Home|
モントゥー(Pierre Monteux)|ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73
モントゥー指揮 サンフランシスコ交響楽団 1951年4月4日録音
Brahms:Symphony No.2 in D major Op.73 [1.Allegro non troppo]
Brahms:Symphony No.2 in D major Op.73 [2.Adagio non troppo]
Brahms:Symphony No.2 in D major Op.73 [3.Allegretto grazioso(Quasi Andantino) - Presto ma non assai - Tempo]
Brahms:Symphony No.2 in D major Op.73 [4.Allegro con spirito]
ブラームスの「田園交響曲」

ブラームスが最初の交響曲を作曲するのに20年以上も時間を費やしたのは有名な話ですが、それに続く第2番の交響曲はその一年後、実質的には3ヶ月あまりで完成したと言われています。ブラームスにとってベートーベンの影がいかに大きかったかをこれまた物語るエピソードです。
第2番はブラームスの「田園交響曲」と呼ばれることもあります。それは明るいのびやかな雰囲気がベートーベンの6番を思わせるものがあるかです。
ただ、この作品はこれ単独で聞くとあまり違和感を感じないでのですが、同時代の他の作品と聞き比べるとかなり古めかしい装いをまとっています。この10年後にはマーラーが登場して第1番の交響曲を発表することを考えると、ブラームスの古典派回帰の思いが伝わってきます。
オケの編成を見ても昔ながらの二管編成ですから、マーラーとの隔絶ぶりはハッキリしています。
とは言え、最終楽章の圧倒的なフィナーレを聞くと、ちらりと後期ロマン派の顔がのぞいているように思うのはユング君だけでしょうか。
気迫に精緻さが追いついた時代
モントゥーのことをかつて「プロ中のプロ」と書いたことがありました。
キャリアには恵まれず、客演活動が中心だったのですが、どのオケにいってもその指揮のテクニックだけで楽団員を信服させてしまい、「独裁せずに君臨する」と言われました。
そんなモントゥーにとって、唯一、手兵とも言えるオケだったのがサンフランシスコ交響楽団でした。
どんな経緯で、フランスからサンフランシスコに流れていったのかは分かりませんが、1935年から17年間にわたってモントゥーはこのオケの音楽監督をつとめています。そして、40年代から50年代にかけてRCAレーベルからこのコンビで40枚近いレコードをリリースしています。
ただし、この一連の録音を聞いてみると、これまたどういう経緯で、かくも多くの録音活動が行われたのだろう、と首をかしげざるを得ません。
何故ならば、40年代の録音を聞いてみると、やけに元気はいいもののかなり荒い演奏をしているからです。
もっと、はっきりと言えば、かなり下手くそなのです。
かくもへたくそなオケに対して天下のRCAレーベルが継続的に録音活動オファーしたというのは、ひとえにモントゥーの商品価値が高かったということなのでしょう。
そして、オケに対して「独裁者」的な立場で望むことをよしとしなかったモントゥーは、実に長い時間をかけてゆっくりとこのへたくそなオケを熟成させていきます。
そう、それはまさに「育て上げる」と言うよりは「熟成」といった方がぴったりな感じで、少しずつ少しずつ完成度を上げていっているのです。
世上に名高い、50年録音の「幻想交響曲」の録音は、ホントに下手くそだった地方オケが、ついに世界レベルにまで熟成したことを世に証明しました。
このコンビの一番良いところは、指揮者がオケを一切締め上げていないことから来る前向きな勢いが横溢していることです。
40年代には、その前向きな勢いだけが前に出すぎて演奏の精度が全く追いついていなかったのが、漸くにしてその両者が良い具合にバランスがとれるようになったのです。
そして、50年代に録音された他の作品においても同これとほぼ同様のことが言えます。
40年代の録音の多くは、録音のクオリティのみならず演奏の質においてもモントゥーの名誉にはならないようなものが多いのですが、50年以降のものはほぼ外れはないようです。
調べてみると、モントゥー&サンフランシスコ響による50年代の主な録音は以下の通りです。
- マーラー:『亡き子をしのぶ歌』 1950年2月26日録音
- フランク:交響曲ニ短調 1950年2月27日録音
- ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14 1950年2月27日録音
- ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調Op.93 1950年2月28日録音
- ショーソン:交響曲変ロ長調Op.20 1950年2月28日録音
- ストラヴィンスキー:春の祭典 1951年1月28日録音
- ドビュッシー:管弦楽のための『映像』 1951年4月3日録音
- ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73 1951年4月4日録音
- ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調Op.60 1952年4月7日録音
- シューマン:交響曲第4番ニ短調Op.120 1952年4月7日録音
また、幻想を取り上げたときには、それでもなお「荒いことは荒いです。」とコメントしたのですが、その後、この録音がマイク2本によるワンポイント録音だったことを知り、そのコメントはいささか酷であることに気づきました。
これが後の時代のマルチ録音ならば、そう言う楽器間のバランスの悪さはいかようにも修正が聞くのですが、ワンポイント録音ならば、そこで鳴り響いている楽器のバランスが全てです。録音が終わってから、そのバランスを修正することは不可能です。
さらに、上の録音データを見れば、ほとんど全ての録音が基本的には一発録りだった雰囲気です。
おそらくはコンサートで取り上げた後に、同じ会場で録音したのではないかと思われます。
それらの事を勘定に入れれば、そしてこの時代のオケのレベルを考えれば、かなり精緻な部類に入る演奏だといわねばなりません。
例えば、金管群の弱さなどを感じる部分もあるのですが、それでも、あの下手くそだった地方オケをよくぞここまで熟成させたものだと感心せざるを得ません。そして、不思議なのは、漸くにしてここまで時間をかけて熟成させたオケを54年には手放してしまい、その後はボストン響との関係を深めていったことです。
サンフランシスコ響にしても、モントゥーの後釜は「エンリケ・ホルダ」なる指揮者だったのですから、この「縁切り」はかなりの傷手だったはずです。
やはり不思議な男です。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
2249 Rating: 5.0/10 (205 votes cast)
よせられたコメント
2016-10-24:山形 隆
- いつもTinyCoreメモリー再生で、お世話になっております。
昨日、夜半のピアニッシモというサイトでこのレコードを紹介されている記事を読み、
無性に聞きたくなり、ユングさんのデータを聞かせてもらいました。
私は昔からブラ2が好きで、特にベームの演奏をよく聞きます。しかしユングさんの言われるように、サンフランシスコ響が、じっくり鍛えられたのか、ブラームスの情熱がもろにつたわる素晴らしいものでした。恐るべしモノラル録音!
monoのほうが、熱さが伝わるように感じます。
最近わたしは、TinyCoreをもってしても、LPの音にかなわないと感じ、大阪の中古レコード屋を巡って、ブルックナーをひと通りそろえましたが、どんどん昔の録音へとハマっていきそうです。夜半のピアニッシモさんもおっしゃってましたが、
音の良しあしは、演奏の良さがわかるかどうか、だと改めて思いました。
いい録音を聞かせて頂きありがとうございました。
【最近の更新(10件)】
[2026-03-14]

