クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|クーベリック(Rafael Kubelik)|ヤナーチェク:シンフォニエッタ

ヤナーチェク:シンフォニエッタ

ラファエル・クーベリック指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団  1955年3月録音



Janachk:Sinfonietta [1.Fanfare. Allegretto - Allegro maestoso]

Sinfonietta [2.The Castle, Brno. Andante ? Allegretto]

Sinfonietta [3.The Queen's Monastery, Brno. Moderato]

Sinfonietta [4.The Street Leading to the Castle. Allegretto]

Sinfonietta [5.The Town Hall, Brno. Andante con moto]


オケによる極上の「ショーピース」

私は読んでいないのですが(みんなが右向いて走りだしたときは反対向いて歩き出したいタイプなので・・・^^;)、現在ベストセラー街道を突っ走っているらしい村上春樹『1Q84』で、この作品が重要な要素として登場するそうです。そんな影響もあって、世間ではシンフォニエッタを収録したCDがクラシックとしては異例なほど売れているそうです。
一般的には、どう考えても売れるような作品ではないので、作曲者のヤナーチェクもきっと驚いていることでしょう。

この作品は、体育協会の参事をしていたヤナーチェクが協会のためのファンファーレを作って欲しいと頼まれて生み出された、というエピソードがあるそうですが、真偽のほどは確かではありません。しかし、作曲者自身はこの作品をチェコ陸軍に献呈したいという意思もあったようです。金管群によって奏されるファンファーレを聞くと確かに「体育会系音楽」の雰囲気が満点です。

シンフォニエッタというのはその名の通り「小さな交響曲」という意味合いですが、聞けば分かるとおりこの作品にはその様な「交響的」な雰囲気は稀薄です。しかし、冒頭の印象的なファンファーレが曲全体を支配しているので、単なる「組曲」よりは統一感があります。
そして、この冒頭のファンファーレが、最後に高らかに鳴り響くことを持って、この作品にもヤナーチェクの生涯のテーマであった「拘束からの解放」が反映しているという向きもあります。確かに、そう言う側面もあることは否定できないとは思います。
しかし、そんな難しいことを考えるよりは、オケによる極上の「ショーピース」として楽しめばいいのではないでしょうか。



まるで田舎のカーニバルのような演奏

私にとって「シンフォニエッタ」と言えば、セル&クリーブランド管による録音でした。
あれは、まさにメカニックの極地とも言うべき演奏で、そこで描かれる世界は近未来の都市で精緻な機械群が動き続けるようなシュールなものでした。
私は読んでいないので、全くの憶測でしかないのですが、村上春樹があの作品で「セル&クリーブランド管」を選んだのは、おそらくはそんなシュール感が欲しかったからではないでしょうか。
ですから、私にとってこの作品はそう言う現代的なテイストを持った作品として認識されていました。

ところが、このクーベリックの演奏を聴いてたまげてしまいました。ここには、そんなシュール感などは欠片も存在しません。いや、存在しないどころか、何と、ここで描かれているのは、ヨーロッパの片田舎のカーニバルではないですか。もしくは、田舎の婚礼・・・?。

確かに、指揮者の料理の仕方でいかように変わるのがクラシック音楽というものですが、このかわり様には驚かされます。
しかし、ふと思い当たったのは、もしかしたら、異形なのはセルの演奏の方であって、ヤナーチェクが思い描いていたのは、おそらくこちらの方ではないかという事です。
いや、ホントにクラシックは奥が深い!!

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



1136 Rating: 4.7/10 (219 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2011-02-09:sai





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-12-07]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 ヘ短調 Op.57(Beethoven: Piano Sonata No.23 In F Minor, Op.57 "Appassionata")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1955年11月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on November, 1955)

[2025-12-06]

ラヴェル:夜のガスパール(Ravel:Gaspard de la nuit)
(P)ジーナ・バッカウアー:(語り)サー・ジョン・ギールグッド 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Read)Sir John Gielgud Recorded on June, 1964)

[2025-12-04]

フォーレ:夜想曲第7番 嬰ハ短調 作品74(Faure:Nocturne No.7 in C-sharp minor, Op.74)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2025-12-02]

ハイドン:弦楽四重奏曲第32番 ハ長調, Op.20, No.2, Hob.3:32(Haydn:String Quartet No.32 in C major, Op.20, No.2, Hob.3:32)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1931年12月2日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on December 2, 1931)

[2025-11-30]

チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 ロ短調 作品58(Tchaikovsky:Manfred Symphony in B minor, Op.58)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1957年11月13日~16日&21日録音(Constantin Silvestri:French National Radio Orchestra Recorded on November 13-16&21, 1959)

[2025-11-28]

ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 作品93(Beethoven:Symphony No.8 in F major ,Op.93)
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 1961年5月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra Recorded on May, 1961)

[2025-11-26]

ショパン: ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(Chopin:Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21)
(P)ジーナ・バッカウアー:アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Con)Antal Dorati London Symphony Orchestra Recorded on June, 1964)

[2025-11-24]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番変ホ長調, Op.127(Beethoven:String Quartet No.12 in E Flat major Op.127)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年3月23日,31日&4月6日&20日録音(The Hollywood String Quartet:Recorded on March 23, 31 & April 6, 20, 1957)

[2025-11-21]

ハイドン:弦楽四重奏曲第31番 変ホ長調, Op.20, No1, Hob.3:31(Haydn]String Quartet No.31 in E flat major, Op.20, No1, Hob.3:31)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June l5, 1938)

[2025-11-19]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」 ハ長調 Op.53(eethoven:Piano Sonata No.21 in C major, Op.53 "Waldstein")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1956年3月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on March, 1956)