフォーゼン」や「4つの最後の歌」は彼の最高傑作だと思います。そんな彼が晩年にこのような擬古典的で美しい作品を遺していたとは意外でした。このような珍しい佳品を紹介していただき、ありがとうございます。
クラウスは、本来は野太い響きを持つバンベルク交響楽団から優雅な音を引き出し、この曲の魅力を余すところなく表出しています。それにしても1954年の録音ですから、作曲されてからまだ十数年しか経っていない演奏であるという事実に何がしかの感慨を覚えます。
欲を言えば、もしクラウスの指揮で「クープランのクラヴサン曲による舞踏組曲」のレコーディングもありましたら、是非アップしていただけると幸いです。
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