クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|セル(George Szell)|ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92

ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92

ジョージ・セル指揮 クリーヴランド管弦楽団 1963年1月4日~5日録音



Dvorak:Carnival Overture, Op.9


アメリカに渡る直前に書かれた一つの「まとめ」のような作品

ドヴォルザークは51才の時アメリカに渡るのですが、その直前に、一つの「まとめ」のような形で書かれたのが序曲3部作「自然と人生と愛」でした。
ドヴォルザークは、当初はこの3作品をひとまとまりのものとして「作品91」とする予定でした。ドヴォルザークの構想では演奏会用序曲三部作「自然と人生と愛」作品91として、第1部「自然」、第2部「人生(謝肉祭)」、第3部「愛(オセロ)」となるはずでした。
しかし、出版に際しては「自然の王国で」が作品91、「謝肉祭」は作品92、「オセロ」が作品93という形で落ちついたようです。

邪推ですが、版元としてはその様にバラした方が商売上有利だと判断したことは間違いないでしょう。
しかしながら、これらの作品は3部作として構想されたからと言って、3作品を連続して演奏されるスタイルはドヴォルザーク自身も考えてはいなかったようです。
それよりは「自然」「人生」「愛」というドヴォルザーク自身の人生哲学を反映させようとしたが為に「三部作」としたのであって、必ずしも3作品で一つの総体を形成するものとは考えてはいなかったようです。

例えば第3部となる予定だった「愛(オセロ)」は結果として序曲「オセロ」となっているのですが、それはシェークスピアの「オセロ」を音楽化したものではなくて、オセロの中で描かれている「嫉妬」を愛の一側面としてとらえたドヴォルザークの哲学に由来するものでした。
そのあたりは、「自然の王国で」や「謝肉祭」でも同様で、それらのタイトルはリストの交響詩のようにそれらを直接描こうとしたのではなくて、もっと緩やかにドヴォルザークの人生哲学の中にある「自然」や「人生」をイメージしたものだったようです。

序曲「謝肉祭」 Op.92


「自然の王国で」とは対照的に、全管弦楽のフォルティシモという何とも凄い華やかさで音楽が始まります。
タンブリンやトライアングルという賑やかな楽器も活躍して、活気とリズム感に溢れた作品は「謝肉祭」というタイトルから受けるイメージにピッタリです。

また、この作品日てはワーグナーの「タンホイザー」からの強い影響も指摘されているようです。
ドヴォルザークは若い頃からワーグナーの影響を強く受けていて、とりわけ「タンホイザー」を高く評価してたそうです。


良い意味でも悪い意味でも「Bohemian Carnival」という看板には偽りのあるアルバム

フルトヴェングラーの「モルダウ」を紹介したときに「セルがクリーブランド管を指揮したモルダウもパブリック・ドメインになっているのではないですか?」というメールをいただきました。

セルの「モルダウ」なんてものはとっくの昔にアップしているつもりでいました。ところが、調べてみると古い時代のモノラル録音しか紹介していなくて、1963年のステレオ録音はアップしていないことに気づきました。
言うまでもなく、この音源はすでにパブリック・ドメインとなっています。1963年に「Bohemian Carnival」というタイトルで以下の曲目が収録されています。

  1. スメタナ:連作交響詩「我が祖国」より第2曲「モルダウ」

  2. スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より

  3. ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 Op.92

  4. ドヴォルザーク:スラブ舞曲より(4曲)


調べてみれば、このアルバムに収録されている作品はスラブ舞曲以外は未だにアップしていないではないですか!!

