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ショパン:24の前奏曲 作品28

(P)ソフロニツキー 1951年11月21日録音



Chopin:24の前奏曲作品28 第1番 ハ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第2番 イ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第3番 ト長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第4番 ホ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第5番 ニ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第6番 ロ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第7番 イ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第8番 嬰ヘ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第9番 ホ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第10番 嬰ハ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第11番 ロ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第12番 嬰ト短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第13番 嬰ヘ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第14番 変ホ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第15番 変ニ長調 「雨だれの前奏曲」

Chopin:24の前奏曲作品28 第16番 変ロ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第17番 変イ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第18番 ヘ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第19番 変ホ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第20番 ハ短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第21番 変ロ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第22番 ト短調

Chopin:24の前奏曲作品28 第23番 ヘ長調

Chopin:24の前奏曲作品28 第24番 ニ短調




長さも性格も、そして形式もバラバラな24曲の集合体

長さも性格も、そして形式もバラバラな24曲の集合体、それがこの前奏曲集です。これをもって、「あらゆる制作の課程におかれている絵画でいっぱいの画家の画嚢を想起せずにはおれない」と言う評価が出てきます。
しかし今日では、その様な様々な作品群が一つの調和を保つことによって一つの作品として完成されたものとして見る見方が一般的になっています。つまり、この作品は一つ一つがバラバラに演奏されるのではなく、全24曲をひとまとめとして演奏されるべきだと言うことになります。

そして驚くべきは、それら全ての作品が一つの楽想を中心として構成されていながら、そのあとの展開が自由奔放であり、どれ一つをとっても定型的なものがないことです、まさに作曲家が自らの感興に任せて思うがままに筆を走らせているようです。にもかかわらず、どれもが行き過ぎることもなく、足らざることもなく、高いレベルで完成しているところにショパンの天才がかいまみられます。
まさに音楽史において天才と呼べるのはモーツァルトとショパンただ二人です。

第1番 ハ長調
第2番 イ短調
第3番 ト長調
第4番 ホ短調
第5番 ニ長調
第6番 ロ短調
第7番 イ長調
第8番 嬰ヘ短調
第9番 ホ長調
第10番 嬰ハ短調
第11番 ロ長調
第12番 嬰ト短調
第13番 嬰ヘ長調
第14番 変ホ短調
第15番 変ニ長調 「雨だれの前奏曲」
第16番 変ロ短調
第17番 変イ長調
第18番 ヘ短調
第19番 変ホ長調
第20番 ハ短調
第21番 変ロ長調
第22番 ト短調
第23番 ヘ長調
第24番 ニ短調

あなたは神だ


どうも私はピアノ音楽には相性がよくありません。そんなわけで、ピアニストに関してもあまり守備範囲が広くないので、このソフロニツキーという人も、今頃になって初めてその存在を知りました。
それにしても、この人、ホントに一筋縄ではいきません。
まず、楽譜は勝手に改変しますし、リズムや音価も伸びたり縮んだりしますから、昨今のコンクールに出れば間違いなく一次審査で落選します。(それが、コンクールというもののつまらなさの証明にもなるのですが・・・。)しかし、そう言う「改変」は彼の恣意性から発するものではなく、楽譜の中に閉じこめられた作曲家の声を発露するものとなっているところが凄いのです。
ですから、スクリャービンの詩曲のような作品では、その美しい響きに圧倒されるかと思うと、ショパンの前奏曲集では「なんだこれは?」と思うような暗くてナーバスな雰囲気に驚かされます。つまり、作品によっていかようにでもおのれを変身させうる能力を持っているのです。

これはホロヴィッツなどと比べてみるとその違いがはっきりします。
ホロヴィッツは何を演奏してもいつでもホロヴィッツです。常に堂々として輝かしく、颯爽としています。ホロヴィッツの指は常に一種のユートピアでなのです。
しかし、ソフロニツキーのパレットは多様です。やろうと思えばホロヴィッツのように演奏する技量は充分持ち合わせていました。例えばスクリャービンのピアノソナタ第3番の冒頭などを聞くと、まさにホロヴィッツを思わせるような堂々たる響きを聞かせてくれます。
しかし、彼のパレットはそれだけではないのです。同じ事をグチグチと繰り返しているようなシューマンのピアノ音楽を、ただのグチの繰り返しにならないように、シューマンの言いたいことをしっかりと聞き取ってあげて、彼のグチの中に含まれる微妙なニュアンスの変化を見事に再現したりするのです。
彼は作品の中に封印された作曲家の声を本能的にかぎ取って、それに合わせておのれをいかようにでも変身させることが出来たピアニストでした。
ただ、誤解の無いように言い添えておくと、だからソフロニツキーの方がホロヴィッツよりも優れていると言っているわけではありません。ホロヴィッツは常にスーパースターであり、スーパースターに求められるものを常に100%演じきったピアニストでした。それ故に、スパースターであることに疲れ切って、静かにトロイメライを弾いてピアノの蓋を閉めてしまったりもするのですが、再起するときは常にスーパースターとして再起したのです。
それはそれで、実に大変なことなのです。

かつて、ソフロニツキーは当時若手のピアニストだったギレリスを聞いて「彼は天才だ!」と絶賛しました。しかし、それを隣で聞いていたリヒテルが「ギレリスが天才なら、あなたは神だ」と言ったそうです。
ソフロニツキーを語るときにはよく引用されるエピソードなのですが、あのリヒテルが「神」と呼んだのです。単なるエピソードに留まらない重みのある言葉です。

ただし、あまりにも録音の少ないピアニストです。生涯をソ連国内で過ごし、西側で演奏したのも一度だけ(それも1920年代)なので、その実像は今もって「神秘」の中です。しかし、昨今のロシアンピアニズムへの注目の中で、少しずつ再評価が進んできています。
ヒストリカルの世界では今後とも、要注目の一人です。

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