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ジョゼフ・カントルーブ:オーヴェルニュの歌

レオポルド・ストコフスキー指揮 (S)アンナ・モッフォ RCA Victor Symphony Orchestra 1964年4月10日~11日録音



Canteloube:Songs Of The Auvergne [1.L'Antoueno (Vol.2, No.5)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [2.Pastourelle(Vol.2, No.1)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [3.L'aio De Rotso(Vol.1, Np.3a)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [4.Bailero(Vol.1, No.2)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [5.Passo Pel Prat(Vpl.3, No.2)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [6.Malurous Qu'o Uno Fenno(Vol.3, No.5)]

Canteloube:Songs Of The Auvergne [7.Brezairola(Vol.3, No.3)]


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「オーヴェルニュの歌」とほぼイコールで語られることが多い作曲家です

ふと、フランスの作曲家「ジョゼフ・カントルーブ」の著作権が切れているのではないかとひらめきました。

調べてみると、カントルーブは1957年に亡くなっています。
ですから、普通ならば死後50年という事で2008年にパブリック・ドメインになるのですが、いわゆる敗戦国日本へのペナルティとして(そうなんです、多くの人は忘れていたり、気づかないふりをしていますが、今も日本だけが国際的には「敗戦国」扱いを受けているのです)3794日が戦時加算として追加されます。

2007年12月31日からこの3794日を追加すると、2018年5月22日にペナルティ期間が終了すると言うことになります。つまり、1ヶ月ほど前にめでたくパブリック・ドメインの仲間入りをしたと言うことです。
ただし、この戦時加算には色々なイレギュラーもあるので念のためにJASRACのデータベースで確認してみたのですが、そこでも間違いなくパブリック・ドメインになっていることが確認できました。

「ジョゼフ・カントルーブ」と言えば、それはもう「オーヴェルニュの歌」とほぼイコールで語られることが多い作曲家です。
この「オーヴェルニュの歌」は、カントルーブが生まれ育ったオーヴェルニュ地方の民謡を管弦楽伴奏歌曲に編集したものです。そう言う意味では、ハンガリーのコダーイやバルトークのように民謡採集に力を注いだ作曲家の流れに位置するように見えるのですが、その音楽を聞いてみれば雰囲気は全く異なります。

バルトークやコダーイは採集した民謡をそのままの形で使うのではなく、そこに込められた語法のようなものをスタンダードな西洋音楽の中に取り込むことで新しい音楽の可能性を切り開いていきました。
それと比べれば、カントルーブの場合は採集したオーベルニュ地方の民謡をほぼそのままの形で使い、そこにスタンダードな西洋音楽の管弦楽伴奏という華やかな衣装をまとわせています。

オーヴェルニュ地方の民謡は貧しい羊飼いや農民たちの生活に根ざさしたものであり、シンプルな楽器による伴奏がつくだけのものでした。カントルーブはその様な民謡に、師匠であるダンディから学んだ華やかなオーケストレーションを施したのです。
おそらく、19世紀の音楽と言われても疑問を感じないような音楽なのですが、おかしな新しさを追求したものよりは、結局はこういう音楽の方が多くの人に聴き継がれるのです。
もちろん、バルトークやコダーイの音楽はその様な「おかしな新しさ」とは全く異なる音楽ですから、誤解の起きないように付け加えておきます。

なお、このオーベルニュの歌は1923年から1930年にかけて第1集から第5集まで作曲されました。


第1集

  1. 野原の羊飼いのおとめ “La pastoura als camps (La bergere aux champs)”

  2. バイレロ (オート=オーヴェルニュの羊飼いの唄)“Bailero (Chant de bergers de Haute-Auvergne)”

  3. 3つのブーレ “Trois bourrees”


    1. 泉の水 “L'aio de rotso (L'eau de source)”

    2. どこに羊を放そうか “Ound'onoren gorda ? (Ou irons-nous garder?)”

