Home |
バックハウス(Wilhelm Backhaus) |ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37
ベートーベン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37
(P)バックハウス ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーンフィル 1958年録音
Beethoven:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37 「第1楽章」
Beethoven:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37 「第2楽章」
Beethoven:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37 「第3楽章」
悲愴でもあり情熱的でもあるコンチェルト
この作品の初演はベートーベン自身の手によって1803年に行われましたが、その時のピアノ譜面はほとんど空白だったと言われています。ベートーベン自身にしか分からない記号のようなものがところどころに書き込まれているだけで、かなりの部分を即興で弾きこなしたというエピソードが伝わっています。
偉大な作曲家にはこのような人を驚かすようなエピソードが多くて、その少ない部分が後世の人の作り話であることが多いのですが、この第3番のピアノ協奏曲に関するエピソードはどうやら事実だったようです。
この作品は残された資料から判断すると1797年頃から手を着けられて、1800年にはほぼ完成を見ていたようです。ところが、気に入らない部分があったのか何度も手直しがされて、とうとう初演の時に至っても完成を見なかったためにその様なことになってしまったらしいのです。
結局は、翌年に彼の弟子に当たるリースなる人物がウィーンでピアニストとしてデビューすることになり、そのデビューコンサートのプログラムにこの協奏曲を選んだために、他人にも分かるように譜面を完成させなければいけなくなってようやくにして仕上がることになりました。
ヒラーは手紙の中で「ピアノのパート譜は完全に仕上がっていなかったので、ベートーベンが自分のためにはっきりと分かるように書いてくれた」とうれしそうに記していたそうです。
そんなこんなで、随分な回り道をして仕上がったコンチェルトですが、完成してみると、これは実にもう堂々たるベートーベンならではのダイナミックでかつパセティックな音楽となっています。過去の2作に比べれば、オーケストラははるかに雄弁であり、ピアノもスケールが大きく、そして微妙なニュアンスにも富んだものとなっています。
ただし、作品全体の構成は伝統的なスタイルを維持していますから1番や2番の流れを引き継いだものとなっています。ところが内容的には4番や5番に近いものをもっています。そう言う意味において、この3番のコンチェルトは過渡期の作品であり、ベートーベンが最もベートーベンらしい作品を書いた中期の「傑作の森」の入り口にたたずむ作品だと言えるかもしれません。
mouthpiece of the composer
バックハウスのベートーベンと言えばもっともドイツ的なものとして、その高い精神性が云々されます。そして、その高い「精神性」によって、一部の人は彼のことを神のごとく崇め奉り、また他の人々は同じ事をもって敬して遠ざけるようになってしまいました。
それは、どちらのスタンスをとるにしてもバックハウスにとっては迷惑な話だったでしょう。
バックハウスというピアニストを評してもっとも適切なる言葉は「mouthpiece of the composer」に尽きるのではないでしょうか。
まさに、作曲家の代弁者として歌を歌う人、それがバックハウスの本質だったのではないでしょうか。そして、そこに「高い精神性」を見る人がいても不思議には思いませんが、バックハウス自身にとってはそのような「精神性」云々はどうでもいい話だったはずです。彼にとってもっとも大切だったことは作曲家と心を合わせて、その代理人としてピアノを演奏することだったはずです。
そして、これが大切なことですが、そういうバックハウスのスタンスは数あるピアニストの有り様の一つにしか過ぎないと言うことです。そして、その有り様は、新即物主義という時代の潮流に即したものであって、決して綿々と受け継がれてきたドイツ音楽の伝統に則った絶対的なものではないのです。
と言うか、そういう意味における「ドイツ的」なるものは存在した試しはないのです。
「mouthpiece of the composer」としてのバックハウスと対極に位置するのはホロヴィッツです。
彼は何を演奏しても「mouthpiece of the composer」となることを拒否したピアニストでした。彼が演奏すれば、ショパンであれベートーベンであれ、それは全てホロヴィッツの音楽になりました。そして、当然のことですが、その事をもって芸術としての価値を論じるなどは愚の極みです。
スコアを前にして、何もしないバックハウスも素敵ですが、常に何かをせねば気が済まないホロヴィッツも素敵なのです。
そして、贅沢きわまる現在の聞き手は、その日の気分によって選択できるのです。そんな楽しみに、つまらぬ価値論争を持ち込むことは野暮というものです。
この演奏を評価してください。
よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
1410 Rating: 5.5 /10 (164 votes cast)
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2026-05-06]
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56(Bartok:Romanian Folk Dances, Sz.56)
(P)ジェルジ・シャーンドル:1951年1951年9月12日録音(Gyorgy Sandor: Recorded on September 12, 1951)
[2026-05-04]
ベートーベン:ディッタースドルフのジングシュピール「赤ずきん」からのアリエッタ「昔々おじいさんが」による13の変奏曲 WoO. 66(Beethoven:13 Variations on the arietta Es war einmal ein alter Mann from Dittersdorf's Das rothe Kappchen, WoO 66)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)
[2026-05-02]
リリ・ブーランジェ:詩篇第24篇「地と、そこに満ちるものは、主のもの」(Boulanger:Psaume 24, La terre appartient a l'Eternel)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (Br)ピエール・モレ 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (Br)Pierre Mollet Recorded on 1958)
[2026-04-30]
ハイドン:弦楽四重奏曲第64番 変ホ長調, Op.64, No.6, Hob.3:64(Haydn;String Quartet No.64 in E-flat major, Op.64, No.6 Hob.3:64)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1933年12月11日録音(Pro Arte String Quartet]Recorded on December 11, 1933)
[2026-04-28]
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調, S.124(Liszt:Piano Concerto No.1 in E flat major S.124)
(P)レナード・ペナリオ:ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン交響楽団 1963年3月12日~18日録音(Leonard Pennario:(Con)Rene Leibowit London Symphony Orchestra Recorded on March 12-18, 1963)
[2026-04-26]
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第14番 変イ長調, Op.105(Dvorak:String Quartet No.14 in A-flat major, Op.105)
バリリ四重奏団:1954年録音(Barylli Quartet:Recorded on 1954)
[2026-04-24]
ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調, Hob.III:64(Op.64-6)(Haydn:String Quartet in E-flat major, Hob.III:64)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1950年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1950)
[2026-04-22]
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調, Op.61(Beethoven:Violin Concerto in D major, Op.61)
(Vn)ダヴィド・オイストラフ:アンドレ・クリュイタンス指揮 フランス放送国立管弦楽団 1958年11月8日&10日録音(David Oistrakh:(Con)Andre Cluytens Orchestre national de France Recorded on Novenmber 8&10, 1958)
[2026-04-20]
ルーセル:セレナーデ Op.30(Roussel:Serenade in C major, Op.30)
パスキエ・トリオ:(Fl)ジャン・ピエール・ランパル (Harp)リリー・ラスキーヌ 1955年2月録音(Pasquier Trio:(Fl)Jean-Pierre Rampal (Harp)Lily Laskine Recorded on February, 1955)
[2026-04-18]
ベートーベン:ジュースマイアーの歌劇「スレイマン2世、または3人のサルタン妃」による8つの変奏曲 WoO 76(Beethoven:8 Variations on the Trio Tandeln und Scherzen from Sussmayr's Solimann der Zweite, WoO 76)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)