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チャイコフスキー:交響曲第5番


フリッチャイ指揮 ベルリンフィル 1949年9月12〜14日録音


何故か今ひとつ評価が低いのですが・・・



チャイコフスキーの後期交響曲というと4・5・6番になるのですが、なぜかこの5番は評価が今ひとつ高くないようです。

 4番が持っているある種の激情と6番が持つ深い憂愁。その中間にたつ5番がどこか「中途半端」というわけでしょうか。それから、この最終楽章を表面的効果に終始した音楽、「虚構に続く虚構。すべては虚構」と一部の識者に評されたことも無視できない影響力を持ったのかもしれません。また、作者自身も自分の指揮による初演のあとに「この作品にはこしらえものの不誠実さがある」と語るなど、どうも風向きがよくありません。
 ただ、作曲者自身の思いとは別に一般的には大変好意的に受け入れられ、その様子を見てチャイコフスキー自身も自信を取り戻したことは事実のようです。

 さてユング君はそれではどう思っているの?と聞かれれば「結構好きな作品です!」と明るく答えてしまいます。チャイコフスキーの「聞かせる技術」はやはり大したものです。確かに最終楽章は金管パートの人には重労働かもしれませんが、聞いている方にとっては実に爽快です。第2楽章のメランコリックな雰囲気も程良くスパイスが利いているし、第3楽章にワルツ形式を持ってきたのも面白い試みです。
 そして第1楽章はソナタ形式の音楽としては実に立派な音楽として響きます。
 確かに4番と比べるとある種の弱さというか、説得力のなさみたいなものも感じますが、同時代の民族主義的的な作曲家たちと比べると、そういう聞かせ上手な点については頭一つ抜けていると言わざるを得ません。
 いかがなものでしょうか?

フリッチャイのチャイコフスキー


 フリッチャイは1963年にわずか43歳で急逝したためあまり広く知られている指揮者ではありません。しかし、シャープなリズム感に裏打ちされたモダンな音楽づくりからスタートして注目をあびたものが、次第に浪漫性を前面に出した雄大な音楽づくりに変わっていくなかでの急逝だったために、今もその早すぎる死を惜しむ声が聞かれます。
 実際ここで聞けるチャイコフスキーもそういう彼の変化を念頭に置いて聞くと興味深いものがあります。
 第1楽章では、まさにセル&クリーブランドのの演奏を彷彿とさせるような実に立派な音楽を聞かせてくれます。ところが第2楽章では途端に歌うことが前面にでてきます。実に丹念にチャイコの憂愁を歌いあげます。この傾向は第4楽章にも顔をのぞかせます。
 形式感が前面にでた部分と浪漫性が前にでた部分が一つの作品の中で奇妙に同居した演奏ですが、その後の彼のたどった道を思うと実に興味深いものがあります。

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