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ダンディ:フランス山人の歌による交響曲

ミュンシュ指揮 (P)ニコル・アンリオ ボストン交響楽団 1958年3月24日録音



Dindy:フランス山人の歌による交響曲 作品25 「第1楽章」

Dindy:フランス山人の歌による交響曲 作品25 「第2楽章」

Dindy:フランス山人の歌による交響曲 作品25 「第3楽章」


交響曲?ピアノ協奏曲?

ダンディと言えば、シャルル・ボルドらと共同でスコラ・カントルムを創設したことで知られています。スコラ・カントルムは古典主義的で厳格な音楽教育で知られていて、1902年に初演されたドビュッシーのオペラ、「ペレアスとメリザンド」と同時期に初演されたダンディのオペラ「異邦人」をめぐって、ドビュッシー派とスコラ・カントルム派との間に激しい論争が起こったことも有名なエピソードです。

ダンディはワーグナーの「リング」を聞いて感動し熱心なワグネリアンとして音楽家の第一歩をスタートさせますが、後にフランスの国民主義的な作曲へと変容を遂げていきます。その変容の第一歩を記したのが、この「フランス山人の歌による交響曲」です。
ダンディはパリに生まれてパリで育った人物ですが、もとは南仏アルデーシュ地方の貴族の血をひいています。その父祖の地とも言うべきアルデーシュ地方の民謡を採取する中で出会った牧夫の歌を素材として書き上げたのがこの作品です。
その素材とは、第1楽章の冒頭にコールアングレで奏される旋律で、実に伸びやかでのどかな風情がただようメロディです。ダンディはこの主題を核として、師であるフランクの交響曲と同じように循環形式によって全体の統一を図っています。

ダンディは当初この作品を管弦楽とピアノのための幻想曲として着想したようですが、結果としてそれを交響曲にスタイルを変えて1887年の夏に一気に書き上げました。ですから、聞きようによってはピアノ協奏曲の範疇に入れる方が妥当なような気もしますが、もう一歩踏み込んで聞いてみると、ピアノはあくまでもオケの中の一つの楽器として有機的に扱われているような気もします。
ダンディ自身はこの作品に「交響曲第1番」という名前を与えていますので本人としては交響曲として扱われるのが本意だったことは間違いありません。

なお、この作品にはワーグナーからの影響が色濃く残っていると指摘されることが多いのですが、ユング君にはそれよりもブルックナーのような響きがあちこちから聞こえてくるように思うのですが、いかがなものでしょうか?


今もってこの作品のベストかもしれません

ダンディとGoogle先生に聞いてみると、「ダンディ板野ですか?」と聞かれるほどに、今となっては忘れ去られた感の強い作曲家です。そんな、ヴァンサン・ダンディがかろうじて知名度を保っていられるのは、ひとえにこの作品の力によります。
とりわけ、この作品の冒頭部分は素晴らしいです。これほども伸びやかで、心をくつろがせてくれる旋律と響きはなかなか他には思い浮かびません。

そんな伸びやかな音楽にとって、ミュンシュとニコール・アンリオのコンビによる演奏はジャストフィットと言えそうです。
アンリオなるピアニストについては全く知識がないのですが、実に控えめに慎ましくピアノを弾いています。これが、ビッグネームだともっと出しゃばってくるのですが、この作品に関してはこういう控えめなピアノの方が絶対に相応しいです。
そして、肝心のミュンシュの指揮ですが、これまた細部にこだわらない大らかな演奏で、これまたこの作品の雰囲気にピッタリです。
録音に関しても、この時代のものとしては充分に及第点です。
眉間にしわを寄せて聞くような音楽ではありませんから、もしかしたら、今もってこの作品のベストかもしれません。

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