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ザーク(Yakov Zak)|ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
(P)ヤコフ・ザーク ザンデルリング指揮 レニングラードフィル 1949年録音
Brahms:ピアノ協奏曲第2番「第1楽章」
Brahms:ピアノ協奏曲第2番「第2楽章」
Brahms:ピアノ協奏曲第2番「第3楽章」
Brahms:ピアノ協奏曲第2番「第4楽章」
まったく可愛らしいきゃしゃなスケルツォをもった小さなピアノ協奏曲・・・

逆説好みというか、へそ曲がりと言うべきか、そう言う傾向を持っていたブラームスはこの作品のことそのように表現していました。しかし、そのような諧謔的な表現こそが、この作品に対する自信の表明であったといえます。
ブラームスは第1番の協奏曲を完成させた後に友人たちに新しい協奏曲についてのアイデアを語っています。しかし、そのアイデアは実現されることはなく、この第2番に着手されるまでに20年の時間が経過することになります。
ブラームスという人は常に慎重な人物でした。自らの力量と課題を天秤に掛けて、実に慎重にステップアップしていった人でした。ブラームスにとってピアノ協奏曲というのは、ピアノの名人芸を披露するためのエンターテイメントではなく、ピアノと管弦楽とが互角に渡り合うべきものだととらえていたようです。そう言うブラームスにとって第1番での経験は、管弦楽を扱う上での未熟さを痛感させたようです。
おそらく20年の空白は、そのような未熟さを克服するために必要だった年月なのでしょう。
その20年の間に、二つの交響曲と一つのヴァイオリン協奏曲、そしていくつかの管弦楽曲を完成させています。
そして、まさに満を持して、1881年の夏の休暇を使って一気にこの作品を書き上げました。
5月の末にブレスハウムという避暑地に到着したブラームスはこの作品を一気に書き上げたようで、友人に宛てた7月7日付の手紙に「まったく可愛らしいきゃしゃなスケルツォをもった小さなピアノ協奏曲」が完成したと伝えています。
決して筆のはやいタイプではないだけにこのスピードは大変なものです。まさに、気力・体力ともに充実しきった絶頂期の作品の一つだといえます。
さて、その完成した協奏曲ですが、小さな協奏曲どころか、4楽章制をとった非常に規模の大きな作品ででした。
また、ピアノの技巧的にも古今の数ある協奏曲の中でも最も難しいものの一つと言えます。ただし、その難しさというのが、ピアノの名人芸を披露するための難しさではなくて、交響曲かと思うほどの堂々たる管弦楽と五分に渡り合っていかなければならない点に難しさがあります。いわゆる名人芸的なテクニックだけではなくて、何よりもパワーとスタミナを要求される作品です。
そのためか、女性のピアニストでこの作品を取り上げる人はほとんどいないようです。また、ブラームスの作品にはどちらかと言えば冷淡だったリストがこの作品に関してだけは楽譜を丁重に所望したと伝えられていますが、さもありなん!です。
それから、この作品で興味深いのは最終楽章にジプシー風の音楽が採用されている点です。
何故かブラームスはジプシーの音楽がお好みだったようで、「カルメン」の楽譜も入手して研究をしていたそうです。この最終楽章にはジプシー音楽とカルメンの大きな影響があると言われています。
ヤコフ・ザーク・・・偉大なる幻の名ピアニスト
恥ずかしながら、ユング君はヤコフ・ザークというピアニストを全く知りませんでした。この録音を聞くときも、メインはあくまでも若き日のザンデルリングを聞くことだったのですが、ピアニストが「ヤコフ・ザーク」という全く「無名」のピアニストなので、いまいち気が乗らないなぁ・・・!などと思いながらプレーヤーにセットしたのです。・・・うーん、知らないと言うのは怖い(^^;
しかし、最初の一音が出たとたんに「おや!!」と思いました。冴えたタッチと深々とした響きがけっこう魅力的です。さらに聞き進んでいくと、実に音楽の見通しがいいのに驚かされます。何せ難曲として有名なこの作品ですから、凡庸なピアニストの手に掛かると譜面を追うのに精一杯なのか、何ともいえずとりとめのない雰囲気が漂うのですが、この録音にはその様な曖昧さは欠片もありません。とにかく明晰でありながらも、次第に次第にその底から熱いものがわき上がってくるような演奏です。
聞き終わってみて、誰なんだこの「Jacob Zak」は?と思いつつ検索してみると、「ヤコフ・ザーク」と読むらしいことが分かり、さらに調べてみると、第3回のショパン・コンクールで優勝したこと、ロシア・ピアニズムの大親分であるネイガウスの高弟であることなどが分かりました。
とにかく、とんでもない完全主義者であり、それ故に残された録音がほとんど存在ししない幻のピアニストらしいのです。
しかし、その実力の一端はこの録音からも垣間見ることが出来るのですが、ロシアの音楽家仲間からは終生深い尊敬を受けていた偉大なピアニストだそうです。
サポートするザンデルリングとレニングラードフィルもほぼ完璧といえる演奏しています。幻のピアニスト「ヤコフ・ザーク」を知る上で貴重な録音だといえます。
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