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プッチーニ:ボエーム

S:レナータ・テバルディ アルベルト・エレーデ指揮  ローマ聖チェチーリア音楽院 ギューデン・プランデッリ他 1951年録音

Puccini:Boheme [Act1]

Puccini:Boheme [Act2]

Puccini:Boheme [Act3]

Puccini:Boheme [Act4]


素晴らしき青春群像

プッチーニの作曲したオペラの中では「蝶々夫人」「トスカ」と並んで3大オペラと呼ばれています。オペラというのは一般的に2幕、もしくは3幕で構成されているのが一般的なのですが、それが物語の基本ともいうべき「起承転結」にあてはめるとあまり上手くないことが多いようです。
このボエームも、当初は現行の第1幕に相当する部分が台本にはなかったのですが、プッチーニの意志もあってその後「第1幕」に相当する部分が付け加えられて現在の4幕構成となりました。そして、結果としてはこの追加された第1幕が物語の「起」としての役割を上手く果たしていて、夢と野望に燃えた若き芸術家たちの肖像を鮮やかに描き出すとともに、ミミとロドルフォとの出会いもより印象的なものにしています。

この曲のタイトルの「ラ・ボエーム」というのは、「La(定冠詞)+Boheme(ボヘミアン的生活)」です。しかし、貧しくても芸術家としてそれなりの評価を受けるようになった若者たちは自分たちのことを「ボヘミアン」とは呼ばず「ボエーム」と称していました。
このオペラは、貧乏な若者たちが主人公の青春群像モノ」であり、そこには、若い時代に貧乏なボヘミアン的な生活をしていたプッチーニ自身の体験が反映しているといわれています。

この作品の最大の魅力は、台本が非常によくできていて、「泣ける」ということにつきます。そして、ヴェリズモ・オペラの形式を持ちながらもイタリア・オペラらしい甘さと叙情性にあふれていることです。

★登場人物
主人公は、詩人:ロドルフォ(テノール)とお針子のミミ(ソプラノ)のペア。
もう一組のペアが画家:マルチェルロ(バリトン)とムゼッタ(ソプラノ)。
彼らの仲間として、哲学者:コルリーネ(バス)、音楽家:ショナール(バリトン)。
その他、家主:ベノア(バス)、ムゼッタのパトロン:アルチンドーロ(バス)、おもちゃ商人:パルピニョール(テノール)、群集役の合唱、児童合唱が登場します。

★第1幕
パリの貧乏な屋根裏の下宿が舞台で、季節はクリスマス・イブです。
冷え込んだ部屋の中でロドルフォとマルチェロが仕事をしているのですがいっこうにはかどりません。やがて、寒さに耐えかねてロドルフォはやけくそで自分の書いた原稿を暖房の代わり燃やしはじめます。そこへ哲学者のコルリーネも入ってきて3人は原稿を次々と火の中に投げ入れます。このあたりの掛け合いは、貧しくても夢と希望に満ちた若者の生き生きとした生活が見事に描き出されていて実に見事なものです。

続いて、4人目のボエーム、音楽家ショナールが登場します。彼は4人の中では一番書き込みが少なく特徴に乏しい人物なのですが、3日間働いてお金と食べ物を持ってきたことによってこのオペラの中で唯一脚光をあびます。彼は、自分の手柄話を一生懸命しようとするのですが、久しぶりに食べ物にありついた三人は全く聞く耳を持ちません。あきらめたショナールは、この食べ物は明日にとっておいて、今日はクリスマス・イブなので外に行こうと誘います。
ところが、乾杯しようとしたその時に家主のベノアが家賃の督促に来ます。彼らは家主に金貨を見せて安心させ、女の話でいい気にさせて、ベノアが好みの女の話にうつつを抜かしたとたんに「モラルに反する」とうまくおどして追い出してしまいます。
この場面は、プッチーニの若い頃の体験が下敷きになっているといわれています。
そして、彼らはショナールの提案通りにカルチェ・ラタンのカフェ「モニュス」に出かけていくのですが、ロドルフォだけがもう少し原稿を書きたいということで下宿に残ります。

