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ルジェーロ・リッチ(Ruggiero Ricci)|サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
Vn.リッチ ピエロ・ガンバ指揮 ロンドン交響楽団 1959年9月録音
Saint_Sanes:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調 作品28
サラサーテとの合作?

この作品、調べてみるとサン=サーンスがサラサーテのために1863年、28歳の時に作曲した、と書かれているのですね。ところが、さらに調べてみると完成したのが5年後の1868年、さらに初演はそこからさらに4年後の1872年にサラサーテによって行われているのです。
ずいぶん悠長な話ですが、19世紀というのはそれくらいのスピード感だったのでしょうか。
しかし、聞くところによると、この作品はとても技巧的で難しそうに見えるのですが(実際、かなり難しいことは間違いないのですが)、「無理」を強いられることはなく、それなりのテクニックを持ったヴァイオリニストには気持ちよく演奏できる作品らしいです。そして、その「努力」が聞き手にしっかり伝わるという点では、演奏家にとっては「報われる」作品でもあるらしいです。
おそらく着手から完成までに5年の歳月がかかったのは、そう言う演奏上から来る要請をサラサーテが細かくサン=サーンスに伝え、それをサン=サーンスがスコアにしていくという「キャッチボール」に時間がかかったのではないでしょうか。(あくまでも、私の想像ですが・・・)
さて、この作品はタイトルのまんまで、前半の「序奏」と後半の「ロンド」に分かれています。
「序奏」は依頼者のサラサーテに敬意を表してかジプシー風のメランコリックな音楽が切々と歌われます。そして、この「歌」が弦楽器の「全奏」で断ち切られると後半の華やかな「ロンド」に突入します。おそらく、この一粒で二度おいしい構成がこの作品の人気を支えていると思います。
ロンド部分は「カプリチオーソ」と題されているように、まさに気まぐれに、様々な感情が入り乱れ絡み合います。ですから、ソリストによってこのあたりはかなりテンポが伸び縮みするようで、オケにとっては結構大変なようです。しかし、聞き手にとってはソリストがこの部分をどう料理するのか聞き所ではあります。
ハイフェッツのあとにアップするのはいささか意地が悪いでしょうか。
ハイフェッツの名前は偉大でその輝きが失われるにはどれほどの年月を要するのでしょうか。
それと比べると、ルジェーロ・リッチの名前は既に黄昏につつまれているように聞こえます。
ハイフェッツによる歴史的名演とも言うべき録音を既にアップしたあとで、リッチの録音をアップするというのはいささか意地が悪すぎるかもしれません。しかし、この二人の録音を聞き比べてみると、ハイフェッツの「凄味」というものがよく分かります。
もちろん、リッチの録音も決して凡庸なものではありません。もしかしたら、ヴァイオリンの音色はリッチの方が美しいかもしれませんし、テクニックの冴えも悪くはありません。
彼が得意としたサラサーテのツィゴイネルワイゼンなんかはいかにもスタンダードという雰囲気で、この作品の持ついささか大袈裟な雰囲気が上手く表現されています。つまり、サン・サーンスのハバネラやカプリチオーソにしても、どこか落ち着いた雰囲気があって、それが「匕首」を突きつけてくるようなハイフェッツとの演奏と比べると落ち着いて聞くことができるという「美点」にもつながります。
しかし、それだけではやはり悲しいかな、長い年月の間に人々の記憶から消えていってしまうのです。
やはり、忘れらられたらいやだと思えば、聞き手ののど元に「匕首」を突きつけるような演奏をしないとダメだと言うことなのでしょう。
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