クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでカザルスのCDをさがす
Home|カザルス|エルガー:チェロ協奏曲

エルガー:チェロ協奏曲

パブロ・カザルス ボールト指揮 BBC交響楽団 1945年10月14日録音



Elgar:チェロ協奏曲 「第1、2楽章」

Elgar:チェロ協奏曲 「第3楽章」

Elgar:チェロ協奏曲 「第4楽章」


意外と評価が低い作品なのでしょうか?・・・、不思議です。

レコード芸術という雑誌があります。ユング君は購読しなくなって随分な日が経つのですが、一応クラシック音楽を聴く人間にとっては定番のような雑誌です。その定番の雑誌の定番とも言うべき企画がベストレコードの選出です。20世紀が終わろうかと言うときには、誰もが想像するとおりに20世紀のベストレコードの選出を行っています。その時の企画が一冊の本となって出ているのですが、選出の対象となった300の作品の中にこの協奏曲はノミネートされていません。

エルガーの作品でノミネートされているのは驚くなかれ「威風堂々」だけです。これでは、エルガーはマーチの作曲だったと誤解されても仕方がありません。
チェロによる協奏曲と言うことでは、おそらくドヴォルザークのものと並び立つ最高傑作だと思うのですが、残念ながら無視をされています。
それは同時に、日本におけるエルガー評価の反映なのかもしれません。

それはエルガーに限ったことではなく、同時代のイギリスを代表するディーリアスになるとノミネートすらされていませんから、日本におけるイギリス音楽の不人気ぶりは際だっています。おそらくその一番大きな原因は、にこりともしない晦渋さにあるのでしょうね。
どこかで聞いたエピソードですが、エルガーの作品は退屈だという意見には不満を感じるイギリス人も、ディーリアスになると他国の人間には分かってもらえないだろうなと諦めてしまうそうです。

しかし、あらためてこのエルガーのチェロ協奏曲を聴いてみると、冒頭のチェロのメロディは実に魅力的です。ドヴォルザークならこれに続いてどんどん魅力的な歌を聞かせてサービス満点の作品に仕上げてくれるのですが、エルガーの場合はその後はいつものイギリス風に戻ってしまいます。しかし、ある種の晦渋さと背中合わせになっているそのような渋さが、聞き込むほどに良くなってくるという意味で「大人の音楽」と言えるのかもしれません。

なお、この作品を完成させた翌年に彼を生涯にわたって支え続けてきた妻を亡くすのですが、その打撃はエルガーから創作意欲を奪ってしまいます。その後の15年間で数えるほどの作品しか残していませんから、この協奏曲は実質的にはエルガーの最晩年の作品といえます。


演奏活動を停止する直前の録音

1936年にスペイン内乱が勃発します。フランコの独裁政権に反発したカザルスは最終的にフランスに亡命し、スペインとの国境に近い町プラドに住むことになりました。南部フランスはドイツの占領こそ受けなかったのですが、反フランコ・反ファシストのカザルスには辛い日々だったようです。
しかし、カザルスの苦悩は戦後も続くことになります。それは、戦争が終了した後に各国の政府が次々とフランコ政権を承認していったからです。
1945年6月からカザルスは演奏活動を再開するのですが、その様な各国政府の態度に抗議の意を表明するために1945年11月13日パリのサル・プレイエルでの演奏会を最後に演奏活動の停止を宣言することになります。

ここでお聞きいただいている録音は45年の10月に行われたものですから、まさにカザルスがその様な思い切った行動に出る直前の演奏です。
そんな彼がエルガーの作品を選んだのは実に納得のいく話です。現実的対応という「利口な対応」など出来るはずもない、頑固な男の怒りをたたきつけるにはこれほどふさわしい作品はありません。

Youtubeチャンネル登録

古い録音が中心ですがYoutubeでもアップしていますので、是非チャンネル登録してください。

関連記事(一部広告含む)

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



75 Rating: 8.0/10 (186 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2019-12-08]

J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:ラファエル・クーベリック指揮 ロンドン室内管弦楽団 1959年6月24日~25日録音

[2019-12-07]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 Op.44(第10番)
ボザール・トリオ 1964年録音

[2019-12-06]

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:サー・マルコム・サージェント指揮 ロンドン交響楽団 1951年11月5日&8日録音

[2019-12-05]

グリーグ:弦楽のための「2つの悲しき旋律」Op.34
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年6月4日録音

[2019-12-04]

ベートーベン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
ブダペスト弦楽四重奏団 1940年9月9日~10日録音

[2019-12-02]

モーツァルト:ピアノ協奏曲第5番ニ長調 , K.175
(P)リリー・クラウス:スティーヴン・サイモン指揮 ウィーン音楽祭管弦楽団 1965年12月6日,8日,9日&12日録音

[2019-11-30]

ハイドン:交響曲第16番 変ロ長調 Hob.I:16
マックス・ゴバーマン指揮 ウィーン国立歌劇場管弦楽団 1960年~1962年録音

[2019-11-28]

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 1962年1月8日録音

[2019-11-26]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 WoO.38(第9番)
ボザール・トリオ 1964年録音

[2019-11-24]

ベートーベン:交響曲第3番変ホ長調 作品55 「英雄」
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 チェコ・フィルハーモニ管弦楽団 1959年3月録音