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カペル(William Kapell) |ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43
P:カペル ライナー指揮 ロビンフッド・デル管弦楽団 1951年6月27日録音 Rachmaninov:Rhapsody on a Theme of Paganini Op.43
Andante cantabileだけはとても有名です
この作品は「パガニーニの主題による狂詩曲」となっていますが、実質的には疑いもなくピアノコンチェルトです。
パガニーニのヴァイオリン曲『24の奇想曲』第24番「主題と変奏」の「主題」をネタにして、ラフマニノフらしいロマンティックな世界を繰り広げています。
とりわけ有名なのが、第18変奏のAndante cantabileです。
きっと、「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて言われても全然ピントこない人でも、この部分を聞けばピンと来るはずです。テレビのコマーシャルやドラマのBGM、さらにはフィギアスケートの音楽などに、それこそ擦り切れるほどに使い回されています。
ただ、第18変奏なんて言われても、この作品はかなり自由に変奏されていますし、おまけにかんじんの主題が最初に出てこないという変速技を使っていますので、きっとよほど訓練された人でないとどこが18番目の変奏かは聞き当てられないはずです。
でも、大丈夫です。
あのメロディが出てくれば、誰でも思い当たります。
「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて知らないよと言う人も、「あのメロディ」が出てくるまで辛抱強く聞き続けてください。
カペルの「始めの終わり」
ウィリアム・カペル(William Kapel)といえば、「ホロヴィッツの再来」と呼ばれるような華々しいキャリアと、そのキャリアが飛行機事故によってわずか31歳で断ち切られたことの悲劇性が常について回ります。さらに、その事故の報に接したホロヴィッツが「これで私がナンバーワンだ。」と語ったというエピソードによってその悲劇性はさらに飾り立てられることになります。
しかしながら、同じように若くして、そしてほとんど同時代にこの世を去ったリパッティが今も多くの人の記憶にとどまっているのと比べると、カペルの記憶はずいぶんと薄らいでしまっていることは否めません。そして、今回、あまり多いとはいえない彼の録音をまとめて聞いてみて、その理由が少しはわかったような気がしました。
リパッティは33歳でこの世を去りましたが、すでに彼ならではの世界を築いていました。しかし、カペルはホロヴィッツを意識したのか、ひたすら強靱にピアノを鳴らすことに没頭した時代を脱皮して、心の内面を繊細に表現しようとする新しい世界に足を踏み入れた矢先に人生を断ち切られました。
それは、終わりを意識してピアノに向き合わざるを得なかったリパッティと、そういうことは夢に思わずにピアノに取り組んでいたカペルの違いでしょう。カペルにしてみれば、そんなにも生き急ぐように歩を進める必要などは全く感じていなかったでしょうし、おそらくはじっくりと時間をかけて一つ一つを丹念に確かめながら音楽を熟成させていくつもりだったのでしょう。
そう思えば、真に悲劇的だったのはリパッティではなくカペルの方だったことに気づかされました。
1950年に録音されたラフマニノフのコンチェルト(第2番)やその翌年に録音されたパガニーニ狂詩曲は、意気盛んにピアノを強打するカペルの姿が刻印されています。しかし、同じように刻印されていても、狂詩曲の方ではライナーの指揮するオケの語り口の上手さに引っ張られて、果たしてこのままでいいだろうかと新しいアプローチを考え始めたような姿も垣間見られます。
話はカペルからはずれるのですが、実際、この狂詩曲の録音を聞いて一番感心させられたのはライナーの語り口の上手さです。一つ一つの変奏の特徴その面白さをものの見事に聞き手に伝えてくれるので、まるで千夜一夜物語を楽しんだ王様のように、実におもしろいお話を聞かせてもらたっような満足感が残ります。そんな演奏の中では、カペルのピアノは物語の中の一人の登場人物(重要ではあるが)であるかのようにおさまっています。
ほんとに、恐るべし、フリッツ・ライナーです。
それと比べれば、コンチェルト(第2番)の方はオケもピアノもイケイケどんどんの威勢の良さが前に出ています。ピアノもオケも目一杯に鳴り響いていて、まさにアメリカの脳天気な黄金時代を象徴するような演奏になっています。
そして、もしも、この時点でカペルの人生が断ち切られていれば、おそらく彼の記憶はとうの昔に消え去っていたことでしょう。おそらく、彼が今も記憶の中から消え去らないのはおそらくはこの後のほんの2?3年の変化によるものであることを強く感じました。
そういう意味では、このラフマニノフの録音はカペルの「始めの終わり」を知る上では格好の演奏だといえそうな気がします。
なお、「ロビンフッド・デル管弦楽団」とは聞き慣れないオケですが、これはフィラデルフィア管弦楽団のことです。「ロビンフッド・デル」はフィラデルフィアにある野外音楽コンサート会場で、フィラデルフィア管弦楽団の夏の音楽祭の会場となるので、この名前を時々使ったようです
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1964 Rating: 5.0 /10 (188 votes cast)
よせられたコメント 2014-05-04:原 響平 この演奏はカペルを聴くのではなく、ライナーのラフマニノフを聴く事になる。ライナーは、作曲者の心、感情を余すことなく表現し、しかも,細やかなオーケストラコントロールによりこの曲を演奏している。特に顕著なのがバイオリンの処理で、ラフマニノフ特有の甘美なバイオリンの音色を、過度にならない程度に制御して、この演奏を仕上げている。踏み込んで欲しい音色、そして音の強弱も、まさに神業に近いものがこの演奏にはある。聴く者の心のヒダを動かす演奏に出会うことが昨今非常に少ないが、これは本当に感動的な演奏である。尚、この演奏の後にライナーは、ルービンシュタインとの演奏を再録音しているが、こちらはステレオ録音、そして巨匠ルービンシュタインとの共演ということも有り、更に優れた演奏となっている。
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