第2楽章:Largo e mesto
ベートーベンはピアノソナタの緩徐楽章で「Largo」を使ったのはこれが最初にして最後です。アルベートーベン研究家は、ベートーベンはこの音楽でLargoの良い部分を搾り取った」と表現したそうです。
メニューヒンはピアノを「文学的な楽器」だと表現していました。確かに、この音楽を聴くと、ピアノは悲しみのストーリーを物語っています。そして、物語は中間部の特徴な旋律によってむせびなきへと変わり、言葉は詩へと昇華します。
おそらく、若き時代という但し書き抜きで「最も優れた音楽の一つ」と言い切れるでしょう。
第3楽章:Menuetto e Trio-Allegro
悲しみの表情は、ここで一転して優しい叙情へと様変わりします。こういう感情の激しい転換はベートーベンの特長としてこの後も引き継がれていく特徴です。
第4楽章:Rondo-Allegro
作品10の3曲の中では、このニ長調ソナタだけが4楽章構成になっています。当時の常識としてはこれが基本形であり、ハ短調ソナタはメヌエット楽章を欠き、ヘ長調ソナタでは緩徐楽章を欠いていると感じられたようです。その意味では、4つの楽章が揃ったこのソナタが最も正統派で演奏効果も高い音楽と受け取られたようです。
こういう4楽章構成では、前の3楽章を引き受けてまとめをつける終楽章にはロンド形式が用いられるのが一般的でした。ですから、このニ長調のソナタでもそのお約束通りにロンド形式が採用されています。しかし、そのロンド形式はこれに先だとソナタのロンド形式と較べるとはるかに複雑な構造を持っています。
ロンド形式とは言うまでもなく主たる旋律が異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される形式です。最もシンプルで古典的なのは「A(メインの旋律) - B - A - C - A - D - A ...」みたいな感じですね。
しかし、この楽章ではロンド主題は帰ってくるたびに変奏される事で実に複雑な音楽になっています。また、曲の最後も音楽が少しずつ蒸発して消えていくような雰囲気を持っているので、演奏する側にとってはなかなかに難しい音楽だと言えます。
リリ・ブーランジェ:ピエ・イエズ(Boulanger:Pie Jesu)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 1958年日録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Michel Senechal Recorded on 1958)
リリ・ブーランジェ:古い仏教の祈り(Boulanger:Vieille Priere Bouddhique)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (T)レイモンド・アマデ 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Alain Fauqueur Recorded on 1958)