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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61

ジョージ・セル指揮:ウィーン・フィル (Vn)ブロニスワフ・フーベルマン 1934年6月18日~20日録音

Beethoven:ヴァイオリン協奏曲 「第1楽章」

Beethoven:ヴァイオリン協奏曲 「第2楽章」

Beethoven:ヴァイオリン協奏曲 「第3楽章」


忘却の淵からすくい上げられた作品

ベートーベンはこのジャンルの作品をこれ一つしか残しませんでした。しかし、そのたった一つの作品が、中期の傑作の森を代表するする堂々たるコンチェルトであることに感謝したいと思います。

このバイオリン協奏曲は初演当時、かなり冷たい反応と評価を受けています。
「若干の美しさはあるものの時には前後のつながりが全く断ち切られてしまったり、いくつかの平凡な個所を果てしなく繰り返すだけですぐ飽きてしまう。」
「ベートーベンがこのような曲を書き続けるならば、聴衆は音楽会に来て疲れて帰るだけである。」

全く持って糞味噌なけなされかたです。
こう言うのを読むと、「評論家」というものの本質は何百年たっても変わらないものだと感心させられます。
ただし、こういう批評のためかその後この作品はほとんど忘却されてしまい、演奏会で演奏されることもほとんどありませんでした。その様な忘却の淵からこの作品をすくい上げたのが、当時13才であった天才ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムでした。
1844年のイギリスへの演奏旅行でこの作品を取り上げて大成功をおさめ、それがきっかけとなって多くの人にも認められるようになりました。

この曲は初演以来、40年ほどの間に数回しか演奏されなかったと言われています。そして1844年に13歳のヨアヒムがこの曲を演奏してやっと一般に受け入れられるようになりました。

第一楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
第二楽章 ラルゲット
第三楽章 ロンド アレグロ


オープス蔵の復刻技術

最近、「オープス蔵」と言うレーベルから、セル&フーベルマンによる2種類の録音がリリースされました。一つは今ここで紹介しているベートーベンのヴァイオリン協奏曲で、もう一つはラロのスペイン交響曲です。
 この録音は今まで何度もリリースされてきていますから、リリース自体はあまり大きな意味はないのですが、注目すべきはその復刻技術の素晴らしさです。
 オープス蔵はそのSP盤からの復刻技術が素晴らしいと言うことは耳にしていましたが、所詮はSP盤です。どれほど復刻技術が優れていると言っても、もとがSP盤ではたかがしれている、そう思いこんで目のはしには留めておきながら、とりあえずは「パス!」と言うスタンスをとっていました。
 しかし、セルの録音が復刻されるとなると、「まあ一度はお手並み拝見!」と言う感じで注文を出しました。

 そして、手元に届いたCDを早速再生したのですが、正直言って驚嘆しました。所詮はSP盤などといった先ほどの発言を急いで取り消さなければなりません。
 今持ってSP盤が最高と言って、CDどころか、LPさえも否定している人の話を聞いて、何という時代錯誤かと思ったものですが、この復刻CDを聞いてそう言うスタンスをとり続ける人の気持ちが少しは納得できました。
 このCDは、つまらぬノイズリダクションを行っていません。今までリリースされてきた録音と比べてもパチパチというノイズが盛大に入っています。しかし、音楽再生で最も重要な中音域の一番美味しいところが見事にすくい取られています。
 フーベルマンのヴァイオリンがこんなにも艶やかに鳴り響いていたのか、セルの棒のもとでウィーンフィルがこんなにも覇気に満ちた音楽を展開していたのか、などなど驚きの連続でした。

 こういうCDを聞かされると、再生周波数の両端をできる限りフラットにのばしていくことに多大な労力を費やしてきたこの半世紀以上の営みにどういう意味があるのか考え込んでしまいます。

(追記)
 オープス蔵はそのCDに、複製は著作権違反だと書いています。録音については50年が経過すればフリーになりますし、フリーになった音源をもとに復刻したことが新たな演奏行為と認定されるとは思えませんので、納得のいかない記述です。しかし、今後このような素晴らしい復刻CDをリリースしていく上でその様なスタンスが必要だとレーベルが判断するなら、とりあえずがその意向を尊重したいと思います。
 ですから、ここで紹介しているのはオープスとは別の音源によっています。実際のオープス蔵のCDはもっと素晴らしい音質で再生されますので、念のために一言追加しておきます。

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