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アンゲルブレシュト(Emile Inghelbrecht)|ドビュッシー:3つの交響的スケッチ「海」
ドビュッシー:3つの交響的スケッチ「海」
アンゲルブレシュト指揮 フランス国立放送管弦楽団 1954年録音
Debussy:交響詩「海」 「海上の夜明けから正午まで」
Debussy:交響詩「海」 「波の戯れ」
Debussy:交響詩「海」 「風と海との対話」
ドビュッシーの管弦楽作品を代表する作品
「牧神の午後への前奏曲」と並んで、ドビュッシーの管弦楽作品を代表するものだと言われます。そう言う世間の評価に異議を唱えるつもりはありませんが、ユング君の率直な感想としては、この二つの作品はたたずまいがずいぶん違います。
いわゆる「印象派」と呼ばれる作品ですが、この「海」の方は音楽に力があります。そして曖昧模糊とした響きよりは、随分と輪郭線のくっきりとした作品のように思えます。
正直申し上げて、ユング君はあのドビュッシー特有の茫漠たる響きが好きではありません。眠たくなってしまいます。(^^;
そんな中で、結構CDでよく聞くのがこの「海」です。
作曲は1903年から1905年と言われていますが、完成後も改訂が続けられたために、版の問題がブルックナー以上にややこしくなっているそうです。詳しくはこちら。→
ドビュッシーの「海」
一般的には「交響詩」と呼ばれますが、本人は「3つの交響的スケッチ」と呼んでいました。作品の雰囲気はそちらの方がピッタリかもしれません。
描写音楽ではありませんが、一応以下のような標題がつけられています。
1 「海の夜明けから真昼まで」
2 「波の戯れ」
3 「風と海との対話」
響きの純度を追求した演奏
ずいぶんと音の線が太く、そして、太い割には細部の見通しがよいので個人的にはとても好ましく思えます。いや、50年代のオケのレベルを考えるとこれは奇跡とも言えるような精緻さではないでしょうか。
ドビュッシー=印象派=ぼけたようなとらえ所のない茫洋とした響き・・・という定式が一般的には成り立つのですが、この茫洋とした響きというのがどうにも好きになれないので、「ドビュッシーは苦手」というもう一つの定式が私の中には出来上がってしまっています。
これがラベルなんかだとその響きはこの上もなく精妙でゴージャスなので、その響きの素晴らしさにすっかり魅せられてしまいます。なので、なぜにこの二人が同じ「印象派」として括られるのかいつも首をひねってしまいます。
でも、このアンゲルブレシュトの指揮でドビュッシーを聴くと、曖昧さの一切ない精妙な響きがはっきりと聞こえてきて、なるほどこの二人はこの響きの精緻さという点で共通点があったのだと納得させてくれます。
この作品には、「海上の夜明けから正午まで」とか、「波の戯れ」とか、「風と海との対話」などという標題がついていますが、アンゲルブレシュトは間違いなくそんな標題にはとらわれずに、ひたすら響きの純度を追求しているように聞こえます。
そう言えば、トスカニーニはこの作品をとても得意にしていて、名刺代わりのようにコンサートで取り上げていました。それは、彼の自慢の手兵を使って茫洋とした響きを聞かせるのではなく、その楽譜に込められた精緻な響きを現実のものとすることで自分たちの力を誇示するためのものでした。
アンゲルブレシュトの演奏は基本的なベクトルは同じでしょうが、そのような「野心」から最も遠いところで音楽を響かせているために、より感動的に鳴り響きます。録音もモノラルですが、そう言う響きの精妙さはしっかりととらえられています。
ドビュッシーなんてこんなもんでしょう・・・とばかりに平気でぼけた演奏をしている連中は、これを聴いて活を入れるべきでしょう。
<追記>
この録音はオケが「シャンゼリゼ劇場管」として流通してきました。しかし、これは契約上の関係でそのようにクレジットされていたようで、その実態はすべて「フランス国立放送管」だと言うことです。
彼の録音にはこの「シャンゼリゼ劇場管」という得体の知れない団体がよく登場するのですが、事情はすべて同じとのことです。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
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1262 Rating: 5.1/10 (149 votes cast)
よせられたコメント
2012-12-17:夜死兎
- 最後の盛り上がりが凄いと思いました。
ミュンシュのライヴ、スヴェトラーノフのライヴ、シルヴェストリらを超えています。
2017-03-10:べんじー
- わたしはブーレーズ/ニューフィルハーモニア管の「海」の録音が大好きなのですが、この演奏もとてもいいですね。骨太な力強さがありながら精妙さも全く欠けていない。
響きのそこかしこから、ブーレーズには無い古き良き時代の香気が漂って来て味わい深いです。アンゲルブレシュトの他の演奏も聞いてみたくなりました。
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