さらに、少し調べただけでも、すでにパブリック・ドメインとなっているセルの録音で未紹介の音源がまだまだ数多くあることに気づきました。
私にとってセルは特別な存在ですから、彼のパブリック・ドメインとなっている音源は出来る限り紹介したいと考えているので、もう少し詳しく調べてぼちぼちと追加していきたいと思います。

さて、この「Bohemian Carnival」というアルバムなのですが、これほど良い意味でも悪い意味でも「看板に偽り」のあるアルバムも珍しいでしょう。

考えてみればすぐに分かることなのですが、セル&クリーブランド管の組み合わせで、スメタナやドヴォルザークの作品がボヘミア的情緒に溢れた音楽として演奏されることなどあり得ないのです。それは、作品そのものがボヘミヤの民謡などを安易に引用して「民族的音楽だ!」等という姿勢を積極的に拒否しているのですから、それは当然と言えば当然です。

ですから、この録音にボヘミアンな情緒を期待する人にとっては全く不向きなアルバムと言うことになります。
しかし、しっかりとした伝統的な西洋音楽の語法に則った上で、民族的な感情を芸術的な領域にまで引き上げようとしたスメタナやドヴォルザークの本質に迫りたいならば、これほどに相応しい演奏と録音はありません。
もっとも、それが面白味に欠けるという人がいても、敢えてそれを否定する気もありません。

それもまた、彼らの作品に対する一つのスタンスであり、さらに言えばそう言うスタンスを受け入れるだけのキャパシティを持っていると言うことは作品の素晴らしさの証左でもあります。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



4213 Rating: 4.9/10 (103 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2024-11-02:さとる





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-06-17]

ベートーベン:リギーニのアリエッタ「恋人よ来たれ」による24の変奏曲 WoO 65(Beethoven:24 Variations on Righini's Arietta Venni amore, WoO 65)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)

[2026-06-15]

ボッケリーニ:チェロ・ソナタ第1番 イ長調, G.13(Boccherini:Cello Sonata No. 1 in A Major, G. 13)
(Cell)エンリコ・マイナルディ:(P)カルロ・ゼッキ 1952年録音(Enrico Mainardi:(P)Carlo Zecchi Recorded on 1952)

[2026-06-13]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 「大公」 Op.97(Beethoven:Piano Trio No.7, Op.97 in B-flat major "Archduke")
(Vn)ダヴィド・オイストラフ (P)レフ・オボーリン (Cello)スヴィヤトスラフ・クヌシェヴィツキー 1958年5月9日~10日&12日録音((Vn)David Oistrakh:(P)Lev Oborin (Cello)Sviatoslav Knushevitsky Recorded on May 9-10&12, 1958)

[2026-06-11]

フランツ・シュミット:ピアノ五重奏曲(Schmidt:Piano Quintet in G major)
バリリ四重奏団:(P)イエルク・デムス 1952年録音(Barylli Quartet:(P)Jorg Demus Recorded on 1952)

[2026-06-09]

バッハ:教会カンタータ 「死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ」 BWV67(J.S.Bach:Halt im Gedachtnis Jesum Christ, BWV 67)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 他 1954年2月26日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (Org)Hannes Kastner (A)Gertrud Wagner (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on February 26, 1954)

[2026-06-07]

エルガー:セレナーデ Op.20(Elgar:Serenade for String Orchestra in E minor, Op.20)
マルコム・サージェント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年6月6日録音(Sir Malcolm Sargent:The Philharmonia Orchestra Recorded on June 6, 1959)

[2026-06-05]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調, Hob.III:65(Haydn:String Quartet in C major, Hob.III:651)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1954)

[2026-06-03]

バッハ:教会カンタータ 「人々シバよりみな来たりて」 BWV65(J.S.Bach:ie werden aus Saba alle kommen, BWV 65)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel 1952年1月11日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on January 11, 1952)

[2026-06-01]

バルトーク:子供のために Sz.42(Bartok:For Children, Sz.42)
(P)ジェルジ・シャーンドル:1951年1951年9月12日録音(Gyorgy Sandor: Recorded on September 12, 1951)

[2026-05-30]

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調, Op.19(Prokofiev:Violin Concerto No.1 in D major, Op.19)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニッ音]1956年2月27日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos New York Philharmonic Recorded on February 27, 1956)