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フランク:交響曲ニ短調

セル指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1953年12月6日録音



Franck:交響曲ニ短調 「第1楽章」

Franck:交響曲ニ短調 「第2楽章」

Franck:交響曲ニ短調 「第3楽章」


偉大なるマイナー曲

この屈指の名曲を「マイナー曲」と言えばお叱りを受けそうですが、意外ときいていない人が多いのではないでしょうか?まあCDの棚に一枚か二枚程度は並んでいるのでしょうが、それほどに真剣に聞いたことはないと言う人も多いのではないでしょうか?

名曲というハンコはしっかり押されているにもかかわらず何故か人気はないと言う点で、「偉大なマイナー曲」と表現させてもらいました。

理由はいくつか考えられるでしょうが、まず第一に、フランクが交響曲という分野ではこれ一曲しか残さなかったことがあげられるでしょう。
交響曲作家というのは一般的に多作です。ベートーベンの9曲を代表として、少ない方ではブラームスやシューマンの4曲、多い方ではショスタコーヴィッチの15曲というあたりです。マーラー、ブルックナー、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、シベリウスなどなど、誰を取り上げてもそれなりにまとまった数の交響曲を残しました。
それだけにたった1曲しか残さなかったフランクの交響曲は、何かの間違いで(^^;、ポット産み落とされたような雰囲気が漂って「あまり重要でない」ような雰囲気が漂ってしまうのがマイナー性を脱却できない一つの理由となっているようです。

ただ、これは彼の人生を振り返ってみると大きな誤解であることは明らかです。吉田秀和氏がどこかで書いていましたが、60歳をこえ、残りの人生が少なくなりつつある10年間に、それこそねらいを定めたように、一つのジャンルに一作ずつ素晴らしい作品を産み落としたのがフランクという人でした。
そして、交響曲という分野においてねらいを定めてたった一つ産み落とされたのがこの交響曲なのです。

何かの片手間でポッと一つだけ作曲されたのではなく、自分の人生の総決算として、まさにねらいを定めたように交響曲という分野でたった一つだけ生み出され作品がこのニ短調のシンフォニーなのです。

さらにマイナー性を脱却できない第二の理由は作品が持つ「暗さ」です。とりわけこの作品の決定盤として君臨してきたフルトヴェングラーの演奏がこの暗さを際だたせた演奏だっただけに、フランクの交響曲は「暗い」というイメージが定着してしまいました。

たしかに、第一楽章の冒頭を聞くと実に「暗い」事は事実です。しかし、聞き進んでいく内に、この作品の本質がそのような暗さにあるのではなく、じつは「暗」から「明」への転換にあることに気づかされます。
そう、辛抱して最後まで聞いてくれればこの作品の素晴らしさを実感してもらえるのに、多くの人は最初の部分だけで辟易して、聞くのをやめてしまうのです。(実はこれってかつてのユング君でした・・・)

最終楽章の燦然と輝く音楽を聴いたとき、このニ短調の交響曲というのはあちこちで言われるような晦渋な作品ではなく、実に分かりやすい作品であることが分かります。そして、いかにドイツ的な仮面をかぶっていても、この作品は本質的にはフランスの音楽であることも了解できるはずです。


トスカニーニの衣鉢を継ぐフランクの演奏

フランクの交響曲が持っている明から暗へという分かりやすい構図を、実に「ガッチリ」とした構図で「クッキリ」と描き出していて、まさにトスカニーニの衣鉢を継ぐ演奏になっています。セルによるフランクというのは非常に珍しいレパートリーで、正規のスタジオ録音は残っていません。コンサートで取り上げることもほとんど無かったようで、おそらくはこのニューヨークフィルとの定期公演以外では指揮したことはなかったのではないでしょうか。

1953年12月5日 カーネギーホール
 ベルリオーズ/「ファウストの劫罰」〜3つの管弦楽作品
 ラロ/スペイン交響曲
 フランク/交響曲
  指揮/ジョージ・セル
  ヴァイオリン/アルフレッド・カンポーリ

1953年12月6日 カーネギーホール
 ラロ/スペイン交響曲
 フランク/交響曲
  指揮/ジョージ・セル
  ヴァイオリン/アルフレッド・カンポーリ

おそらく、この2回だけだと思います。カップリングもラロのスペイン交響曲と言うことで、実に「重く」て「暗い」プログラムで、セルにしては珍しい組み合わせだと思います。
しかし、指揮ぶりには一切の迷いも曖昧さもなく、細部をしっかりと整理し尽くして、この作品の持つ面白さを聞き手に分かりやすく提示しています。流石はセルです。

録音に関しては冒頭部分にノイズが多いですが、聴き進むにつれてノイズも減ってきて良好になってきますので、最初だけで「ダメ出し」しないでください(^^v

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