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ビーチャム(Thomas Beecham)|ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
ビーチャム指揮 ロイヤルフィル 他 1956年録音
Borodin:歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」
今や超有名曲ですね。

何人もの方から、「ダッタン人の踊り」をアップしないのかとプッシュされました。私の感覚としてはボロディンのこの作品はどちらかと言えば辺境のマイナー曲というイメージがあったので、なぜにこんなにもたくさんリクエストが来るんだ?と不思議に感じていました。
しかし、調べてみるとコマーシャルなんかにもよく使われているみたいで(JP東海の「うまし うるわし 奈良」)、さらにあの有名なメロディをカバーしたポップス曲なんかもよく出ているようです。ですから、クラシック音楽に興味は無くいても、あのメロディは知っているという人が意外と多いようで少しばかり驚かされました。
特に、藤澤ノリマサなる歌手が歌う「ダッタン人の踊り」は情報番組のエンディングなどにも使われたみたいで、全く意外なところでボロディンのこの作品は「超有名曲」になってしまっているようです。
ご存知のように、この作品は、ボロディンがその生涯をかけて作曲に勤しんだ歌劇「イーゴリ公」の中の1曲です。残念ながら、本職が「化学者」で、趣味として作曲活動を続けていたボロディンはリムスキー・コルサコフの助力を得ながらも、最終的には自らの手でその作品を完成させることは出来ませんでした。よく知られているように、未完成のまま放置されたロシア五人組の作品を丹念に仕上げていったのはリムスキー・コルサコフだったのですが、この「イーゴリ公」もリムスキー・コルサコフによって仕上げられて、1890年11月4日、サンクト・ペテルブルクのマリンスキー劇場で初演が行われました。
「ダッタン人の踊り」はこのオペラの中の第2幕に登場するのですが、その分かりやすく異国情緒に満ちた音楽は単独で取り上げられるようになり、今では本体の歌劇よりもポピュラリティを得ています。
なお、「ダッタン人」という表記は、原題が「ポロヴェツ人」になっているため、明らかに翻訳ミスによるものと思われます。一時は、ともに中央アジアで活躍する遊牧民族なので似たようなものだろう、と言われていましたが、今では明らかにミスだとされています。
それから、大阪人であるユング君は、「ダッタン人」という言葉を見ると、大阪の詩人、安西冬衛の「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。」という一行詩を思い出してしまいます。もちろん、両者の間には何の関係もありませんが・・・。
派手な音楽はとことん派手に!!
コンサートで単独で取り上げるときは、当然のことながら「合唱」をともなわない形で演奏されることが一般的です。何しろ、合唱を入れるとお金がかかりますし、それに「合唱」がなくても十分に「派手」ですから。
しかし、このビーチャム盤をのように「合唱」有りのスタイルで聞いてしまうと、やはり「合唱」は無くっちゃいけません・・・と思ってしまいます。「合唱」有りで聞くのと「合唱」なしで聞くのとでは全くの別物です。分かりやすいメロディと異国情緒に満ちたロマン、そして圧倒的な迫力が「ウリ」なのですから、派手なところはとことん派手でないといけません。
ただし、ここで聞くことのできる派手さは、いわゆるスヴェトラーノフに代表されるようなロシア的なお下品さはありません。(スヴェトラーノフファンの方ご免なさい!)流石は、大英帝国最後の大変人と称えられた(?)ビーチャムらしい、スタイリッシュな派手さです。
録音の方も1956年ですがステレオで録音されていて、十分に現在でも通用するレベルに達しています。
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