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ベートーベン:弦楽四重奏曲第14番

ブッシュ弦楽四重奏団 1937年録音



Beethoven:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第1楽章

Beethoven:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第2,3楽章

Beethoven:弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第4楽章




音楽は流れ来たり流れ去る

この作品は、一般的に「ガリツィン四重奏曲(12・13・15番)」と呼ばれている3曲の後に作曲されました。ですから、番号では15番となっている作品よりも後で作曲されたことになります。
ガリツィン四重奏曲はその名の通り、ガリツィン侯爵からの依頼があって作曲されたのですが、それに続くこの作品はその様な依頼があって書かれたものではなく、甥のカールのことで世話になったシュトゥッターハイム男爵への感謝のために作曲されました。作品を理解するのに、こんな事は何の役にも立たないことは言うまでもないことですが、しかしこの場合はいささか事情が異なります。

ベートーベンはガリツィン四重奏曲においても、少しずつ四重奏曲の定型を破っていきました。12番は通常の4楽章構成ですが、13番では5楽章となり、最後の15番では長大なアダージョ楽章を持つ6楽章構成にまで膨れ上がっています。しかし、依頼主のご機嫌伺いなどを一切機にする必要がなくなった14番では7楽章構成となり、さらにそれら全ての楽章が切れ目なしに演奏されると言う、まさに「異形」と呼ぶしかないような破格の構成を持つに至ります。
ここでのベートーベンは限りなく自由なように思えます。音楽は流れ来たり流れ去ります。

古典的名演


最近の代表的なカルテットであるアルバン・ベルク弦楽四重奏団などと比べると表現の古さは否めません。しかし、この演奏はベートーベンの最晩年を代表するこの異形の大作を前にして、一歩も逃げることなく真摯に向き合っています。全ての音がベートーベンと向き合って意味ある物としてならされています。
こういう言い方はあまりにも文学的にすぎることは承知していますが、完璧なアンサンブルであまりにも無機的に響く演奏、言葉をかえれば、書かれている内容を全く理解しようとしないにも関わらず、完璧な発音で朗読されるような虚しさとは対極にある演奏です。その意味で、今日おいても鑑賞の対象となりうる歴史的名演だと思います。
1937年の録音としては十分な音質です。


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