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番 ハ短調,Op.27-4(Eugene Ysaye:6 Sonatas for Solo Violin, Op.27-4)
(Vn)マイケル・レビン:1955年9月30日録音(Michael Rabin:Recorded on September 17, 1955)
[2026-03-12]

フォーレ:夜想曲第13番 ロ短調 作品119(Faure:Nocturne No.13 in B minor, Op.119)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)
[2026-03-11]

バッハ:前奏曲とフーガ ホ長調 BWV.566(J.S.Bach:Toccata and Fugue in E major, BWV 566)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 10-12, 1961)
[2026-03-08]

ベルワルド:交響曲第4番 変ホ長調 「素朴な交響曲」(Berwald:Symphony No.4 in E-flat major "Naive" )
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年12月録音(Igor Markevitch:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on December, 1955)
[2026-03-05]

ヨーゼフ・マルクス:ヴァイオリンソナタ「春のソナタ」(Joseph Marx:Sonata for Violin and Piano in A major "Spring")
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:(P)オットー・アルフォンス・グレーフ 1954年録音(Vasa Prihoda:(P)Otto Alphonse Greif Recorded on 1954)
[2026-03-03]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年5月録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on May, 1954)
[2026-02-28]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82(Glazunov:Violin Concerto in A minor, Op.82)
(Vn)マイケル・レビン:ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年12月17日録音(Michael Rabin:(Con)Lovro von Matacic The Philharmonia Orchestra Recorded on December 17. 1954)
[2026-02-25]

ハイドン:弦楽四重奏曲第60番 イ長調 Op.55, No.1, Hob.3:60(Haydn:String Quartet No.60 in A Major, Op.55, No.1, Hob.3:60)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1936年11月19日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on November 19, 1936)
[2026-02-22]

ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 第1番 変ホ長調, Op.3(Beethoven:String Trio in E-flat major, Op.3)
パスキエ・トリオ:1950年代録音(Pasquier Trio:Recorded on 1950s)
[2026-02-18]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番へ長調, Op.135(Beethoven:String Quartet No.16 in F major Op.135)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年4月22日,5月11日&6月1日,3日,12日,20日録音(The Hollywood String Quartet:Recorded on April 22, May 11 & June 1, 3, 12, 1957)