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ベートーベン:ピアノソナタ第30番 ホ長調 作品109

(P)グールド 1956年録音



Beethoven:ピアノソナタ第30番 ホ長調 作品109 「第1楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第30番 ホ長調 作品109 「第2楽章」

Beethoven:ピアノソナタ第30番 ホ長調 作品109 「第3楽章」


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ベートーベン最後の輝き

中期の絶頂期にあとにベートーベンを深刻なスランプが襲ったことは有名な事実です。そのベートーベンが長い雌伏のあとに後期の絶頂期を迎えるのが、この最後の3つのソナタを作曲した時期でした。

この時期にベートーベンは、ピアノ曲ではディアベリ変奏曲、交響曲の分野では第9を、そして声楽を含む巨大な作品である「ミサ・ソレムニス」などを生み出しています。

どの作品も今までの作品群とは一線を画するような正確を持っていますが、それはピアノソナタの分野でも同様です。
後期三大ソナタと言われる「作品109?111」のソナタはいずれも幻想的な雰囲気を持ち、とりわけ変奏曲形式が重要な位置を占めていることが特徴です。

この作品109のソナタでも、作品全体を受けとめるような重みのある変奏曲を第3楽章に持ってきています。ソナタに変奏曲形式を盛り込んだことは今までも何度かありましたが、これほどまでの重みを与えたのはこれが初めてです。
ベートーベン自身が「歌うように、心の底からの感動を持って」と記しているように、実に感動的な音楽となっています。

第1楽章
 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ ホ長調 4分の2拍子 ソナタ形式
第2楽章
 プレスティッシモ ホ短調 8分の6拍子 ソナタ形式
第3楽章
 アンダンテ・モルト・カンタービレ・エド・エスプレッシーヴォ ホ長調 4分の3拍子 変奏曲形式


グールドのベートーベンってこんなに素敵だったんだ!!

ゴルドベルグ変奏曲で衝撃的なデビューを果たした翌年に録音されたのが、このベートーベンの偉大なる後期の3つのソナタです。当然のことながら、「伝統」という垢というか苔というか、そう言う類のものがびっしりとまとわりついた音楽なのですが、そう言う中途半端なものを見事なまでに洗い落としてくれて、さらにピシッと仕立て直して私たちの手元に届けてくれたのがこの録音でした。

1956年の6月の半分ほどを費やして録音されたようなのですが、取り組んだ順番は作品番号とは反対の順番で、32番(作品番号111)のソナタから始められています。

おそらく、グールドは並々ならぬ決意でこの録音に臨んだのだろうと思います。
そうでなければ、この32番のソナタの第1楽章の、このとんでもない表現(速い!)はあり得ません。

当然のことながら、最初は「ギャッ!」と叫びます。
もしも叫ばなかった人がいたら、それはこの録音でこの作品を初めて聞いた人だけでしょう。

一体全体、これは何という演奏でしょうか。
最初は確かに唖然とします。しかし、聞き進んでいくうちに、その早さは決して奇をてらったものではなくて、まさにベートーベン的な音楽の奔流が全てのものを流し去っていくような爽快感に貫かれていくことに気づかされます。
ここでは、どんな細かいパッセージも(そう、装飾音符の一つでさえも)、何一つないがしろにされることはなく、この上もない正確さと丁寧さで音化されています。そして、驚くのは、そう言う奔流の中から何とも言えないファンタスティックな詩情が匂い立ってくることです。

グールドの演奏というと、とかく何か哲学的な蘊蓄で説明をしたがる人がいます。
しかし、この演奏を聴いてみて(グールドのよい聞き手とは言えない私は、恥ずかしながら、この機会のおかげで彼のベートーベンのピアノソナタを初めて聴いたのです)、彼の演奏の素晴らしさを説明するのに、そんな難しい蘊蓄は一切いらないことを確信しました。

簡単に言えば、彼の演奏の特徴は2つです。

1.めっちゃ、ピアノが上手い!!
2.何というファンタスティックな詩情あふれる音楽なんだ!!

これだけです。

これを何と乱暴な、と言われれば確かに乱暴です。
彼と同じほど上手いピアニストは何人かはいます。そして、彼と同じほど雰囲気のある音楽を醸し出すピアニストも他にいないわけではありません。
しかし、彼ほど上手くて詩情あふれる音楽を紡ぎ出せる人となると、・・・リヒテルとか・・・、・・・(^^;、・・・くらいしか思い浮かばなかったりします。(-_~-)

しかし、彼の音楽にはリヒテルなんかとは違う、洗い立てのパリッと感みたいなものがいつも素敵です。そのパリッと感は、きっとカナダというヨーロッパから遠く離れた環境が幸いしているのでしょう。
彼は、それほど苦労しなくても、音楽にまとわりついた苔をふるい落とすことができるのです。

この32番に続く、2つのソナタ、作品番号の110と109はそれほどエキセントリックではありませんが、それでも、どこか(そしてよく言われることですが)シェーンベルグの音楽に結びついていく端緒のようなものを感じさせてくれます。しかし、そんな小難しい理屈を振り回さなくても、この幻想的な音楽に身をひたしていれば、そしてそのファンタジーはヨーロッパ的な湿度から解き放たれた心地よい乾燥のもとでパリッとしているのですから、それだけで聞くものは幸せになれるというものです。

私の中のどこかにあった「グールド=エキセントリック」という誤解をあっさりと流し去ってくれた素晴らしい録音です。
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