    3. あちらのリムーザンに “Obal, din lou limouzi (La-bas dans le limousin)”




第2集

  1. 羊飼いのおとめ “Pastourelle”

  2. アントゥエノ “L'Antoueno (L'Antoine)”

  3. 羊飼いのおとめと若旦那 “La pastrouletta e lou chibalie (La bergere et le cavalier)”

  4. 捨てられた女 “La delaissado (La delaissee)”

  5. 2つのブーレ “Deux bourrees”


    1. わたしには恋人がいない “N'ai pas ieu de mio (Je n'ai pas d'amie)”

    2. うずら “Lo calhe (La caille)”




第3集

  1. 紡ぎ女 “Lo fiolaire (La fileuse)”

  2. 草原を通っておいで “Passo pel prat (Viens par le pre)”

  3. オーヴェルニュ地方の典型的なグランド。

  4. せむし “Lou boussu (Le bossu)”

  5. 子守唄 “Brezairola (Berceuse)”

  6. 女房持ちは可哀そう “Malurous qu'o uno fenno”



第4集

  1. ミラベル橋のほとりで “Jou l'Pount d'o Mirabel (Au Pont de Mirabel)”

  2. オイ、アヤイ! “Oi, ayai”

  3. 子供をあやす歌 “Pour l'enfant”

  4. チュー、チュー “Chut, chut”

  5. 牧歌 “Pastorale”

  6. カッコウ “Lou coucut”



第5集

  1. むこうの谷間に “Obal, din lo coumbelo (Au loin, la-bas dans la vallee)”

  2. わたしが小さかった頃 “Quan z'eyro petitoune (Lorsque j'etais petite)”

  3. あっちの岩山の上で “La-haut, sur le rocher”

  4. おお、ロバにまぐさをおやり “He! beyla-z-y dau fe! (He! donne-lui du foin!)”

  5. 羊飼い娘よ、もしおまえが愛してくれたら “Postouro, se tu m'aymo (Bergere si tu m'aimes)”

  6. お行き、犬よ、お行き “Te, l'co te (Va, l'chien, va!)”

  7. 一人のきれいな羊飼い娘 “Uno jionto postouro (Une jolie bergere)”

  8. みんながよく言ったもの “Lou diziou be (On dirait bien)”




美貌のソプラノ「アンナ・モッフォ」と怪人「ストコフスキー」

カントルーブの著作権が消失したことに気づいて、それでは演奏の隣接権が切れている音源はないものかと探し回って見つけ出してきたのがこの一枚です。
残念ながら抜粋盤ですが、美貌のソプラノとして一世を風靡したアンナ・モッフォ(Anna Moffo)と怪人指揮者ストコフスキーとの競演盤です。

アンナ・モッフォは高校卒業の時にハリウッドからスカウトされたと言うほどの美貌だったのですが、なんとその時には修道女になる決心をしていたためにそれを断ったという経歴を持っています。
普通ならそのまま修道女になっていたかも知れないのですが、奨学金を得ることができてカーティス音楽学校に進学し、さらには1955年にフルブライト奨学金を獲得してローマの聖チェチーリア音楽院に留学します。

モッフォはイタリア系移民の出身だったためにネイティブのイタリア人と変わらないほどにイタリア語を話せたそうです。そして、その事が功を奏したと思われるのですが、留学したその年に早くもイタリアで歌手としてのデビューを果たします。
そして、1957年にはアメリカに帰国して華々しい活躍をはじめます。

さらには、ハリウッド映画にも出演するようにもなり、女優としても名声も獲得していきました。
ただし、歌手としての衰えは早かったようで、とりわけ高音が出にくくなることでメゾ・ソプラノとしての活動をはじめたりもするのですが、1974年にRCAの取締役会長ロバート・サーノフと再婚したこともあってか40代半ばで歌手活動からは引退してしまいます。
その意味で、この30代前半に残した「オーヴェルニュの歌」は短かった彼女の全盛期を記録した録音だと言えます。

また、いつもはやりたい放題のデフォルメが持ち味(^^;のストコフスキーなのですが、ここでは実に大人しく、しかし実に美しく伴奏をつけています。
まさに、美しき淑女をエスコートする紳士のようです。

やはり、男はいくつになっても美女には弱いという事なのでしょう。
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