クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでウラッハ(Leopold Wlach)のCDをさがす
Home|ウラッハ(Leopold Wlach)|モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

(Cl)レオポルド・ウラッハ ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1951年4月25日録音



Mozart:Clarinet Quintet in A major, K.581 [1.Allegro]

Mozart:Clarinet Quintet in A major, K.581 [2.Larghetto]

Mozart:Clarinet Quintet in A major, K.581 [3.Menuetto]

Mozart:Clarinet Quintet in A major, K.581 [4.Allegretto con variazioni]


クラリネット 〜 モーツァルトが愛した楽器

クラリネットという楽器の魅力を発見し、その魅力を最大限に引き出したのがモーツァルトでした。コンチェルトや交響曲の中でクラリネットを活躍させたのはモーツァルトが最初ではなかったでしょうか。

そして晩年の貧窮の中で彼はクラリネットのふくよかでありながら哀愁の入り交じったクラリネットの響きにますます魅せられていったようで、素晴らしい二つの作品を残してくれました。
それがここで紹介するクラリネット五重奏曲であり、もう一つはそれと兄弟関係とも言うべきクラリネット協奏曲です。

しかし、最晩年に作曲されたコンチェルトには救いがたいほどのモーツァルトの疲れが刻印されています。美しくはあっても、そのあまりに深い疲れが聞き手の側にのしかかってきます。それに対してこのクインテットの方はモーツァルト特有の透明感を保持しています。ある人はこの作品に、澄み切った秋の夕暮れを感じると書いています。

とりわけ第2楽章の素晴らしさ!!
これほどまでに深い感情をたたえた音楽は、モーツァルトといえども他には数えるほどしかありません。音楽の前に言葉は沈黙する、と言う陳腐な言い回しがここでは実感として感じ取ることができます。


ウラッハ vs グッドマン

「欧米文化」という言い方で、私たちはこの二つ、「欧」と「米」を一緒くたにしてしまいます。
しかし、ヨーロッパを代表するウラッハの演奏と、アメリカを代表するグッドマンの演奏を聴くと、この二つの地域が全く異質の文化をもった、全く異なった世界であることを改めて感じさせられます。

一切の思い入れや情緒などという「夾雑物」を一切排除して、驚くほどの速いテンポで一気に演奏しきるグッドマンには、正直言って度肝を抜かれました。すべてが即物的に処理される現在においても、これほどまでに即物的な演奏はそう聞けるものではありません。
それに反して、ウラッハの何という情緒の濃い演奏、そして悠然たるテンポ。まさに時代遅れの象徴みたいな演奏です。モーツァルトの悲しみがヨーロッパの没落と二重写しになっているような演奏です。

一つの作品を解釈してこれほどまでに正反対を向いてしまう二つの文化圏を「欧米」という言い方で一つにまとめるのは、あまりにも乱暴です。

ではお前はどっちが好きなんだと聞かれれば、これは迷わずにウラッハの方を選びます。
やはりモーツァルトはこうでなくっちゃいけません。
残念ながら、グッドマンの演奏からは澄み切った秋の夕暮れは見えてきません。(もちろん、そんな聴き方は邪道だと言う批判があることは百も承知の上での決めつけではありますが・・・)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



131 Rating: 6.3/10 (284 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2011-06-19:藤田伊織


2011-08-20:藤田伊織





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-07-24]

ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調, Op.104(Dvorak:Cello Concerto in B Minor, Op.104)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:ルドルフ・シュワルツ指揮 ナショナル交響楽団 1954年録音(Andre Navarra:(Con)Rudolf Schwarz The New Symphony Orchestra Recorded on, 1954)

[2024-07-22]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調 Op.31-3(Beethoven:Piano Sonata No.18 In E Flat, Op.31 No.3 "The Hunt")
(P)クララ・ハスキル:1960年9月録音(Clara Haskil:Recorded on September, 1960)

[2024-07-20]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第9番 イ長調 K.169(Mozart:String Quartet No.9 in A major, K.169)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-07-18]

ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第4番 ニ短調 作品31(Vieuxtemps:Violin Concerto No.4 in D minor, Op.3)
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:フランツ・マルスツァレク指揮 ケルン放送交響楽団 1954年録音(Vasa Prihoda:(Con)Franz Marszalek Kolner Rundfunk-Sinfonie-Orchester Recorded on 1954)

[2024-07-16]

サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調, Op.33(Saint-Saens:Cello Concerto No.1 in A Minor, Op.33)
(Cello)ガスパール・カサド:イオネル・ペルレア指揮 バンベルク交響楽団 1960年5月録音(Gaspar Cassado:(Con)Ionel Perlea Bamberg Symphony Orchestra Recorded on May, 1960)

[2024-07-14]

ヨハン・シュトラウス:ワルツ「芸術家の生活」, Op.316(Johann Strauss II:Artists Life Op.316)
ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1962年録音(Jascha Horenstein:Vienna State Opera Orchestra Recorded on December, 1962)

[2024-07-12]

ラロ:スペイン交響曲 ニ短調, Op21(Lalo:Symphonie espagnole, for violin and orchestra in D minor, Op. 21)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ・コロンビア交響楽団 1946年11月16日録音(Zino Francescatti:(Con)Andre Cluytens La Grand Orchestra Symphonique Colombia Recorded on November 16, 1946)

[2024-07-10]

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV1042(Bach:Violin Concerto No.2 in E major, BWV 1042)
(Vn)レオニード・コーガンエ:ルドルフ・バルシャイ指揮 モスクワ室内管弦楽団 1959年録音(Leonid Kogan:(Con)Rudolf Barshai Moscow Chamber Orchestra Recorded on 1959)

[2024-07-08]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」 ニ短調 Op.31-2(Beethoven:Piano Sonata No.17 In D Minor, Op.31 No.2 "Tempest")
(P)クララ・ハスキル:1960年9月録音(Clara Haskil:Recorded on September, 1960)

[2024-07-06]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第8番 ヘ長調 K.168(Mozart:String Quartet No.8 in F major, K.168)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)