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グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16

(P)アラウ ガリエラ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1957年4月19&20日録音



Grieg:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 「第1楽章」

Grieg:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 「第2楽章」

Grieg:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16 「第3楽章」




G! GisでなくG!

 この作品はグリーグが初めて作曲した、北欧的特徴を持った大作です。1867年にソプラノ歌手のニーナと結婚して、翌年には女児アレキサンドラに恵まれるのですが、そのようなグリーグにとってもっとも幸せな時期に生み出された作品でもあります。
 この作品は今日においても、もっともよく演奏されるピアノ協奏曲の一つですが、初演当時からも熱狂的な成功をおさめるとともに、1870年にはグリーグが持参した手稿を初見で演奏したリストによって激賞される(「G! GisでなくG! これが本当の北欧だ!」)という幸せな軌跡をたどった作品でもあります。

 グリーグは晩年にもう一曲、ロ短調の協奏曲を計画しますが、健康状態がその完成を許さなかったために、その代わりのようにこの作品の大幅改訂を行っています。この改訂で楽器編成そのものも変更され、スコアそのものもピアノのパートで100カ所、オーケストレーションで300前後の変更が加えられました。(管野浩和氏の解説の受け売りです・・・^^;)
 現在一般的に演奏される出版譜はこの改訂稿に基づいていますから、私たちがよく耳にする協奏曲と、グリーグを一躍世界的作曲家に押し上げた初稿の協奏曲とではかなり雰囲気が異なるようです。

アラウ、恐るべし!!


ふと気がつくと、アラウによるグリーグの協奏曲がアップされずに放置されているのに気がつきました。おかしいな、と思いつつあらためて聴き直してみて、何故に放置していたのかを思い出しました。
要するに、この演奏と録音が気に入らなかったのです。

ところが、こういう判断というものは難しいもので、駄目出しをしたときから再生システムの趣は随分と変わってしまっているので、あのときは駄目だと思ったこの演奏の印象が随分と違って聞こえます。
まずは、相変わらず変わらないのは、オケのつまらなさです。

驚くべき事に、1957年に録音されたにもかかわらず、何たることか、モノラル録音なのです。そして、この録音によるオケの響きはモノラルの悪いところを全て持っています。もごもごとした響きが真ん中あたりで団子になっていて、さらに演奏の方も覇気がなければ叙情も感じられないという有様です。
ガリエラという人は、そんなに悪い指揮者ではないので、よほど体調が悪かったのか虫の居所が悪かったのでしょうか。

逆に、認識が一新したのはアラウのピアノ素晴らしさです。
何という、冴え冴えとした響きでしょうか。さらに言えば、叙情性だけではない、この作品が内包している深い情念のようなものが聞き手に伝わってきます。
ある方が、「これはなんという深みだろう。叙情的な旋律があっというまに雪のようにつもりにつもった情念の世界に変じるようだった。」と表現していました。(取り上げていたのはこの録音ではなく、60年代のステレオ録音ですが)
上手いことを言うものです。

アラウのピアノというのは、一つ一つの響きに情念がこもっているのではなく、計算しつくして作品を造形していった結果として、作品の奥底に秘められていた情念を浮かび上がらせています。例えば第2楽章冒頭部分のピアニシモの美しさに接すると、そう言う細部の叙情が積み重なって情念へと結晶化していく様が手に取るように見えてきます。まさに、「叙情的な旋律があっというまに雪のようにつもりにつもった情念の世界に変じる」です。

確かに、瞬間瞬間の冴え冴えとした響きも魅力的です。硬質で透明感にあふれた手触りも素晴らしいです。
ですから、瞬間瞬間のそう言う感覚的な喜びにも不足はしません。
しかし、より大きな満足感は作品を聞き終わった後にやってくるという性質の演奏だと思います。
ホントにいい音楽を聞かせてもらったという、あの感覚です。
そして、こういう形で音楽を聞かせるというのは、実は最も困難なことでもあるのです。

そう言う意味では、ホロヴィッツやルービンシュタインに代表されるアメリカ的な演奏とは真逆の世界がここにあります。
アラウ、恐るべし、聴き直してみてホントに良かったです。


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