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Home|シフラ(Georges Cziffra)|リスト ピアノ小品集

リスト ピアノ小品集

(P)シフラ 1957〜1959年録音



Liszt:半音階的大ギャロップ S.219

Liszt:パガニーニによる大練習曲第3番嬰ト短調「ラ・カンパネッラ」

Liszt:村の居酒屋での踊り(メフィスト・ワルツ第1番)S.110-2

Liszt:愛の夢第3番変イ長調 S.541-3

Liszt:2つの演奏会用練習曲?第1番変ニ長調「森のささやき」S.145-1

Liszt:即興的ワルツ S.213

Liszt:忘れられたワルツ第1番嬰ヘ長調 S.215-1

Liszt:エステ荘の噴水(巡礼の年第3年:イタリアから)

Liszt:スペイン狂詩曲S.254


パブリックドメインとなった作品をかき集めてみました。

シフラ自身はこれらの小品をまとめて一枚のアルバムにしようとしわ分けではありません。管理人の方で、パブリックドメインとなった音源を便宜的に一つにまとめてアルバム化したものです。
どの作品をとっても、リストらしい華やかなピアノの響きを堪能できるものばかりです。

(1)半音階的大ギャロップ S.219
 シフラはこの作品を名刺代わりにしていましたし、リスト自身もアンコールピースとして好んで演奏したと伝えられています。まさに典型的な「ヴィルトゥオーゾピース」と言える作品です。

(2)パガニーニによる大練習曲第3番嬰ト短調「ラ・カンパネッラ」
 言わずともしれたパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の「ラ・カンパネッラ」のテーマを主題ピアノ用に編曲した作品です。おそらく、数多くあるリストの曲の中で最も有名なもののひとつでしょう。

(3)村の居酒屋での踊り(メフィスト・ワルツ第1番)S.110-2
 もとはオーケストラ作品として2曲作られたのですが、そのうちとりわけ好評だった「村の居酒屋での踊り」の方がピアノ独奏用に編曲されました。ピアノ曲がオーケストラ曲に編曲されることはよくあるのですが、その逆をやるとはさすがはリストです。

(4)愛の夢第3番変イ長調 S.541-3
 もともとは歌曲として作曲したものをピアノ独奏版に編曲したものです。もちろん、この第3番が特に有名で、リストの名刺代わりとも言うべき作品となっています。

(5)2つの演奏会用練習曲?第1番変ニ長調「森のささやき」S.145-1
 交響詩という標題音楽への傾斜を強めていったリストらしい作品で、間sに音による「解が」とも言うべき作品になっています。なお、日本語の「森のささやき」はどうやら誤訳らしくて正確には「森のざわめき」とすべきだそうです。確かに音楽を聴けばこれは確かに「ざわめき」です。

(6)即興的ワルツ S.213
 親しみのあるメロディに彩られた小品なので腕に覚えのあるピアニストはよく取り上げる作品のようです。


(7)忘れられたワルツ第1番嬰ヘ長調 S.215-1
 あまり目立たない作品で、リスト自身もその存在をすれてしまいそうだったのでこんなタイトルをつけられたという話も伝わっています。4曲からなる作品なのですが、この第1番だけがよく演奏されます。

(8)エステ荘の噴水(巡礼の年第3年:イタリアから)
 ラヴェルの「水の戯れ」やドビュッシーの「水に映る影」に大きな影響を与えた作品です。リストの音楽は技巧偏重だけではないのです。

(9)スペイン狂詩曲S.254
 リストは土着の民謡を採集して作品化するという異tなみに力を入れていて、そのもっとも豊かな恵みが「ハンガリー狂詩曲」であることは言うまでもありません。そして、この「スペイン狂詩曲」もそのような流れの中の作品であって、「フォリア」というゆっくりとしたテンポの舞曲と速いテンポの「ホタ」という音楽をベースに作品が組み立てられています。


不屈の男の強さが底光りする音楽

ジョルジュ・シフラはリストの再来と言われたピアノのヴィルトーゾとして知られていますが、いわゆるコアなクラシック音楽ファンからは底の浅い指がよくまわるだけのピアニストとみなされてきました。
ピアニストの世界では、バックハウスやケンプのような深い精神性に満ちた演奏をする人が一番偉いんであって、技巧を誇示して、聴衆の俗受けを狙うようなピアニストは一段も二段も落ちるとみなされてきました。さらに、得意なレパートリーがリストというのでは、それは偉大なクラシック音楽を体現する芸術家からはほど遠いピアノ弾き芸人みたいな評価すらされてきました。

貧しい家庭に生まれたシフラは、一家の家計を助けるためにわずか5歳でサーカスでのピアノ演奏をはじめました。客のリクエストしたテーマをもとに即興で演奏して日々5枚の銀貨を稼いだと語っています。
そんな、「小さなモーツァルト」に興味をひかれたのがハンガリーの有名な作曲家だったドホナーニで、彼の計らいによってシフラはリスト音楽院に入学を果たします。
しかし、女神が微笑みかけたのは一瞬で、その後の彼の人生は過酷きわまるものでした。
いよいよコンサートピアニストとして羽ばたこうとするときに、第2次世界大戦が勃発し、一兵卒としてロシア前線におくられます。
戦後は共産主義政権を嫌って国外脱出をはかるも逮捕されて、過酷な収容所生活をおくります。その時の過酷な労働(ひとつ60kgの大理石を運ぶ仕事を、毎日10時間こなした。)によって手首の腱を伸ばしてしまいます。
そして、何とか釈放されたあとにハンガリー動乱が起こり、彼は妻子を連れて徒歩で国境を越え、胸まで水に浸かりながら川を渡ったり西側への脱出を計ります。この時、鉄条網をかいくぐったときに右手に傷を負い、その傷跡は生涯消えなかったと言われます。

詳しくはジョルジュ・シフラの世界 BIOGRAPHY

そんな過酷きわまる人生の中で、彼は酒場でピアノを弾くことで金を稼ぎ妻子を養いました。
そんな男のピアノが、たとえ西側に出て世界的なコンサートピアニストとしての成功を勝ち取ったからと言って、決してコンクール上がりのお上品なピアニストが演奏するような音楽になるはずがないのです。
突然にピアノを強打したり、テンポを上げたりするシフラ流を俗受けを狙ったあざとい手法と見る人もいるでしょう。指はよくまわるけれども、アラっぽいタッチを指摘して、洗練さにかける芸人のピアノと馬鹿にする向きもあります。
しかし、シフラにとって音楽とはこういうものでしかあり得なかったのです。生きるためには、酒場の酔客にも受ける必要があり、受けるためには振り向かせなければいけなかったのです。そして、そんな音楽の中に、人生に対する恨み辛みをグッと飲み込んで、それらに屈しなかった不屈の男の強さが底光りしているのです。

ジョルジュ・シフラ、凄味のあるピアニストです。

<追記>
録音が56年から57年にわたっていて、この両者の間で録音のクオリティにかなりの差があります。全体をとおして聞いていると、その落差に違和感を感じてしまうのが少し残念です。(56年の録音はブダペストで行われています)
また、シフラは15番までしか取り上げていません。これは当時としては一般的な扱いだったと言えます。

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