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バッハ:オルガンのためのトリオ・ソナタ第6番 BWV530

オルガン:ヴァルヒャ 1947年録音




息子のための練習曲

数あるバッハのオルガン作品の中では最もマイナーな部類に属する作品です。音楽の友社からでている「作曲家別 名曲解説ライブラリー:J.S.バッハ」にも解説は収録されていませんでした。この辺の取捨選択の基準がよく分からないのですが、まあそれだけマイナーな作品と言うことでしょう。でも、6曲もまとめてあるジャンルなんだから少しぐらいの言及はあっても良いだろう!と思うのですが、やはりマイナー!!と言うことなのでしょう。

トリオソナタというのはイタリアにおいて器楽曲が発展するにつれて生み出された形式で、もともとはチェロとチェンバロによる通奏低音と2つの旋律楽器によって演奏されるのが一般的でした。それをバッハはチェンバロと何らかの旋律楽器、もしくはオルガニストが一人で演奏するタイプのトリオソナタを作り上げました。
このオルガニスト一人で演奏するタイプのものがここで紹介している作品で、右手・左手・足の三つをフルに使って三声部を演奏していきます。
確かにトッカータやフーガの作品のような派手さもなければ名人芸の見せ場も少ない作品なのですが、渋くて落ち着きのある音楽はいかにも「大人の音楽」と思うのですがいかがなものでしょうか。

それはさておき、この作品がいつ頃創作されたのか、調べてみたのですがよく分かりません。リストラの嵐が吹き荒れるケーテンの宮廷をおさらばして、ライプティッヒのカントールにおさまった時代であることは確かなのですが、1725年から29年のあたりというぐらいしか分かっていないようです。
ただし、創作の動機はハッキリしていて息子を偉大なオルガニストに育てるための練習曲として作られたことは間違いないようです。しかし、バッハも息子のために一からこの作品を作ったのではなく、もとからあったトリオソナタ形式の室内楽作品をオルガン要に編曲したのではないかと言われています。
ですから、今日ではフルートやオーボエなどの旋律楽器と通奏低音の組み合わせでも演奏されることの多い作品です。

忘れられつつありますが・・・


ヴァルヒャといえば一時はバッハ演奏のスタンダードのように言われた時期もあったのですが、最近は少しずつ忘れられつつある存在となっているようです。
確かに幼くして盲目となり、大変な努力で偉大な音楽家となったという経歴は、日本のような国ではそれだけでみんな恐れ入ってしまうところがありました。さらに、歪なロマンティシズムに歪曲されていたバッハ演奏を厳格とも言える即物主義で修正したという業績おおいに評価されてよいものがあります。

しかし、今になってみると「厳格」さと「「つまらなさ」は紙一重だと思わされます。
とりわけ年を重ねるとバッハを厳格さ一本槍の音楽として把握することに抵抗を覚えるようになってきて、そうなるとこのヴァルヒャのような演奏は今ひとつ物足りなさを感じてしまうことは事実です。とりわけ、最近になって多くのすぐれたオルガニストが輩出してきて素晴らしい演奏を聞かせてくれるようになってくるとその思いはいっそう強くなります。
ただし、このトリオソナタのような渋い作品だと、そのけれん味のなさがマイナスにはなっていないように思います。もしかしたら、彼のが残したバッハの演奏の中でこういうのが意外と最後まで残るのかもしれません。

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