ここで、今までの快活な音楽が一転して静かで叙情的なものかわります。
ロドルフォだけが残った部屋に、若い女性が「ローソクが消えたので」といって火をもらいに来ます。これがミミです。ミミはロウソクの火をもらうといったんドアの外に出るのですが、鍵を落としてしまったことに気づいて再び部屋の中へと戻ってきます。
ここから、部屋の中でミミの落とした鍵を探すシーンになります。ミミに一目ぼれしたロドルフォがわざとロウソクを消し真っ暗な部屋の中で暗さに紛れてミミの手にふれます。そして、ミミの手を取って歌い始めるのがテノールの有名なアリア「冷たい手を(Che gelida manina)」です。
ここはテノールにとっては最大の聞かせどころで、最後に「ハイC」という高い音が出て来ます。昔は、これが難しいということで、鍵を探す場面あたりから半音下げて歌われることも多かったのですが、最近ではそんな恥ずかしいことをするテノールはほとんどいないようです。

これに答えて歌われるのが、これもまた有名なソプラノのアリア「私の名はミミ(Mi chiamano Mimi)」です。ソプラノのアリア集などには必ずと言っていいほどに収録されるほどの人気アリアです。
この後は、2人の愛の二重唱「おお、優しい乙女よ」となります。ゆったりとしたテンポで歌われるこのアリアはごく短いものですが、二人の愛を確かめ合う情熱的な音楽となっています。そして、最後の「amor!」ではソプラノの「ハイC」にあわせてテノールも原典にはない「ハイC」のユニゾンで歌うのが一般的になっています。

★第2幕
群衆であふれ変えるカフェ・モミュスを描くプッチーニの素晴らしさは特筆に値します。物売りや学生、若い恋人たちが思い思いの歌を歌いながら、それらが一つの歌として完成しています。
カフェ・モミュスに合流したロドルフォは仲間にミミを紹介し、仲間達も皮肉を込めて応対します。
やがて、群衆のざわめきが伝わってくると美しく着飾ったムゼッタの登場です。
マゼッタは、かつてはマルチェロの愛人だったのですが、今は大金持ちの老人アルチンドーロをパトロンとしています。しかし、マルチェロは未だにムゼッタのことを忘れられず、ムゼッタも心の底ではマルチェロに思いを寄せています。とはいえ、マルチェロは意地を張ってわざとムゼッタのことを知らんぷりをします。

ここで、ムゼッタがマルチェロの気を引こうとして歌うのが有名なアリア「私が町を歩く時(通称:ムゼッタのワルツ)」です。ゆったりとしたテンポで歌い始められるこのアリア・アンサンブルは、合間に他の人々の声がさしはさまれ、最後はボエームたちとアルチンドロによる六重唱となります。

彼女を無視する振りをしながら気にかけるマルチェルロ。彼の気を引こうとするムゼッタのやりとりがあった後、「私が町を歩く時(通称:ムゼッタのワルツ)」という有名なアリア・アンサンブルになります。ゆっくりとしたワルツで親しみやすく歌われます。ボヘミアンたちとアルチンドーロによる六重唱となります。
やがてマルチェルロが未だに自分のことを愛していることを確信したムゼッタは、突如悲鳴を上げて「足が痛む」と言い出しアルチンドーロを靴屋に走らせてこの場から追い出します。

そして、アルチンドーロが見えなくなると、ムゼッタとマルチェルロは抱き合って仲直りが成立です。折しも軍楽隊の行進が始まって、ボエームたちはムゼッタを肩車し、勘定書をアルチンドーロに押しつけて人々の歓声の中をカフェを去っていきます。

★第3幕
舞台はパリ郊外のアンフェール門(地獄門)の前で、近くにはマルチェルロとムゼッタが雇われている居酒屋があります。第2幕とは雰囲気ががらりと変わってうらさびしい雰囲気です。
この幕開けの場面は5度音程で動く下降音型が雪の降る情景を鮮やかに描き出していて実に見事です。しかし、初演の時はそのあまりの独創的なオケの扱いになかなか理解が得られなかった場面でもあります。

しばらくすると、ショールに身を包んだミミが咳き込みながらマルチェルロに相談するためにやってきます。
ミミは、ロドルフォが最近いらいらして怒り、冷たく当たり、二人の愛情は終わってしまったのだとうち明けます。
その時、店からロドルフォが出てくる気配を感じてミミは陰に隠れます。
ロドルフォは、ミミと別れたいとマルチェルロに言います。この場面は木陰にいるミミとの三重唱となって進んでいきます。
ロドルフォはミミが重病であることを告げ、貧乏暮らしの自分ではそれをどうもしてやれないこと、そして、今なら金持ちの他の男をパトロンにした方が彼女のためになるのでわざと辛く当たっていることを告白します。
それを木陰で聞いていたミミは思わず泣き声をたててしまい、全て聞かれたことを知ったロドルフォはミミに別れを告げる決意をします。

