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リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34


キリル・コンドラシン指揮 RCA Victor Symphony Orchestra 1958年10月30日録音


古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つ

もともとはヴァイオリンのコンチェルト風の音楽として着想された作品ですが、最終的にはヴァイオリン独奏をふんだんに盛り込んだ輝かしいオーケストラ曲として完成されました。構成上は5楽章からなるんですが、連続して演奏されるために単一の管弦楽曲のように聞こえます。ただ、それぞれの楽章はホセ・インセンガなる人の手になるスペイン民謡集から主題が借用されていて(手を加えることもなく、そっくりそのまま!!)、その主題をコルサコフが自由に展開して仕上げる形をとっていますので、5楽章というのはそれなりに意味を持っていると言えます。


  1. 第1楽章:アルポラーダ(朝のセレナード)::スペインの輝かしい朝を思わせる派手な音楽です。

  2. 第2楽章:変奏曲(夕べの踊り)::第1楽章とは対照的な夕べの穏やかな雰囲気がただよう音楽です。

  3. 第3楽章:アルボラーダ::第1楽章と同じ主題ですが、半音高い変ロ長調で演奏され、オーケストレーションも変えられています。(ヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっている・・・等)

  4. 第4楽章:ジプシーの歌::小太鼓の連打にヴァイオリンの技巧的な独奏とジプシー情緒満点の音楽です。

  5. 第5楽章:ファンダンゴ::カスタネットやタンブリンの打楽器のリズムに乗って情熱的な踊りが展開されます。フィナーレはまさに血管ブチ切れの迫力です。



おそらく、古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つでしょう。この曲の初演に当たって、練習中の楽団員からたびたび拍手がわき起こってなかなか練習が進まなかったというエピソードも残っているほどです。
チャイコフスキーもこの作品を取り上げて「作曲者自身が現代一流の音楽家であると自認して良いほどの素晴らしい管弦楽法を見せる」と絶賛しています。

こういう作品を前にすると「精神性云々・・・」という言葉は虚しく聞こえるほどです。クラシック音楽を聞く楽しみの一つがこういう作品にもあることをマニアックなクラシック音楽ファンも確認する必要があるでしょう。

コンドラシン訪米時のRCA録音


コンドラシンの名前が西側に知られるようになったのは、クライバーンが第1回チャイコフスキー・コンクールで優勝したときの伴奏指揮者だったからです。コンクールの伴奏指揮者ほどつまらぬ仕事はないと思うのですが、世の中与えられた仕事を真面目にやっていると思わぬ幸運がほほ笑むこともあるという「一例」でしょうか。

クライバーンがその優勝によって一躍アメリカの国民的ヒーローになった話は今さら繰り返す必要もないでしょう。そして、レコード会社はヒーローとなったクライバーンを黙って見過ごすはずもなく、次々と録音のオファーを申し出ます。
これもまた当然と言えば当然のことです。
ところが、ここでコンドラシンに幸運が訪れます。

その録音の指揮者にクライバーンはコンドラシンを希望したのです。

チャイコフスキー・コンクールは、東西冷戦下で、ソ連が国家の威信をかけて開催したコンクールでした。それは政治的にはかなり微妙な立ち位置にあったはずなのですが、それでもコンドラシンはこの若いアメリカ人のために誠心誠意、伴奏に務めたのです。
そのコンドラシンの姿勢にクライバーンもまた音楽に寄せる誠意を強く感じていたのでしょう。

そして、政治的にも雪解けムードが漂う時期であったたためにコンドラシンの訪米は実現し、チャイコフスキーやラフマニノフの協奏曲の録音が行われたわけです。
しかし、レコード会社にしてみれば、西側でも名が知られるようになったコンドラシンをそれだけでかえすのは勿体ないと思ったのか、10月29日から30日にかけてセッションを組んでロシア物を録音しました。

10月29日録音

  1. ハチャトゥリアン:組曲「仮面舞踏会」

  2. カバレフスキー:組曲「道化師」 作品26


10月30日録音

  1. リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 作品34

  2. チャイコフスキー:イタリア奇想曲 作品45



しかし、さらに調べてみるとこの録音を担当したのは「Lewis Layton(Engineer)・Richard Mohr(Producer)」という黄金コンビなのです。
また、スペイン奇想曲のヴァイオリンソロにわざわざ「Oscar Shumsky(オスカー・シュムスキー)」を招いています。普通はこんなところにソリストなどは招かずコンサートマスターが担当するのが普通です。
ですから、クライバーンの伴奏だけで帰すのは勿体ないというレベルではなく、RCAとしてはかなりの本気モードで取り組んだセッションだったことが窺われます。

なお、オーケストラの「RCA Victor Symphony Orchestra」というのは、諸説あるのですがその実体はよく分かっていません。ニューヨークフィルを主体としたオケだったという人(島護氏)もいるのでいろいろ調べてみたのですが、どうしても裏が取れませんでした。
おそらくは、いつものようにニューヨークのオーケストラメンバー(ニューヨークフィル・メトロポリタン歌劇場など)を中心に臨時編成したオケだと思うのですが、詳しいことははっきりしません。
と言うか、こういう覆面オケを使うのは契約上の問題があるからであって、レーベルとしてははっきりしたことが分かっては困るのですから、分からない方が普通なのです。

コンドラシンはその様な臨時編成のオケであるにもかかわらず、実にキビキビと全体を統率して切れ味鋭い音楽を生み出しています。そこには、いわゆる民族性に寄りかかった安易さなどは欠片も存在しません。
また、そう言う切れ味鋭い演奏を見事なまでにすくい取った「Lewis Layton(Engineer)・Richard Mohr(Producer)」の素晴らしさも指摘しておかなければなりません。

RCAは1954年から本格的にステレオ録音に取り組んでいますから、58年と言えばそれなりに勘所はつかめていた時期です。確かに時代の制約もあるので広大な音場表現というわけには生きませんが、切れ味鋭い高解像度の表現はコンドラシンの音楽作りと見事にマッチしています。
ただ、昨今の馬鹿ウマ・オーケストラを聴いている耳には、臨時編成のオケと言うこともあって少し雑かなと思う部分があるのが残念です。

ただし、その馬鹿ウマと思えるオケの技術はマルチ録音による徹底的な編集のたまものであることも事実です。本当にその様な音が現場で出ていたのかは疑問符がつくことが多いのもまた「隠された真実」です。
ここでのコンドラシンの録音はほぼワンポイント録音でしょうから、この録音の響きは紛れもなくそこで実際に鳴り響いていたものです。
それを考えればこれ以上を求めるのは贅沢に過ぎるのでしょう。


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