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バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 1955年10月22日録音



バルトーク:管弦楽のための協奏曲 「序章 」

バルトーク:管弦楽のための協奏曲 「対の対話 」

バルトーク:管弦楽のための協奏曲 「エレジー 」

バルトーク:管弦楽のための協奏曲 「中断された間奏曲 」

バルトーク:管弦楽のための協奏曲 「フィナーレ 」


ハンガリーの大平原に沈む真っ赤な夕陽

 この管弦楽のための協奏曲の第3曲「エレジー」を聞くと、ハンガリーの大平原に沈む真っ赤な夕陽を思い出すと言ったのは誰だったでしょうか?それも、涙でにじんだ真っ赤な夕陽だと書いていたような気がします。
 上手いことを言うものです。音楽を言葉で語るというのは難しいものですが、このように、あまりにも上手く言い当てた言葉と出会うとうれしくなってしまいます。そして、この第4曲「中断された間奏曲」もラプソディックな雰囲気を漂わせながらも、同時に何とも言えない苦い遊びとなっています。ユング君はこの音楽にも同じような光景が目に浮かびます。

 バルトークが亡命したアメリカはシェーンベルグに代表されるような無調の音楽がもてはやされているときで、民族主義的な彼の音楽は時代遅れの音楽と思われていました。そのため、彼が手にした仕事は生きていくのも精一杯というもので、ヨーロッパ時代の彼の名声を知るものには信じがたいほどの冷遇で、その生活は貧窮を極めました。
 そんなバルトークに援助の手をさしのべたのがボストン交響楽団の指揮者だったクーセヴィツキーでした。もちろんお金を援助するのでは、バルトークがそれを拒絶するのは明らかでしたから、作品を依頼するという形で援助の手をさしのべました。
 そのおかげで、私たちは20世紀を代表するこの傑作「管弦楽のための協奏曲」を手にすることができました。(クーセヴィツキーに感謝!!)

 一般的にアメリカに亡命してから作曲されたバルトークの作品は、ヨーロッパ時代のものと比べればはっきりと一線を画しています。その変化を専門家の中には「後退」ととらえる人もいて、ヨーロッパ時代の作品を持ってバルトークの頂点と主張します。確かにその気持ちは分からないではありませんが、ユング君は分かりやすくて、人の心の琴線にまっすぐ触れてくるようなアメリカ時代の作品が大好きです。
 また、その様な変化はアメリカへの亡命で一層はっきりしたものとなってはいますが、亡命直前に書かれた「弦楽四重奏曲第6番」や「弦楽のためのディヴェルティメント」なども、それ以前の作品と比べればある種の分かりやすさを感じます。そして、聞こうとする意志と耳さえあれば、ロマン的な心情さえも十分に聞き取ることもできます。
 亡命が一つのきっかけとなったことは確かでしょうが、その様な作品の変化は突然に訪れたものではなく、彼の作品の今までの延長線上にあるような気がするのですが、いかがなものでしょうか。
<追記>
一度アップしてあったのですが、その後作品そのものの著作権が切れていないことが判明したので急遽削除した音源です。ところが、最近調べてみると、なぜか著作権が消滅していることが判明しました。
バルトークに関わる戦時加算の適用はきわめて複雑なようです。(よく分かりません^^;)
でも、無事にこの作品もパブリックドメインの仲間入りをしたようなので、再びアップしておきます。


今もってこの作品のスタンダードとしての位置を失わない演奏

現時点でパブリックドメインとなっているジョージ・セルのステレオ録音をFLACデータベースにアップし終わり、次はライナーだな、という感じでチェックしていて、何とこの録音をリスニングルームにもMP3データベースの方にも上げていないことに気づいた。
いやぁ、思わぬところで大きな「落ち穂」があったものです。

ライナーは戦時中の43年にピッツバーグのオケを使ってこの作品を録音しています。しかし、その時はオケの能力にも起因するのでしょうが、音にするのが精一杯という雰囲気で、この作品が持っているシャープなリズムの冴えというものは全く感じられませんでした。しかし、この55年の録音では、シカゴ交響楽団という優れたオケを手に入れて、まさに自分が理想とするオケコンの世界を描き出しています。
もちろん、これよりも精緻な演奏は今では珍しくありません。カラヤンとBPOやショルティとシカゴ響などのコンビは、おそらくこれが人間の限界かと思われるレベルにまで達しています。そして、この作品はそう言う演奏において「真価」が発揮されることも事実です。
しかし、このライナーとシカゴ響による演奏には、そのような精緻さだけでなく、細かい強弱や表情の付け方などが実にしっくりといっていて、これを一度聞いてしまうと、昨今のハイテクオケのハイテクだけの演奏が実に薄味に聞こえてしまって困ってしまいます。
もちろん、シカゴ響が誇る管楽器群も実に表情豊かに素敵なソロを披露してくれています。

惜しむらくは、ステレオ録音初期と言うこともあって、やや低域の押し出しが控えめで、さらには左右に音場は広がっていてもやや中抜けの雰囲気があるのが残念です。
とは言え、この時代の録音としては驚異的な水準にあることは事実です。

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