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チャイコフスキー:交響曲第5番

カンテッリ指揮 NBC交響楽団 1952年3月1日録音



Tchaikovsky:交響曲第5番「第1楽章」

Tchaikovsky:交響曲第5番「第2楽章」

Tchaikovsky:交響曲第5番「第3楽章」

Tchaikovsky:交響曲第5番「第4楽章」


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何故か今ひとつ評価が低いのですが・・・

チャイコフスキーの後期交響曲というと4・5・6番になるのですが、なぜかこの5番は評価が今ひとつ高くないようです。

 4番が持っているある種の激情と6番が持つ深い憂愁。その中間にたつ5番がどこか「中途半端」というわけでしょうか。それから、この最終楽章を表面的効果に終始した音楽、「虚構に続く虚構。すべては虚構」と一部の識者に評されたことも無視できない影響力を持ったのかもしれません。また、作者自身も自分の指揮による初演のあとに「この作品にはこしらえものの不誠実さがある」と語るなど、どうも風向きがよくありません。
 ただ、作曲者自身の思いとは別に一般的には大変好意的に受け入れられ、その様子を見てチャイコフスキー自身も自信を取り戻したことは事実のようです。

 さてユング君はそれではどう思っているの?と聞かれれば「結構好きな作品です!」と明るく答えてしまいます。チャイコフスキーの「聞かせる技術」はやはり大したものです。確かに最終楽章は金管パートの人には重労働かもしれませんが、聞いている方にとっては実に爽快です。第2楽章のメランコリックな雰囲気も程良くスパイスが利いているし、第3楽章にワルツ形式を持ってきたのも面白い試みです。
 そして第1楽章はソナタ形式の音楽としては実に立派な音楽として響きます。
 確かに4番と比べるとある種の弱さというか、説得力のなさみたいなものも感じますが、同時代の民族主義的的な作曲家たちと比べると、そういう聞かせ上手な点については頭一つ抜けていると言わざるを得ません。
 いかがなものでしょうか?


度肝を抜かれる演奏

カンテッリという人は、前途を嘱望されながら1956年11月24日、飛行機事故のため36歳で夭折した指揮者です。トスカニーニが彼の才能を激賞し、自らの後継者と目していたことは有名な話ですが、まさか90才を目前にした自分よりも先にこの世を去るとは夢にも思わなかったでしょう。

しかし、その優れた才能は広く世間に喧伝されながらも残された録音はあまりにも少なく、そのほとんどが放送用の録音だということになれば、時の流れの中でやがては忘れ去られてしまうのも仕方のないことでした。ユング君がクラシック音楽などというものを聞き始めた70年代の終わり頃でも、すでに過去の人として忘れ去られた存在になっていました。
しかし、没後50年が近いと言うこともあるんでしょうが、昨年あたりからかなりまとまった形でカンテッリの録音が供給されるようになってきました。残念ながらセット物という形でリリースされたために「おやすい買い物」とはいかなかったためにユング君は見送ってしまったのですが、歴史的録音のコレクター化してきているユング君としてはやはり気になる指揮者の一人ではありました。そんなわけで、この2,3ヶ月は彼の名を見るたびにポツポツと注文を出すようになったわけなのですが、そういう流れの中で出会ったのがこの一連のチャイコフスキーのライブ録音でした。

度肝を抜かれるというのはこういうことを言うのでしょう。
底光りのする鋼鉄の響きが一糸乱れぬ鬼のアンサンブルで驀進していきます。かと思えば、チャイコフスキーらしい叙情性にあふれた場面では実によく歌います。最初に第4番の演奏を聞いたときに思わずムラヴィンスキーの顔が浮かんだのですが、5番・6番と聞き進むうちに、なるほどこれは間違いなく、ムラヴィンスキー&レニングラードフィルの不滅の演奏に迫るものだと確信しました。なるほど、この演奏ならばトスカニーニが激賞したというのもうなずけます。

あー、困った!これではカタログに彼の名前を見るたびにこの手がかってキイボードをたたいて注文を出してしまう・・・。
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