ここから有名なアリアが二つ続きます。
一つ目はロドルフォの真意を知ったミミが淡々と別れを告げる「喜んでもとのところへ」です。抑えた表現で淡々と歌われながら、最後の一歩手前で一気に感情が爆発し、そして最後に「恨みっこなしで別れましょう」とあきらめたようにアリアが終わります。この感情表現の素晴らしさにプッチーニの偉大な才能が遺憾なく発揮されています。
続いて、ロドルフォも別れることを承知すると第3幕のフィナーレ「さようなら、甘い目覚めよ」に入ります。ミミとロドルフォは楽しかった生活をなつかしみ、そこへ居酒屋の方からはマルチェルロとムゼッタの口論の声が加わります。
別れを惜しむペアと口論をするペアという対照的な二つの音楽が完璧なまでに一つにまとめ上げられています。やがて、マルチェルロとムゼッタは喧嘩をしながらそのまま退場してしまい、後に残ったミミとロドルフォも花の咲くころに別れることに決めて舞台の外に去ります。

★第4幕
第1幕と同じ屋根裏部屋が舞台で、第1幕と同様ボヘミアンの主題で幕が開きます。しかし、仕事も手に着かない二人は「もう帰らないミミ」と歌い始め、それぞれがミミとムゼッタへの思いを歌います。やがて、コルリーネとショナールが登場すると4人はいつものようにはしゃぎはじめて第1幕と同じように賑やかな風情となります。

しかし、この賑やかな音楽もムゼッタが現れると一変して重病のミミを連れて来たと告げます。
自分の最期を悟ったミミが、ロドルフォのところで死にたいということで子爵の世話から抜けだしできたのだとムゼッタは4人に話します。
ここで歌われるのが、コルリーネのアリア、「古外套よさらば」です。自分の外套を売って金に換えようと歌うこのアリアは短いものですが、哲学者コルリーネの温かい人柄をうかがわせる歌となっています。そして、コルリーネはショナールたちをうながして、愛し合う2人を残して静かに部屋を出ます。

ミミとロドルフォは2人きりになると「みんないってしまったの」とミミの最後の歌が始まります。このアリアは第1幕の出会いの場面で歌われたアリアが効果的に使われて回想的に展開されていきます。しかし、ミミは話なかばで急に咳き込み、驚いた皆が戻って来ます。やがて、ミミは眠りに落ちるのですが、そこで「冷たい手を」の旋律が緩やかに流れ、それが突然にチェロとコントラバスが調の違う和音をピツィカートで断ち切ることによってミミの死を暗示します。

そのことに気づかなかったロドルフォは、やがて皆の不自然な様子ミミの死を感じ取ります。耐えかねたマルチェルロが元気を出せと声を掛けると、オケが「みんな行ってしまったの」のメロディを演奏し、ロドルフォはミミに駆けよりミミの名を何度もと繰り返し叫び泣き崩れます。


伝統的なミミの姿を描き出したテバルディ

今となってはこのようなテバルディのスタイルは違和感を感じるかもしれません。ミミというはかなく、幸薄い女性にしてはあまりにも声が偉大すぎるからです。
現在の好みは明らかに60年代以降にミレッラ・フレーニが作り出したミミです。そのことにユング君も異存はありません。(フレー二こそは最高のミミ歌いです。)

しかし、プッチーニは初演の時に、アンサンブル重視のために名の通ったスター歌手を使用しないとした意見にはっきりと反対して、偉大な声による饗宴を望んだという話が伝わっています。ですから、フレー二が新しいミミの姿を作り出すまでは、ミミは「偉大な声」で歌われるのが普通であり、その頂点に君臨したのがテバルディであり、カラスだったわけです。
テバルディはステレオ録音の時代になってから、シエピ、バスティアーニなどの超一流で脇を固めた「偉大なボエーム」を残しています。それこそは疑いもなく伝統的なボエーム演奏の頂点をなすものでした。
それと比べれば、この20代のモノラル録音はそこまでの「声の饗宴」は望めませんが、若きテバルディの瑞々しい歌が聴けるということでは貴重な録音となっています。

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