Home|
ワインガルトナー(Felix Weingartner)|ブラームス:交響曲第4番
ブラームス:交響曲第4番
ワインガルトナー指揮 ロンドンフィル 1938年2月14日録音
Brahms:交響曲第4番「第1楽章」
Brahms:交響曲第4番「第2楽章」
Brahms:交響曲第4番「第3楽章」
Brahms:交響曲第4番「第4楽章」
とんでもない「へそ曲がり」の作品

ブラームスはあらゆる分野において保守的な人でした。そのためか、晩年には尊敬を受けながらも「もう時代遅れの人」という評価が一般的だったそうです。
この第4番の交響曲はそういう世評にたいするブラームスの一つの解答だったといえます。
形式的には「時代遅れ」どころか「時代錯誤」ともいうべき古い衣装をまとっています。とりわけ最終楽章に用いられた「パッサカリア」という形式はバッハのころでさえ「時代遅れ」であった形式です。
それは、反論と言うよりは、もう「開き直り」と言うべきものでした。
しかし、それは同時に、ファッションのように形式だけは新しいものを追い求めながら、肝腎の中身は全く空疎な作品ばかりが生み出され、もてはやされることへの痛烈な皮肉でもあったはずです。
この第4番の交響曲は、どの部分を取り上げても見事なまでにロマン派的なシンフォニーとして完成しています。
冒頭の数小節を聞くだけで老境をむかえたブラームスの深いため息が伝わってきます。第2楽章の中間部で突然に光が射し込んでくるような長調への転調は何度聞いても感動的です。そして最終楽章にとりわけ深くにじみ出す諦念の苦さ!!
それでいながら身にまとった衣装(形式)はとことん古めかしいのです。
新しい形式ばかりを追い求めていた当時の音楽家たちはどのような思いでこの作品を聞いたでしょうか?
控えめではあっても納得できない自分への批判に対する、これほどまでに鮮やかな反論はそうあるものではありません。
意外なほど意志的で強靱な響き
ワインガルトナーといえばスタイリッシュで淡泊な演奏をした人というイメージがあります。
しかし、最晩年に彼が残したブラームスの演奏を聴き直してみて、少し考えをあらためました。4番の最終楽章ではちょっと粘る部分はありますが、全体としては颯爽としたスタイリッシュな演奏に仕上がっているところは、ワインガルトナーらしいといえます。しかし、ここで聞ける演奏はそれだけにとどまらず、意志的で強靱な響きが聞こえてきます。
ワインガルトナーってこんなにがっちりとした音楽を聞かせる人だったのかと少し驚かされました。
ワインガルトナーは1863年に現在のクロアチアで生まれ、その後リストの弟子となって音楽を学んだという経歴を持っています。そして、当時のお決まりだと思うのですが、地方の歌劇場からスタートして少しずつキャリアを積み上げていき、1891年にはベルリン宮廷歌劇場の首席指揮者にまでのぼりつめます。さらに、1908年にはグスタフ・マーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任しています。
まさに順風満帆の音楽家生活だと思うのですが、晩年になるとナチスの台頭によりその生活にも影が差してきます。1934年に再び就任したウィーン国立歌劇場の音楽監督も36年には辞任せざるを得なくなり(ワインガルトナーはユダヤ人でした)、さらにローザンヌからパリに居を移し、第2次対戦の勃発直前にはロンドンへの亡命を余儀なくされます。
私の見るところ、このナチス台頭以後の録音には、それまでのワインガルトナーにはなかった強い意志のようなものが演奏に現れてきているように思います。
また、録音セッションを長年にわたって経験してきた人だけに、ライブ演奏との違いもよく知っていたように思います。何度も何度も繰り返し聞かされることを前提とした録音では、派手さはなくてもきっちり仕上げることの大切さをよく分かっていた人だと思います。しかし、ケレン味なく音楽を展開させながら次第次第に盛り上げていって最後でクライマックスを築き上げていくあたりはなかなかの手腕だと思います。
一部、原盤に起因すると思われるノイズはありますが音質的にはこの時代のものとしてが最上に属するものです。最晩年のワインガルトナーを知るには絶好の録音だといえます。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
378 Rating: 4.7/10 (205 votes cast)
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2026-06-09]

バッハ:教会カンタータ 「死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ」 BWV67(J.S.Bach:Halt im Gedachtnis Jesum Christ, BWV 67)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 他 1954年2月26日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (Org)Hannes Kastner (A)Gertrud Wagner (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on February 26, 1954)
[2026-06-07]

エルガー:セレナーデ Op.20(Elgar:Serenade for String Orchestra in E minor, Op.20)
マルコム・サージェント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年6月6日録音(Sir Malcolm Sargent:The Philharmonia Orchestra Recorded on June 6, 1959)
[2026-06-05]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調, Hob.III:65(Haydn:String Quartet in C major, Hob.III:651)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1954)
[2026-06-03]

バッハ:教会カンタータ 「人々シバよりみな来たりて」 BWV65(J.S.Bach:ie werden aus Saba alle kommen, BWV 65)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel 1952年1月11日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on January 11, 1952)
[2026-06-01]

バルトーク:子供のために Sz.42(Bartok:For Children, Sz.42)
(P)ジェルジ・シャーンドル:1951年1951年9月12日録音(Gyorgy Sandor: Recorded on September 12, 1951)
[2026-05-30]

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調, Op.19(Prokofiev:Violin Concerto No.1 in D major, Op.19)
(Vn)アイザック・スターン:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニッ音]1956年2月27日録音(Isaac Stern:(Con)Dimitris Mitropoulos New York Philharmonic Recorded on February 27, 1956)
[2026-05-28]

ルーセル:フルート三重奏曲 ヘ長調 Op.40(Roussel:Trio for Flute, Viola and Cello in F major, Op.40)
(Cello)エティエンヌ・パスキエ (Vn)ピエール・パスキエ (Fl)ジャン・ピエール・ランパル 1954年発行(Pierre Pasquier:(Cello)Etienne Pasquier (Fl)Jean-Pierre Rampal Published in 1954)
[2026-05-26]

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 Op.63(Prokofiev:Violin Concerto No.2 in G minor, Op.63)
(Vn)ダヴィド・オイストラフ:アルチェオ・ガリエラ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1958年5月14日&19日録音(David Oistrakh:(Con)Alceo Galliera The Philharmonia Orchestra Recorded on May 14&19, 1958)
[2026-05-23]

ベートーベン:スイスの歌による6つの変奏曲 WoO 64(Beethoven:6 Variations on a Swiss Song, WoO 64)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)
[2026-05-21]

レスピーギ:イル・トラモント(Respighi:"Il Tramonto" Poem For Quartet And Voice)
バリリ四重奏団:(S)セーナ・ユリナッチ 1954年録音(Barylli Quartet:(S)Sena Jurinac Recorded on 1954)